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Dokumentarfilm „Silent Fallout“ (Leiser Fallout, mit deutschem Untertitel)von Hideaki ITO aus Japan anlässlich des 80. Jahrestag von Hiroshima und Nagasaki

Im August 2025 jähren sich die ersten Atombombenabwürfe auf Hiroshima und Nagasaki zum 80. Mal.


Leider ist die Welt die Angst vor dem Atomkrieg nicht losgeworden, vielmehr ist die Bedrohung heute stärker denn je. Und ohne den Einsatz von Atomwaffen in einem Krieg gibt es seit der Entdeckung der Kernspaltung und der ersten nuklearen Kettenreaktionen überall auf der Erde Strahlenopfer – sei es von Atomtests, von Atomkraftwerken oder vom Uranabbau. Man übersieht meistens die Tatsache, dass man selbst betroffen ist.

Gerade jetzt, wo die Gefahr eines Atomkriegs wieder hoch aktuell geworden ist wie noch nie, ist es von großer Wichtigkeit, uns nochmals bewusst zu machen, was radioaktive Strahlen anrichten können. Um das Thema – anlässlich des 80. Jahrestag von Hiroshima und Nagasaki – stärker ins Blickfeld zu rücken, schlagen wir Sayonara Nukes Berlin (nachfolgend „SNB“), vor, gemeinsam mit euch eine Filmvorführung zu veranstalten, bei der ein besonderer Dokumentarfilm gezeigt wird, der nun mit deutschen Untertiteln verfügbar ist.


Der Film vom japanischen Filmemacher ITO Hideaki „Silent Fallout“ (Leiser Fallout) taucht tief in die unerzählten Geschichten der Opfer von Atomtests in Amerika ein. 1951 begannen die USA mit Atomwaffentests auf dem Festland und setzten unzählige Bürger einer gefährlichen Strahlung aus. Mary Dickson, die in den 1950er und 1960er Jahren in einem Vorort von Utah aufwuchs, wurde Zeugin, wie ihre Mitschüler in der Grundschule an ungewöhnlichen Krankheiten und Todesfällen starben. Gleichzeitig führte Dr. Louise Reiss in St. Louis, Missouri, eine bahnbrechende Studie durch, bei der sie Milchzähne sammelte und das Vorhandensein von Strontium-90, einem radioaktiven Element, in den Körpern von Kindern nachwies, die der Strahlung in ganz Amerika ausgesetzt waren. Dies veranlasste schließlich Präsident Kennedy zu dem Beschluss, die atmosphärischen Atomtests einzustellen.

Mit Berichten von Betroffenen aus erster Hand und Interviews mit Wissenschaftlern will Filmemacher Ito mit seinem Film das Bewusstsein für das gravierende Problem der Strahlenvergiftung und der nuklearen Verseuchung in den USA und weltweit schärfen. „Silent Fallout“, der die wahre Dimension der weltweiten radioaktiven Verseuchung, insbesondere durch Tests im Pazifischen Ozean und in Russland, aufzeigt, ist ein Muss für jeden, der sich für die dunklen Kapitel der Geschichte und ihre anhaltenden Auswirkungen in der heutigen Zeit interessiert, und bietet eine Fülle wissenschaftlicher und historischer Informationen sowie Berichte der Opfer aus erster Hand. Der gut geschnittene Film hat die Qualität eines guten Erzählfilms und ist ein wirkungsvolles pädagogisches Instrument.


Der Filmemacher Ito verzichtet bewusst auf feste Vorführgebühren, damit möglichst viele Menschen diesen Film anschauen können, aber freut sich über jede Spende von Zuschauergästen und/oder Organisationen, die die Filmvorstellung organisieren. Der Film ist auf Englisch mit deutschen Untertiteln, und ist 70 Minuten lang.


Nach der Vorstellung kann man entweder per Skype oder direkt ein Gespräch mit dem Regisseur (SNB stellt eine Dolmetscherin zur Verfügung) anbieten. Herr Ito plant, im September/Oktober eine Filmvorstellungstour durch Frankreich zu machen und könnte je nach Bedarf und Einladung auch nach Deutschland kommen.


Wir würden uns sehr freuen, wenn möglichst viele Menschen in Deutschland die Gelegenheit bekämen, diesen beeindruckenden Film anzuschauen.


Filmvorführungen können auch in kleineren Rahmen veranstaltet werden, d.h. der Film darf überall, egal in kleineren Gruppen von Menschen, oder in Kinos, Theatern, Universitäten, Schulen, Vereinen oder Firmen gezeigt werden.


