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おしどりマコ&ケンさんZoom講演会報告

2026年6月14日(日曜日)に、ドイツ・フランス時間で昼間の13時から、日本時間で20時から2020年以来恒例となったマコさんケンさん講演会が催された。今年も日本・海外各地から参加申込者があり、実際に参加なさった方は約90名。それから、予定が入っていて参加はできないが、動画のリンクがほしいからという理由で申し込みしてくださった方もたくさんいた。最後にアンケートを実施したが、そこでも参加者全員が好意的なコメントを寄せてくださっただけでなく、「今年初めて参加した」という方が何人もいたことが嬉しかった。

内容が濃く、充実していてレベルが高いことを皆さんが実感していたようだ。マコさんケンさんは講演会のために今年も丁寧に準備をしておいてくださり、パワーポイントの情報も、それから共有してくださった動画の内容もとても勉強になるものだった。

ことに今年は講演会タイトルが「歴史を書き換えさせないために」ということであったことから、何がどのように非可視化されていくか、責任、肝心の問題点がうやむやにされていくか、ということを中心に話をしていただいた。

「区域から個人へ」といういわゆる復興政策のための閣議決定がなされた。これは、本来市民を守るべき国・自治体が、放射線被ばくからの防護の義務をさっさと投げ出し、「個人」に転嫁する、すべて自己責任で行動してください、といっているとんでもない決定だ。これにより、未除染、または除染が不十分でまだ線量が高い山林や区域にも「個人が自分で決めて」立ち入り、活動できるよう「自由を与える」というあたかも個人の活動の自由性を持たせるように、ポジティブに名付けている、これも「非可視化」していく政策だ。

そのことを踏まえ、農民連の方たちの怒りの声を動画で見ることができた。

また、今どんどん縮小化を進めようとしている福島県の県民健康調査での事故当時未成年だった方たちを対象とした甲状腺検査は、まがりなりにも事故直後から公に続けられてきた調査だが、それ以外に生態系や人間、またはその他の生物に、放射線がどのような影響を及ぼすかは、まったく国や自治体によって調査されていないばかりでなく、それを調査しようとする研究者・科学者たちは、研究費を大幅に削られたり、嫌がらせにあったりしている事実がある。その中で、「今中・福本勉強会」と呼ばれる勉強調査グループでは、被災動物の調査を行ったりして、(低)線量放射線が生物と生態系に及ぼす影響などについて研究を続けるそれぞれの分野(昆虫や魚介類、サル、その他の動物等)の科学者と発表し合いながら意見交換をしているということで、その勉強会についてもお話をしてくれた。

この講演会ではいつもマコさんケンさんにライブでアコーディオンと針金アートのパフォーマンスをしていただいたのだが、去年からそれのZoomでの中継がうまくいかないことがわかっていたので、今回は私が無理とは思ったものの「動画に撮っておいてそれを共有してくださることは可能でしょうか」と超過密スケジュールのお二人に聞いていたら、それをすばらしい形で実現して私の希望を叶えてくださった。

最後の締めくくりの言葉にもあったように、「皆がそれぞれ自分のいるところで、自分のできるところでやれることをやって、政治を変えていこう」そのための連帯と希望を持ち続けること、「水に流」して忘れたり(海に放出して)見えなくするのではなく、しつこく追っていかなければならない、どうしてこうなったのか、それをだらだらと続けるとどういうことが起きるのか、ということを一人一人が考えていかなければならないと思った。チェルノブイリは40年経ってもまだ収束していない。たった15年で音を上げるわけにはいかない。

マコさんケンさんのすばらしい講演会は、以下のYoutube動画でご覧になれます。来年もまたお二人を招きたいと思う。(ゆう)

※おしどりマコさんケンさんの取材活動を支えるために、カンパにご協力ください。ご祝儀口座ページ⇒https://oshidori-makoken.com/%e3%81%9…

