ドイツ連邦環境・自然保護・建築および原子炉安全省30周年を祝うイベント「環境の未来フェスティバル」でのProtestival写真展「Nuclear, Democracy and Beyond」

2016年9月10日から11日にかけて、ドイツ連邦共和国の環境省30周年を記念するイベントが、ベルリンのシューネベルグ(Schoeneberg)にある、新しいエネルギー、スマートシティの実現を目指す革新的実験場として注目されるEuref-Campusで行われた。このキャンパスが入っているのは、もとガスタンクのあった場所で、そのガスタンクが改造されて中がイベント会場になっている。

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ここに、4月から6月にかけてドイツの社民党本部であるWilly-Brandt-Hausで行われた私たちProtestivalの写真展(広河隆一氏と樋口健司氏)が招かれた。最初の案では、最初の写真展で使われた写真40点全部をそのまま使ってもいいことになっていたが、場所の都合でそれは残念ながら大幅に縮小され、合計で10枚の写真を選び直さなければならないことになり、同時に、Willy-Brandt-Hausで使った写真は、ガスタンクの中にまっすぐな壁がなく、イーゼルに写真を立てなければならないことが分かったため、使えなくなった。これで、もともとの写真展チームのメンバーである写真家の矢嶋宰さん、メンバーのK君、私が集まって広河氏、樋口氏の写真の中から5枚ずつを新たに選び直し、さらにその展示方法を考え直した。

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イーゼルに立てるということなので、厚さ1センチほどの硬い下地の土台に、キャプションと写真を一緒にプリントアウトしたものを貼りつける方法を選んだ。これは結局矢嶋さんが一人で引き受けてくださり、会場にイベント前日、持ってきてくれた。私は環境省の担当の人との交渉を全面的に引き受け、9日の準備では矢嶋さんと私で会場に赴き、10日はイベント終了後に私がそれを全部持ち帰ることで終了した。

この環境省イベントではあらゆるEuref-Campusの全体で行われたようだが、ガスタンクの中の会場は一番メインな演説や環境省の歴史を紹介する催しが行われた様子で、入場者数は二日でかなり多くいたらしい。

私たちの展示会は合計10枚の写真とキャプション、それから私たちのメッセージ、写真家の簡単な紹介だったが、その隣には、別のロシアの写真家によるチェルノブイリの写真も展示され、広河氏の写真からは今回はチェルノブイリを抜いていたため、テーマとしてぶつかり合うことなく、チェルノブイリ30周年とフクシマ5周年、それから原子力発電という問題がすべて盛り込まれた写真展を一緒に作り出すことができたのは結果的にいいことだった。このチェルノブイリの写真展については、私は知らされていなく、現地に行って初めて分かったことであった。

日本では環境省が広河氏や樋口氏の写真展をイベントに招くなどということは決してあり得ないであろうことを思うと、ドイツの連邦省であるBMUBにProtestivalの写真展「Nuclear, Democracy and Beyond」を招いてもらったという事実は、とてもシンボリックな意味があったと思う。そして、Freundeskreis von Willy-Brandt-Hausからの口添えがあったからだとはいえ、私たちのメッセージと写真展を、縮小版ながらももう一度ここで紹介することができたことはうれしいことだった。環境省で私とずっと交渉してくれた担当の人は、「どの人もじっと写真を見、キャプションもしっかり読んでいた。とても好評で、私たちも喜んでいる。成功だった」と感謝してくれた。

この環境省からは、この写真展のためにお金をいただくことになっている。このうち、写真展準備にかかった費用、それから私たちSNBのこれからの運営費を少しだけ残すことにして、残りを広河氏の福島の子供たちを助ける基金、樋口氏には同額ずつ寄付したいと思っている。

2016年のProtestivalに関連したイベントは、これで一切終了した。でも、終わりはまた始まりでもある。ちょうどこの前の土曜日、来年のデモに関するコンセンサスを得るための初めてのミーティングを行ったばかりだ。来年の3月11日はちょうど土曜日に当たる。その日に、私たちの主張をアピールしないわけにはいかない、ということで、来年のデモへの準備がまた始まることになる。来年は今年と同じように大きなことはできないとは思うが、それでも私たちがあきらめず、持続して反核、反原発を訴えていかなければならないことは確かだ。これから、その方法を探っていくことになると思う。

報告:梶川ゆう


環境省のイベントに関する情報はこちら:

Umweltfestival 3.0

Umweltpolitik 3.0 – Das Festival zur Zukunft der Umwelt

http://www.bmub.bund.de/service/veranstaltungen/details/event/umweltpolitik-30-das-festival-zur-zukunft-der-umwelt/


広河 隆一(ひろかわ りゅういち ) :日本の報道写真家、市民活動家。フォトジャーナリズム月刊誌DAYS JAPANの元編集長。福島の子ども保養プロジェクトNPO法人 沖縄・球美の里の設立代表・名誉理事長。公式HP:http://www.hirokawaryuichi.net/

樋口健二:(ひぐち けんじ )は、日本の報道写真家。日本写真芸術専門学校副校長。2001年核廃絶NGO「ワールド・ウラニウム・ヒアリング」(本部ドイツ)創設の「核のない未来賞」教育部門賞を日本人として初受賞。HP:http://kenjihiguchi.jimdo.com/