Bei Interesse schreibt eine Mail an:
Silent Fallout promotion team in Europa: (SilentFallout_projection_eu@protonmail.com )

Filmemacher Hideaki ITO:
Geboren 1960 in Japan. Seit 1990er Jahren ist er als Filmemacher tätig. 2004 fing er an, über die Fischerboote Japans zu berichten, die 1954 im Pazifik verstrahlt worden waren im Zuge der Atomtests durch die USA im Bikini Atoll, und seitdem setzt er sich mit dem Thema Strahlenopfer auseinander. Der Dokumentarfilm „Silent Fallout“ aus dem Jahr 2022 ist sein dritter Film über dieses Thema. Er wurde in den USA erstmal beim Hampton International Film Festival gezeigt und bereits mit mehreren Preisen ausgezeichnet.

2023年3月11日かざぐるまデモのお知らせ

福島原発事故12周年・かざぐるまデモ:放射能の危険はごめんだ ‐ 原発からも核爆弾からも

 

ドイツの脱原発が最後の原子炉停止を目の前に延期されることになろうとはだれが想像したでしょうか、それも緑の党が政権に加わっているときに! 原発の運転続行がエネルギー危機の解決とでもあるかのように謳う風潮が急激に広がりました。核保有国・原子力大国であるフランスでは、稼働するはずの原発の半分しか運転できない状態が続き、原子力エネルギーがどんなに信頼できないものであるかを証明しています。この議論では、原発がどのような安全リスクを生みかねないか、なぜフクシマ原発事故後、ドイツで脱原発が決定されたのかが不思議なほどに忘れられています。
2023年4月半ばまで現在残っている原子炉はいわゆる「Streckbetrieb」(使っている燃料棒を能力を押さえながら長持ちさせて延長して使う)で運転されることになっています。推進派は、原子力エネルギーによりエネルギー独立が可能かのように言っていますが、燃料棒を作るためにEUではウランの多くがロシアから輸入されている事実に目を閉じています。原子力ロビーは原子力セクターをEUの制裁から外させることに見事に成功しているのです。

 

ロシアのウクライナ侵攻により核の脅威がいかに現実的なものであるかがはっきりしました。これまで軍縮を支持してきた人たちの多くが突然、核抑止、核の傘下にあることの重要性を謳い始めています。
ウクライナでの戦争でもう一つのことが明らかになりました。それは原発が軍事作戦の攻撃目標になるという事実です。ヨーロッパ最大級のサポリージャ原発は何度も攻撃され、非常用のディーゼルジェネレーターで給電されていることが何度もありました。電気供給が断ち切られるだけで、フクシマのような過酷事故が起き得るのです。
核の連鎖反応や放射線には、味方と敵の間の境界線を見分けることができません。同じ技術が軍事的または「平和」的に利用されようが、区別はありません。安全で気候正義な解決法はただ、できるだけ早く徹底して再生可能エネルギーを世界中で広めていくことだけです。

 

ですから一緒に求めましょう:
• ドイツでこれ以上原発の運転期間を延長しない
• 無責任な原子力エネルギーからの世界規模での撤退
• リンゲンとグローナウの核施設の即刻停止
• 原子力エネルギーを持続可能エネルギーと分類するEUタクソノミーからの削除
• EURATOM欧州原子力共同体協定の解約
• フクシマであろうと世界のどこであろうと、放射能汚染水を海洋放出しない

 

 

主催:
NaturFreunde Berlin
Green Planet Energy
Sayonara Nukes Berlin

 

共催:
AK Rote Beete (Linke Regionalgruppe)
AntiAtom Berlin
BürgerInitiative Lüchow-Dannenberg
BUND
BUND Jugend Berlin
Friedensglocken
Greenpeace Berlin
IPPNW Germany
Japanese Against Nuclear UK
Korea Verband
Rote Beete
Strahlentelex

 

 

民主主義を壊した安倍元首相の国葬を許さない

民主主義を壊した安倍元首相の国葬を許さない

よそものネット有志による声明

日本政府は、カルト教団の被害者に暗殺された安倍元首相の「国葬」を法的根拠のないまま勝手に閣議決定した。彼が行った政治を賛美し、国民に弔意を強制する儀式を国会で議論もせずに押しつけたのである。これに対して国民の大多数が反対しているが、改める様子はない。

これは言語道断である。安倍元首相が進めた政治とは、日本国憲法の平和理念を「拡大解釈」して覆し軍事拡大を促進、大日本帝国と軍による植民地支配・侵略戦争の加害と犯罪を矮小化・否定する歴史修正主義を正当化し、ヘイトスピーチを助長させ、さらに教育とメディアの統制を強化した、まさに「民主主義壊し」であった。また、福島原発事故の実態を隠蔽・矮小化してオリンピックを誘致し開催、原子力政策を推進し被害者を切り捨て、ネオリベラル政策で格差の拡大を深めて弱者を苦しめる一方、元統一教会や日本会議など右翼(極右)団体と癒着して政権存続に利用し、国政を私有化して利権者・集団を優遇した。