今回の講演会の共催団体:

よそものフランス  http://yosomononet.blog.fc2.com/

遠くの隣人3.11 https://nosvoisinslointains311.home.blog/

おしどりマコ&ケン        ZOOM講演会

フクシマ15年 ‐ 歴史を書き換えさせないために

2025年6月14日(日)

日本時間20:00~

ベルリン/パリ:13:00~

ロンドン12:00~

モントリオール/ニューヨーク07:00~

事前登録はこのリンクから:https://us06web.zoom.us/webinar/register/WN_5lZoZDGmT9-wdjXD7RPdhA

2026年3月でフクシマ原発事故から15年が経ちました。不十分な除染で帰還困難区域が次々に解除され、立ち入り禁止区域とそうでない区域との境を曖昧にし、イノベーションコーストなど、多大な資金を投入した復興再生と称するフクシマ事故歴史の書き換えと原子力産業の肯定が着々と進められています。ネガティブな事実を伝える報道が消え、社会でのフクシマ事故やその影響、被害者に対する関心が薄れていく中、福島第一ではたくさんの作業員が高線量の被ばくを強いられ、終わりの見えない廃炉作業が続けられています。同時に、「自己責任」で避難生活を強いられている方々が今もたくさんいます。その一方、東電広報担当者やその他のメディアの記者は次々に入れ替わり、事故発生以来の経緯を詳しく知る人は今や、おしどりマコ&ケンさんだけです。

フクシマ復興の成功例ばかりが広告記事で流される今、核心の問題点、東電や官庁が伝えない事実、見えにくくされているテーマを追求し続けるマコ&ケンの存在はますます貴重です。東電記者会見に通い続け、追及の手を緩めず、データをチェック分析するおしどりマコ&ケンによる恒例のオンライン講演会「フクシマ15年 ‐ 歴史を書き換えさせないために」。

【プロフィール】 マコとケンの夫婦コンビ。漫才協会/落語協会/保健物理学会会員。東京電力福島第一原子力発電所事故(東日本大震災) 後、随時行われている東京電力の記者会見、様々な省庁、地方自治体の会見、議会・検討会・学会・シンポジウム・被害者による 各地の裁判を取材。また現地にも頻繁に足を運び取材し、その模様を様々な媒体で公開している。2016年「平和・協同シャーナリス ト基金」奨励賞受賞。http://oshidori-makoken.com

欧州フランスとドイツで反原発・反核市民運動を続けている日本人を中心とした「よそものフランス」「Sayonara Nukes Berlin」「遠くの隣人3.11」で、今年も恒例のおしどりマコ&ケン・オンライン講演会を開催します。

2026年3月でフクシマ原発事故から15年が経ちました。不十分な除染のまま帰還困難区域が次々に解除され、立ち入り禁止区域と解除区域との境があいまいにされ、帰還政策が進められる中、「自己責任」で全国で避難生活を強いられている方々は今もたくさんいます。汚染水の海洋投棄や汚染土の再利用などの放射性物質の再拡散が強行され、同時に汚染水は処理水、汚染土は復興再生土としか称してはならないという言論統制まがいのことも行われています。今や原発は主要電源として位置付けられ、各地で止まっていた原発の再稼働が進められていますが、様々なトラブルで停止を繰り返しています。

そのほかにも報道されないため私たちが知らない事実がたくさんあります。力を持たない側の声を聞き、書き換えられる前の情報を集めることが、間違いを繰り返さない術と考えるマコ&ケンさんは、今となってはフクシマ事故以来あらゆる経緯を熟知する唯一のジャーナリストです。15年間東電記者会見に通い続け、細かい取材・調査・分析をし続けてきているお二人だからこそできる濃厚な報告を、今年もしていただきます。世界各地で同時視聴していただける時間帯を選択していますが、時間が合わず、ライブ視聴できない方たちのために、講演会は録画して後日公開しますので、必ずご覧いただけます。