このように民主主義と立憲主義に反する政治を進め、公文書の改ざんさえ行った安倍元首相の不正行為の数々は、死後も検証され、追及されるべきである。私たち、民主主義と立憲主義の擁護・強化をめざす海外に住む日本人を主としたグループ・個人
は、以下に述べられた竹内康人氏のテキストに賛同し、多額の国税が投じられる安倍晋三の国葬に、断固反対の意を表明する。

反天ジャーナル アベノツミ10条、勲章の内実
竹内康人(歴史研究家)
https://www.jca.apc.org/hanten-journal/?p=1697(転載許可済)

発起人
梶川ゆう(ベルリン、ドイツ)
杉田くるみ(グルノーブル、フランス)
飛幡祐規(パリ、フランス)
団体・個人名
Sayonara Nukes Berlin
よそものネット・フランス
スイス・アジサイの会
JAN(Japanese Against Nuclear) UK
ドイツ在住
熊崎実佳
藤井隼人・弘子
フランス在住
辻俊子
小森浩子
波嵯栄ジュフロワ総子
坂田英三
宮崎洋一
齋藤紀子(Motoko Saito)
Shukuko Voss-Tabe (田部淑子)
深作裕喜子
田中千春
桐島敬子
柴田真紀子
林瑞絵
白髭節子
富樫一紀

かざぐるまデモ2022年 -原子力は私たちの気候を救えない!

かざぐるまデモ2022年
-原子力は私たちの気候を救えない!

 

日時: 2022年 3 月 5日 (土),12 時より
場所: ブランデンブルグ門前 パリ広場

 

私たちは憂慮しています。原子力と石炭火力のエネルギーを再生可能エネルギーに置き換える決定にもかかわらず、最近、原子力が気候変動の対策として役立つと主張するEUのメンバーが少なくありません。

 

EUの 10か国以上の政府が、自国の原子力エネルギーを拡大すると発表しました。新しい日本政府もまた、小型原子力発電所(SMR)の開発と建設を促進する意向を明らかにしました。これは全く受け入れられません。

 

原子力発電所の通常運転によって引き起こされる日々の放射能汚染に目をつぶることはできません。大量の放射性廃棄物を最終的に処分するという問題も残っています。核廃棄物の最終処分問題は、ドイツだけでなく、世界のどこでもまだ解決されていません。原子力は環境に害を及ぼさないという主張を受け入れてはなりません。原子力発電所が一度事故を起こすと、環境、動物、そして人々にとって取り返しのつかない、想像を絶するほどの大きな被害が出ます。私たちはそのことをチェルノブイリやフクシマで学んだはずです。

 

福島第一原発事故から10年後の昨年4月、日本政府は福島第一原発事故以降に貯蔵されている放射能汚染水を太平洋に放出する計画を承認しました。東京電力がすべての放射性元素を除去したと主張するこの汚染水は、依然として主にトリチウムを含み、環境を汚染しています。この放出は、国際社会だけでなく、住民や漁師からの強い反対のためにまだ行われていません。
私たちは原子力エネルギーの最終的な終了を要求します。私たちは核のない未来を築きたいと願っています。原子力は私たちの気候を救うことはできません。

 

私たちは一丸となって要求します:

•無責任な原子力エネルギーの世界的な終了
•リンゲンとグローナウの原子力施設の即時停止
•原子力エネルギーを持続可能なエネルギーとして分類しない
•EURATOM契約の終了
•放射能汚染水を海へ放出しない

 

 

 

共催:

 

 

 

福島原発のトリチウム、何が問題か 河田昌東(2021年4月12日)

NPO法人チェルノブイリ救援・中部の理事を務める河田昌東さんの論文をご本人の許可を得て、ライプツィヒ大学のシュテフィ・リヒター教授がドイツ語に翻訳し、日本語とドイツ語でSayonara Nukes Berlinのホームページに掲載しました。