参加費は無料。ライブ視聴には下記URLからの事前登録が必要です。

https://us06web.zoom.us/webinar/register/WN_5lZoZDGmT9-wdjXD7RPdhA

お二人の取材活動を支援する寄付金にもご協力ください。

マコさんケンさんのご祝儀口座: http://oshidori-makoken.com/?page_id=126

海外からの送金は、下記お問い合わせメールアドレスへご相談ください。

お問い合わせ E-mail:sayonara-nukes-berlin[at]posteo.net

©おしどりケン

©おしどりマコ&ケン

おしどりマコ&ケン        ZOOM講演会

Fukushima matters!                問い続けよう、知ろう、フクシマの現状

2025年7月12日(土)東京 20:00/Berlin/Madrid/Paris 13:00/London 12:00/Montréal/New York 07:00

事前登録はこのリンクから:

https://us06web.zoom.us/webinar/register/WN_jQhDPkk4SLKYbI_4RDp0NA

2025年3月で14周年を迎えたフクシマ原発事故。11月には燃料デブリからたった0.7グラムを取り出し、デブリ撤去が本格的に始まったかのように報道されましたが、その陰ではたくさんの作業員が高線量の被ばくを強いられました。

汚染水海洋放出が続行される中、空になったタンクを撤去する作業員も、底にたまった高線量の泥の処理で被ばくします。メルトダウンを起こし、たくさんの住民から故郷を奪い、今も収束からは程遠い原発事故ですが、どんどん事実を伝える報道が少なくなり、安全を謳う広告記事の方が大々的に流される今、核心の問

題点、東電や官庁が話したくない事実、見逃しがちなテーマを追求し続けるマコ&ケンの存在はますます貴重です。東電記者会見に通い続け、追及の手を緩めず、データをチェック分析するおしどりマコ&ケンによる恒例のオンライン講演会「Fukushima matters! 問い続けよう、知ろう、フクシマの現状」。

【プロフィール】

マコとケンの夫婦コンビ。漫才協会/落語協会/保健物理学会会員。東京電力福島第一原子力発電所事故(東日本大震災)後、随時行われている東京電力の記者会見、様々な省庁、地方自治体の会見、議会・検討会・学会・シンポジウム・被害者による各地の裁判を取材。また現地にも頻繁に足を運び取材し、その模様を様々な媒体で公開している。2016年「平和・協同ジャーナリスト基金」奨励賞受賞。http://oshidori-makoken.com

欧州・米大陸などで反原発・反核運動に取り組む日本人を中心としたネットワーク「よそものネット」では、今年もまたおしどりマコ&ケン・オンライン講演会を開催します。

2025年3月でフクシマ原発事故は14周年を迎えました。東京電力の旧経営陣が業務上過失致死傷の罪で、検察審査会の議決で強制的に起訴された裁判で、最高裁は上告を退け、無罪が確定されました。世界史上でも重大な事故の責任を「責任者」であるはずの経営陣が取らなくていいと司法が認めるということが、理解できません。原告団代表の武藤類子氏はその後の会見で「どれだけの被害がこの事故によって引き起こされたのか、どれだけの人が人生を狂わされたのか、未来の世代にどれだけの負の遺産を負わせたのか」と語りましたが、事故以来ずっと、せめて司法による正義を求めて闘ってきた被害者の方たちの悔しさを思うと、言葉になりません。責任が問われずに済むなら、こういう事故が再発する可能性が高まります。原発事故はまだ収束からほど遠いのに、当事国の日本では、海洋放出も汚染土「再生利用」もすべて「安心」と宣伝だけ熱心で、肝心の健康調査や避難者の支援などはどんどん減らされています。これまでに1gにも満たないデブリを取り出したものの、溶け落ちた燃料デブリは合計で880トンもあります。