現在も続いている福島第一原発からの放射能汚染水流出問題は、今後も簡単には解決出来そうにない。その大きな原因は「トリチウム」にある。原子炉内で溶けた燃料を冷やすために10年経った今も毎日140トンの冷却水を炉心に注入しており、それが汚染水となってたまり続けている。東電の発表では2011年5月~2013年7月にかけて流出したトリチウム量は約20~40兆(20~40×1012)ベクレル(Bq)で、この中には事故直後に流出した高濃度の汚染水や東電が意図的に放出した汚染水中のトリチウムは含まれていないという。また、汚染水に含まれるセシウムその他の放射性元素はALPS(多核種処理装置)で回収できるが、このシステムではトリチウムは処理できない。そのため、ALPS等で処理後のトリチウム汚染水は、タンクに貯蔵しているがその量は既に120万トン、1200個の貯蔵タンクにためられているが、敷地に余裕がなくなり廃炉作業にさしつかえるという。東電や原子力規制委員会はじめIAEAまでもが「海水で薄めて放出」を主張し、政府は福島県民はじめ全漁連や国民の声を無視して、2021年4月13日に、トリチウム汚染水の海洋放出を決めるという

。ではトリチウム水の海洋放出は何故問題なのか。

 

(1)トリチウムって何?

トリチウム(Tritium:略号T)は日本語では三重水素と呼ばれ、化学的性質は水素(H)と同じである。水素は原子核に一個の陽子(P)、その周りを一個の電子(e)が回っている最も小さい安定元素である。トリチウムは原子核に一個の陽子の他に2個の中性子(N)を含み(1P2N)、不安定なため中性子の1個が電子を放出して陽子に変化し、原子核に2個の陽子と1個の中性子を含む(2P1N)新しい元素(ヘリウム He)になって安定化する。この時放出される電子がベータ放射線である。トリチウムの半減期は12.3年である。原子炉の中では、冷却水(H2O)に僅かに含まれる重水(H-O-D)の重水素(D)の原子核に中性子が取り込まれたり、不純物のリチウム-6という物質が分解したりしてトリチウムが出来る。従って、原子炉の冷却を続ける限りトリチウムは新たに生産され続ける。一方、我々が生きている生活圏でもトリチウムは存在する。過去の核実験や宇宙線の影響で、地球上の水の中には1~2Bq/L程度のトリチウムが含まれている。

 

(2)トリチウムは何故除去出来ない?

国や東電、原子力規制委員会などは、トリチウム水は処理できないから海洋放出せざるを得ない、という。何故処理できないのか。トリチウムの化学的性質が水素と同じで、トリチウム(T)を含む水(T-O-H)と通常の水(H-O-H)が区別出来ないからである。セシウム137やストロンチウム90など多くの放射性物質の除去には、その元素の化学的性質を利用し吸着や濾過などを行い除去する。しかし、通常の水とトリチウムを含む水はこうした化学的方法では区別できず除去できない。その結果、沸騰水型原発では原子炉内で年間20兆Bq(20×1012)のトリチウムが生成されるが、その殆どを放出可能な年間22兆(22×1012)Bqの海洋放出基準が定められている(濃度では60000Bq/L)。余談だが、青森県六ヶ所村の再処理工場が通常に稼働すれば、年間1900兆Bq(1.9×1015)を大気中に、1.8京Bq(1.8×1016)を海中に放出する予定である。トリチウムの放出基準は事実上存在せず、現実追認であり原発を運転すれば必ず発生する。これも原発を稼働してはならない原因の一つである。

 

  • トリチウムの何が問題か

トリチウム水は通常の水と同様、経口や呼吸、皮膚を通じて体内に入る。体内でも普通の水と同様に血液や体液を通じて細胞内の様々な代謝反応に関与し、タンパク質や遺伝子(DNA)の中の水素の代わりにその成分として入り込む。体内で水として存在する場合は新たに入ってくる水に置きかわり体外に排出される(生物学的半減期は12日)が、こうした細胞内の有機物の構成成分として取り込まれたトリチウムは容易に代謝されず、その分子が分解されて水になるまで長時間留まり(放射線生物学者ロザリー・バーテルによると少なくとも15年以上)、ベータ線を出し続けることになる(1)。 盛んに細胞分裂する若い細胞ではより多くのトリチウムを成分として取り込む。体内の有機物に取り込まれたトリチウムはOBT (Organic Bound Tritium:有機結合トリチウム)と呼ばれ、セシウムのように単に元素として体内に存在し放射線を出す放射能とは区別が必要だが、国際放射性防護委員会(ICRP)はこの点を過小評価している。トリチウムの出すベータ線はエネルギーが極めて小さく、外部被爆は殆ど問題にならないが、こうして体内の構成成分に取り込まれると、全てのベータ線は内部被曝の原因になる。

 

(4)DNAに取り込まれたトリチウムの問題

トリチウム水を介してトリチウムはDNAの中の酸素や炭素、窒素、リン原子と結合し、化学的には通常の水素原子と同じ振る舞いをするが、半減期とともに電子(ベータ線)を放出して周囲を内部被曝させ様々な分子を破壊する。しかし、それだけではない。トリチウムが壊れヘリウム原子に変わると、トリチウムと結合していた炭素や酸素、窒素、リン等の原子とトリチウムとの化学結合(共有結合)が切断する。ヘリウムは全ての元素の中で元も安定な元素で、他の元素とは結合出来ないからである。その結果、DNAを構成している炭素や酸素、窒素、リン原子は不安定になり、DNAの化学結合の切断が起こる。このように、トリチウムの効果は崩壊時に出すベータ線の被曝だけではなく、一般的な放射性物質による照射被爆とは異なる次元の、構成元素の崩壊という分子破壊をもたらすのである。いわゆる照射被爆は確率論的現象だが、DNAの破壊はトリチウムの崩壊と共に必ず起こる現象である(1)。

 

  • トリチウム汚染で起こること

核実験が始まった1950年代以降、トリチウムの生物学的影響に関する研究は数多く行われている。最も広く知られているのは染色体の切断などの異常である。人リンパ球を使った実験ではトリチウム水に晒された場合、3700Bq/ml位から染色体異常が起こり、370万Bq/mlではほぼ全ての細胞で染色体の切断が起こる。DNAの構成要素の一つチミジンの水素をトリチウムで置換した場合、37Bq/ml位から染色体の異常が始まり19万Bq/mlの濃度では100%の細胞が染色体異常を起こす(2)。生体次元での研究も数多くあり、染色体異常(突然変異)の結果、致死的なガンなどの健康障害が指摘されている。特に問題なのは子宮内胎児への影響である。胎盤は通常の水とトリチウムを区別出来ないため、トリチウム水はそのまま胎児に入り、盛んに分裂中の細胞に取り込まれる。その結果、胎児に異常が起こり死産や早産、流産などの他、様々な先天異常などの原因になる。米国カリフォルニア州のローレンス・リバモア国立核研究所のT. ストラウムらの研究(3)ではトリチウムによる催奇形性の確率は致死性ガンの確率の6倍にのぼる。カナダのオンタリオ湖はカナダ特有の重水原子炉から出る大量のトリチウムによる汚染が知られている。その結果、周辺地域で1978~1985年の間に出産異常や流死産の増加が認められ、ダウン症候群が1.8倍に増加し、胎児の中枢神経系の異常も確認された(4)

 

このように、トリチウムは放射線のエネルギーが低いためにその影響が過小評価されがちだが、ベータ線被曝だけでなく、生体分子の構成成分の破壊を通じて、他の放射性物質とは全く異なる生物への影響もたらすことが大きな問題である。トリチウムの海洋放出は、政府の言うような単なる風評被害ではなく実害が起こる。

  • 文献
  • Rosalie Bertell : The Health Effects of Tritium (http://www.beyondnuclear.org/)
  • 堀、中井:総説:低レベル・トリチウムの遺伝的効果について:保健物理(1976年)11, p1-11.
  • Straume, T and Carsten, AL.:Tritium Radiobiology and Relative Biological Effectiveness. Health Physics. 65 (6) :657-672;(1993)
  • Tritium Releases from the Pickering Nuclear Generating Station and Birth Defects and Infant Mortality in Nearby Communities :Atomic Energy Control Board, Report INFO-0401 (1991)

河田昌東:1940年秋田県生まれ。2004年名古屋大学理学部定年退職。現在、NPO法人チェルノブイリ救援・中部理事。遺伝子組換え情報室代表。専門は分子生物学、環境科学。

7月21日の福島県でのオリンピック競技に向けたプレスリリース

2021年7月21日のオリンピック開会式に先駆けて、福島県内のあづま球場で行われるソフトボール競技に抗議するため、前日の20日、IPPNW、Ausgestrahlt、私たちSayonara Nukes Berlinの3団体によるプレスリリースを発信しました。

日本語とドイツ語のプレスリリース:

プレスリリースオリンピック開催に先駆けて(日本語)

Start der Olympischen Wettkämpfe in Fukushima am 21. Juli(DE)

Ausgestrahlt

https://www.ausgestrahlt.de/blog/2021/07/20/%C3%A4rztinnen-warnen-vor-olympischen-wettk%C3%A4mpfen-in-fukushima/

YouTube音声配信はじめました! SNBときどきラジオ★選挙に行こう!シリーズ

突然ですが、みなさん、今の日本の政治をどう思いますか? そろそろ変化が必要じゃないかなと思いませんか? 私たちが変化をもたらすことができる一つの方法があります。それは、選挙に行って、投票で意思表示することです。