そのほかにも報道されないため私たちが知らない事実がたくさんあります。14年間東電記者会見に通い続け、細かい取材・調査・分析をし続けてきているマコ&ケンさんだからこそできる濃厚な報告を、今年もお二人にお願いします。各国にまたがる「よそものネット」が世界各地で同時視聴可能な時間帯を選択しています。また、時間が合わず、ライブ視聴できない方たちのために、講演会は録画して後日公開しますので、必ずご覧いただけます。

参加費は無料。ライブ視聴には下記URLからの事前登録が必要です。

https://us06web.zoom.us/webinar/register/WN_jQhDPkk4SLKYbI_4RDp0NA

各国にまたがる「よそものネット」が世界各地で同時視聴可能な時間帯を選択しています。また、時間が合わなくてライブ視聴できない方たちのために、講演会は録画して後日公開しますので、必ずご覧いただけます。

お二人の取材活動を支援する寄付金にもご協力ください。

マコさんケンさんのご祝儀口座: http://oshidori-makoken.com/?page_id=126

海外からの送金は、下記お問い合わせメールアドレスへご相談ください。

お問い合わせ E-mail:sayonara-nukes-berlin[at]posteo.net

ドイツ- 核のゴミをめぐる抵抗の歴史と現状@zoom茶話会のご案内

脱原発は達成したけれど、まだまだ未解決の問題に溢れているドイツ。SNBメンバーの梶川ゆうがドイツの核のゴミ処分場問題について、現場を視察した情報を交えながらお話します。ぜひご参加ください。 

日時:2024年10月27日(日)19:00~21:00(+交流会)
会場:Zoom
主催:さよなら原発神戸アクション 
参加費:無料(カンパ歓迎)
申し込み:要(下記リンクをご利用ください。)

■お申し込みはこちらから↓(申し込み締め切りは、10月25日です)
https://docs.google.com/…/1FAIpQLSdSZHgblsVU6L…/viewform 

梶川ゆうのプロフィール:
フリー翻訳家、在独37年。ベルリンの日本人反原発グループSayonara Nukes Berlinを中心に活動。

ゆうからのメッセージ:
日本から9千キロも離れたドイツはフクシマ原発事故後「脱原発」を決定し、ついに去年2023年4月に達成されました。しかし、高レベル放射性廃棄物の最終処分場サイトはまだ見つかっておらず、中・低レベル放射性廃棄物の方は処分場建設がすでに始まっているものの、問題は山積みで、予定通り運転開始できそうにありません。条件を満たす最終処分場が完成し、運転開始するまでは、高レベルも中・低レベルも、廃棄物はしっかり遮蔽した状態で中間貯蔵施設に保管しなければなりませんが、最終処分場がいつまでもできないため、耐用年数が数十年しかない中間貯蔵施設に、しかも輸送と短期保管用にしか作られていない容器に入れられたまま、半永久的に保管される可能性があります。このように核の負の遺産をめぐって、市民運動が全国各地で続けられています。
中でも、長い間高レベル放射性廃棄物の最終処分場サイトに指定されながらもずっと抵抗運動を続け、とうとうサイト候補から取り外させることに成功したゴアレーベンの市民運動は、あらゆる市民運動のあり方に大きな影響を与えました。そのゴアレーベンの抵抗運動の話と、その他の核のゴミの処分場をめぐる問題と現状について、報告します。

■お申し込み後、フォームへ記載されたメールアドレスに自動返信機能で返信がいきます。
スマホのメールには自動返信のメールが送信されない場合がありますが、前日までに、ZOOMのアドレス、ID、パスコードをお知らせしますので、その案内が未着の場合は、下記のメールアドレスにメールください。
お問い合わせ:nonukekobe311★gmail.com
(上記のメールアドレスの★の部分は@に変えてください)

■タイムテーブル予定■
18:50 入室開始
19:00 はじめのあいさつ
19:10~20:30 梶川ゆうさんのお話 
20:30~20:35 休憩 
20:35~20:55 Q&A 
20:55~21:00 おわりのあいさつ
21時以降交流会を予定しています。