今年は衆議院選挙もあることですし、「みんなで選挙に行こう!」と盛り上げようということで、SNBメンバーがこの音声配信をドイツからお届けすることになりました。

その名も『SNBときどきラジオ★選挙に行こう!シリーズ』

私たちが「この人に話を聞いてみたい!」という方をお招きして、その方のパーソナル・ストーリーを織り交ぜながら、政治についてどんなふうに向き合っているか、お話をうかがいます。

記念すべき初回のゲストは、ドイツ在住49年フリージャーナリストの永井潤子さんです。永井さんは、まだ在外投票ができなかった時代、ドイツでたったひとりで運動を始めた方です。

外務省の一昨年の統計では、海外に住む日本人の在外投票率はわずか約20%。海外でも投票できるように嘆願運動をした人たちの努力で実現した在外選挙。この努力をむだにしたくはないですね。

■在外選挙制度について■

「在外選挙制度」とは、仕事や留学、移住などで海外に住んでいる人が、外国にいながら国政選挙に投票できる制度です。これによる投票を「在外投票」といいます。在外投票ができるのは、日本国籍を持つ18歳以上の有権者で、在外選挙人証というカードを持っている人です。 在外選挙人証を取得するまでの手続きには、2か月前後かかります。まだ在外選挙人証を持っていない方は、10月に予定されている衆議院選挙に間に合うように、大使館や領事館を通して早めに手続きしましょう。またこれから海外に行かれる方は、渡航前に登録申請できるようになりましたので、ぜひ申請しましょう。 手続き方法は、総務省や在外公館のホームページで詳しく紹介されています。

総務省 https://www.soumu.go.jp/senkyo/hoho.html

外務省 https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/sen…

日本に住むみなさんも、投票日当日に行けない場合は、期日前投票や不在者投票もありますので、どうぞあきらめないでくださいね。 私たちに与えられた一票を投じる権利、無駄にしないで、ご家族やお友だちを誘って投票に行きましょう!「今」と「未来」の私たちと社会のために。

総務省 『なるほど!選挙』 https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo…

「ときどき」ということで、配信は不定期ですが、これからいろいろ魅力的な方々のお話をお届けしたいと思います。

IPPNWドイツ支部「東京2020ー放射能オリンピック」キャンペーンの報告

2020年夏に開催予定の東京オリンピックはコロナパンデミックにより1年延期され、それで去年IPPNWドイツ支部(核戦争防止国際医師会議)と、ドイツ最大の反原発団体である.ausgestrahltと、私たちSayonara Nukes Berlin(以後SNB)とで共同で行う予定だったアクションが一年延びて、日本が聖火リレースタートを去年と同じ3月25日に予定しているため、23日に記者会見、24日に署名運動で集めた署名リストを日本大使館に届けるというアクションを行った。

日本でも時を同じく東京や福島で反対行動やデモが行われたが、ドイツからもオリンピックの祭りをフクシマがあたかも収束し原発事故が克服されたかのような演出をする舞台に悪用しないことに対する抗議をする人たちがいることを伝えるのは大切だったと思うし、そのためにSNBのような日本人のグループも一緒にいることが必要だと考えて私を記者会見に誘ってくれたことに感謝したい。

IPPNWドイツ支部と.ausgestrahltが書いたNo radioactive Olympicsの声明自体は、詳しく言えば私には賛成しかねる部分もあったが、フクシマの人たちを本当に支え助けるためにお金やエネルギーを使わず、演出と宣伝ばかりにお金を使って、福島第一から20キロほどしか離れていない、東電の作ったJヴィレッジから聖火リレーをスタートさせ、人もまだほとんど戻っていない双葉の駅をピカピカに作って開通し、それであたかも元通りに戻ったかのように見せるために聖火リレーのコースを通過させること、それはそこを通る選手にとって放射線が高いから問題だというよりは、そこに「大丈夫だから住みなさい」と帰還政策で戻され、もとより20倍以上の年間線量を許容するよう強要されている人たちを思えばこそ許すことができないということでは気持ちは同じだと、何度もIPPNWドイツ支部の代表であるAlex Rosenの話を聞きながら確認することができたので、私は彼らとこのアクションを行うことができたのは良かったと思う。

記者会見でSNBを代表したステートメントでは、私は、ほぼおしどりマコさんケンさんが1月末の講演会で話してくれたデータを使った。

ここでは特に日本人を代表し、日本の政策批判と、オリンピック決定の背景について話してほしいと言われていたのだ。私がステートメントを読み上げた後、グリーンピースがJヴィレッジや福島での聖火リレーコースで線量測定を行い、いくつものホットスポットが見つかった数分の画像を流した。


菊のご紋を背景に(©Lara-Marie Krauße – IPPNW)

 

 

 

 

 

 

Sayonara Nukes Berlinを代表してのゆうのメッセージ

『すべては嘘から始まりました。2013年9月、当時の安倍首相はオリンピック招致の舞台で世界に向けてこう宣言しました。「福島はアンダーコントロールです。汚染水はブロックされています」と。 しかし当時も今も「アンダーコントロール」からは程遠い状態なのが真実です。安倍首相が2020年のオリンピック招致で演説した2013年は、地下貯水槽で漏えいが見つかり、護岸エリアで地下水の汚染が発見され、高濃度汚染水を貯留していたタンク群から大量の汚染水が漏えいしました。この2013年8月19日のタンクからの汚染水漏えいはINES(原子力事象評価尺度)で2011年のフクシマ原発事故とは別のレベル3の事故して認定されました。そのなんと十日後、2013年9月に東京オリンピックが決定しました。フクシマはアンダーコントロールだから、というわけです。 しかし東電が2021年1月に出したデータから見ると、原発事故から十年経った福島第一は今も12000ベクレルの放射性物質を大気に放出しています。この放出量は、同等の稼働中の原発の大気への放射性物質放出量と比較すると、通常に稼働している原発が一年に大気へ放出する量の40倍を、福島第一はたったの1時間に放出している計算になります。 安倍元首相とその政府はしかし、福島原発事故はもう過去のことなのだという印象を世界にアッピールするため、是が非でも東京オリンピックを悪用したいと考えました。彼らはそれで「復興オリンピック」と謳っていますが、果たして誰のための「復興」だというのでしょうか? Jヴィレッジはもともと1997年に東電が原子力発電所立地地域の地域振興事業の一つとして出資して建設してから福島県に寄付したスポーツトレーニングセンターです。フクシマ事故後は事故現場の対応拠点となり福島第一で働く人たちが寝泊まりもしていました。事故を起こした原発からは20キロしか離れていません。日本政府がほかでもないここからオリンピックの聖火リレーをスタートさせたいと言っているのは偶然ではありません。彼らはそれにより世界に示したいのです。「ほら、みてごらん、原発事故はもう克服できた! 大したことないのがわかるだろう!」と。 しかし、2011年3月に発令された原子力緊急事態宣言は、今でも発令されたままです。事故を起こした原発の周辺には、2011年3月以来避難命令が解除されていない町や村がいくつもあります。この原子力緊急事態宣言が発令されて以来、日本政府は、事故以前の許容線量を20倍に引き上げて、線量が高い場所にも戻って住むように人々に強要しています。これが彼らの言う「帰還政策」です。避難命令が解除され帰還を促された村や町でも線量が高いのはそのためです。そして避難命令が解除されると、放射線が高いのを恐れたり、昔とはインフラ設備が同じではないから、または以前の仕事に従事することができないからなどの理由で帰還しない場合にも、賠償金の支払いや住宅支援は中止されてしまいます。これまでに、事故前に住んでいた人たちの約1割、それもほとんどお年寄りの方たちしか解除された地区に帰還していません。 いわゆる除染作業というのは、そのほとんどが畑や住宅地域の汚染された土を剥ぎ取り、それをフレコンバッグに詰め込み何列にも並べて積み重ねる、ということだけを意味しています。フクシマにあるたくさんの山々や森は除染などできません。風が吹けば、雨が降れば、台風が来れば、放射性物質はまた除染した場所に戻ってきます。 それでも国や官庁は原発事故の危険性や影響をなるべく見えないようにしたいと、線量測定モニターを外したり、未成年対象の健康調査の規模を小さくしたり、または約1400万立方メートルほどの汚染土をリサイクルしようとしたりしています。彼らはあらゆる方法で、原発事故のマイナスの影響が皆の目に明らかにならないようにしているのです。そのためにはオリンピックは、それをメディア効果よく演出するために適した舞台というわけです。日本政府は原発事故の犠牲者を精神的に、医学的にそして財政的に支援する代わりに、おとぎ話を伝える方によりたくさんの支出をしています。しかし、今はそんな幻想をばらまいている時ではありません。』

Alex Rosen(©Lara-Marie Krauße – IPPNW)