【カンパ歓迎】振込口座 郵便振替 00900-8-110030 神戸ネットワーク
※通信欄に<カンパ>と書いてください。

おしどりマコ&ケン Zoom講演会を開催します!『フクシマ原発事故から11年 私たちは何を知っているのか』

★参加費無料★お申し込みはこちらから https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_Juv_ZcWySDm0E2Frf-0YOA

 

『フクシマ原発事故から11年 私たちは何を知っているのか』

★開催日時★
2022年5月14日(土)
東京 21:00
Berlin/Madrid/Paris 14:00
London 13:00
Montréal/New York 08:00

2022年3月で11周年を迎えたフクシマ原発事故について、私たちはなにをどれだけ知っているのか。10年過ぎてから見えてきた事実、明らかになった情報は何か。私たちが把握または理解しておくべきことは何か。

事故以来、どのジャーナリストよりも頻繁に東電記者会見に通い、作業員や市民と交流し、メディアで取り上げられない問題点を地道に取材し続けているおしどりマコ・ケンが、二人だからこそ語れるフクシマの現状と問題点を細かく報告していただきます。ぜひご参加ください!

【プロフィール】

マコとケンの夫婦コンビ。漫才協会/落語協会/保健物理学会会員。東京電力福島第一原子力発電所事故(東日本大震災)後、随時行われている東京電力の記者会見、様々な省庁、地方自治体の会見、議会・検討会・学会・シンポジウム・被害者による各地の裁判を取材。また現地にも頻繁に足を運び取材し、その報告を様々な媒体で公開している。2016年「平和・協同シャーナリスト基金」奨励賞受賞。 http://oshidori-makoken.com

 

 

講演会のフライヤーをダウンロード

おしどりマコ&ケン講演会フライヤー2022

 

#日本は原発をやめられないのか -ドイツの取り組みと現状から学ぶ-

日本はなぜ原発をやめられないのか

福島第一原子力発電所の事故から10周年を迎える今年、これまでに個人的にも度々、勉強の機会をいただいている西村さんに、単独で講演していただいた。西村さんはいつものようの穏やかな口調で、ドイツはなぜ脱原発の道を選んだのか、その背景を詳しく語ってくださった。

 

地球温暖化 

世界の気温が100年あたり0.73度上昇している。日本では1.24度、1.3度上がると東京都の気候が宮崎県ほどの気候の様になるという。このままでは今までのような生活ができなくなる。ほぼ確実に言えることは、二酸化炭素の排出と気温の上昇は密接に関係しており、人間の出す温室効果ガスが世界の気温の上昇に強い影響を与えているということだ。またコロナによる経済活動の停滞での温室効果ガスの排出量の急減は、一時的なものに過ぎないだろう。IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change/気候変動に関する政府間パネル)の研究によると、気候変動の経済的な被害も甚大なものとなるとの予測がされている。例えば日本の気温が今後100年間でさらに3度上昇すると、世界の5分の1に当たるGDPの21%が失われることになる。今後、災害被害はますます大きくなる。

冒頭に紹介されたシロクマとヒグマ

この100年で北極の氷は40%ほど減少しており、居住環境を失ったシロクマたちは食べ物を求めて南下し、一方アラスカのヒグマは北上、ヒグマとシロクマの間に子どもができるという、自然界の生態系にも、これまでになかった異常事態が起きている。

写真左:暖房のないドイツのホテル (ドイツのエコ建築については、文末にある過去のブログもぜひ参照してください)

ドイツの取り組み

冬でも暖房なしで快適性を保てるエコ建築への推進。ハロゲンランプをLEDに変え、熱エネルギーの消費量を5分の1へ。クリーンエネルギーへの転換。ドイツでは消費電力のおよそ50%以上が再生可能エネルギーに転換された。しかし熱と交通分野の再生可能エネルギーの目標が停滞している。