IPPNWドイツ支部を代表してAlex Rosenは以下のような話をした。

『オリンピックが行われれば、世界が日本を注目することになる。その時に、日本は実際に国の中で起きていることを「なかったことにする」「ない振りをする」そして政治的に悪用し、復興という名を与えて違うイメージを与えようとしてはいけない。先ほどのグリーンピースの動画でも見えたように、ホットスポット、高い線量のある場所がいくつもある場所に選手が数時間競技を行うことで健康に被害がある、と私たちは言っているのではない。福島で聖火リレーを行い、また福島県の各地で競技を行うことは日本政府が意図して選んだ象徴的な選択である。東京オリンピックでありながらわざわざ福島でも競技を行うことで、日本政府はフクシマの事故の影響をなかったことに、あたかもかつての日常が戻ってきてるかのような幻想を世界に与えようとしている。私たちはオリンピックそれ自体を批判しているわけではない。しかしフクシマの現実から目を閉じること、ましてはそれ以上に違ったイメージを与えようとすることにオリンピックを悪用しようとしていることに私たちは抗議するものである。』 あとは彼がデモでも話したような、健康調査をしっかり行わなかったことの批判、それでもはっきりと被ばくが原因としか考えられない、ことに甲状腺がんを始めとする例が出ていることを語った。

.ausgestrahltの代表Jochen Stayはハンブルクに住むため、かざぐるまデモには今回演説を予定しながら参加することができなかった人物だ。.ausgestrahltはドイツで最大規模の反原発団体だが、こことはかつて映画「Furusato」のことでいやな経験をしたことがあり、私は彼らの運動の方法を必ずしもいいとは思っていないのだが、Jochenはここでドイツの原子力政策(例えばお馴染みの、脱原発を決定して来年で原子炉自体は停止するかもしれないが燃料棒製造もウラン濃縮も続けて、それをヨーロッパ各国に売っているとか)についての批判などを加えていた。

次の日、24日にこの署名運動はとうとう1万人以上の署名を集めることができたので、それをプリントアウトして日本大使館に届けるときにちょっとしたアクションを計画した。

(©Lara-Marie Krauße – IPPNW)

日本大使館は当然ながら署名を受け取るために大使館職員を出迎えに出すということはないが受付に渡すのならいい、ということで、代表してAlexRosenが重いファイルを届けたが、その前に私たちはティアガーテン側で横断幕やIPPNWが用意した聖火トーチ(炎に放射能マークがついている)などをもって写真撮影するアクションをする届け出をしてあり、そこに20人くらいで集まった。その後でIPPNWはメディアも招いてブランデンブルク門前でもっと演出した写真撮影を行うということで私ももともとは動員されていたのだが、人数は足りているから必要ない、ということになって大使館前で私は別れて自宅に帰ることができた。コロナでなかなか人と会うことがままならない今、デモの時以来初めてまた人とこうして「生」で会うことができるのはかなり新鮮な感じがし、春の気配が濃厚なティアガーテンを友と一緒に気持ちよく散歩することができたので、このアクションは今年のフクシマ関連最後のアクションとなるかもしれないが、なかなか気持ちのいいものになったことを喜びたい。

ブランデンブルク門前で(©Lara-Marie Krauße – IPPNW)

私は十周年のアクション、イベントを終えたら少し第一線から下がりたい、と話していたし、やはり今年もマコさんケンさんの講演会からデモ、その他の講演会の主催やステートメント発表、イベント出演、アクションなどでかなり消耗してしまった。これでやっと責任を果たし肩の荷が下りたとほっとすると同時に、これからの私の運動、社会参加のあり方について考えていかなければならないことを実感する。マコさんには講演会で「2021年の3月12日から本気を出さないと」と言われてしまっている。私にとってもこの十年はいろいろな意味でたくさんを学んだ十年だった。私にとってこのフクシマをきっかけに考えたこと、学んだことは、きっとこれからもどうでもよくはならないはずで、どういう形で私があまり息を切らずに社会参画していけるか、どういう方法なら私はいいと思えるのか、ということを自問していかなければならないだろう。フクシマ事故に凝縮された問題は非常に複雑で、国家がその市民を守ろうとしないばかりか、その市民を裏切り、見棄て、洗脳しようとさえするものであることを明らかにした。日本にも世界にも憂うべきことが山ほどあるこの現在の中にあって私という人間はどう生きていくのか、どう生きていきたいのか、なにをする責任があるのかという問いかけはこれからもずっと続いていくだろう。

(©Lara-Marie Krauße – IPPNW)

それは、私になにか動かしたり変えたりすることができる、というような幻想があるからではなく、今生きている人間としてなにかをせざるを得ない、何もしないわけにはいかないという存在のあり方、姿勢として、考えないわけにはいかないからだ。私が頻繁にSNBを代表して発言してきたため、また私が言い出したことで皆にも用事を増やし、強引な部分もあったかもしれないが、暖かく受け止め、協力してくれたSNBの仲間全員に心からお礼を言いたい。そしてこれからも私たち一人一人ができることを積み重ねていきたいと思う。(ゆう)