エネルギーの消費量を抑えたライフスタイル。大量生産・大量消費のグローバル経済とはなじまないことから、社会そのものの仕組みを変えていく。同じ量の原料でより多くの製品を作る大量生産の仕組みから、より少ない資源で適切に製品をつくるビジネスへの転換。

こうして先進的な循環型社会に即したサーキュラー・エコノミー(Circular Economy/循環型経済)は、これまで主流であったリサイクルのみならず、ものづくりの段階で材料から考えていく。

西村さんがドイツのエネルギー転換で非常に優れているなと思うのは、地域の経済価値循環を維持するための取り組みが非常に進んでいること。経済価値循環というのは、基本的には、地域のお金を地域の外へ出さず、地域で循環させるということ。

日本では?安定供給⇒化石燃料と原発のベースロード、 経済効率性⇒コスパ 、環境適合性⇒科学的安全性、再エネの無謀な開発 、安全性⇒再エネの無謀な開発、原発を運転する企業の適格性…

世界のエネルギーの4Dとは、脱炭素化、分散化、デジタル化、自由化。ここにドイツでは民主化が加わり、日本では少子高齢化が加わることもある。蓄電の限界があることからも電力の3E+S(安定供給、経済効率性、環境適合性、安全性)が重要になるが、日本ではすべての項目において、SDGsやサーキュラー・エコノミーとの間にずれが生じ(写真)、世界の潮流に乗れていないという。

ドイツでは、再生可能エネルギーの発電所を一般市民である個人や農家が所有していることが多い。誰かが投資して与えてくれるものではなく、自分たちで投資して自分たちで地元に立ち上げていくものであるという意識も定着していると言える。日本にも市民が出資して再エネ発電所を建設する、日本のNPOのひとつ北海道グリーンファンドの“はまかぜ”をはじめとする各地域の取り組みがある。

基本的には再エネの推進、取り組むほどに地域が潤う。

こうした取り組みに熱心で、最も進んでいる自治体にドイツのライン=フンスリュック郡が挙げられる。この自治体では、ドイツの中でもとりわけ地域の経済価値循環に成功している。ライン=フンスリュック郡の借金は、市民一人当たり594ユーロ。同規模の自治体では平均2780ユーロ、ドイツ全体の自治体の平均が3519ユーロであることからも、非常に健全な運営がされていることがわかる。この地域では、これまでに年間約350億円、市民一人当たり34万円がエネルギーを輸入するために地域外に流出しており、2050年までに年間300億円を地域にとどめることが目標としてきた。地域にとどまったお金によって商店街の活性化や、自治体の建造物の省エネ改修、図書館の新設、幼稚園の完全無料化などを実現し、地元の価値はますます高まっている。

省エネ 

蛍光灯などをLEDに交換するだけで、一年間に一世帯1万円の電気代の節約にもつながるという。冷蔵庫を最新の冷蔵庫に買い替えると、10年前の冷蔵庫と比較して2倍、20年前のものでは3倍も電気代が異なる。こちらも年間1万円以上の電気代の節約となり、化石燃料の使用を減らすことができる。

小さな村の小高い丘には風車が立ち並ぶ。

ドイツの人口2500人規模のヴィルトポルツリート村では、地域の住民が出資して風車を建設、電力需要のおよそ7倍を発電し、出資者が8%の配当金を得るまでになった。気候変動に貢献するのみならず、再エネに取り組むとお金が入ってくることを実感した地元住民の92%が、小さな村に立ち並ぶ風車に賛成している。さらには余った電力を利用し、2011年に蓄電池の会社Sonnenを設立。わずか10年で、ドイツで最も蓄電池を売り上げる企業に成長し、2018年には石油会社Shellに買収され、人口2500人の村に再エネが数百億円をもたらした。

 

再エネにおける課題

再エネのコストは高いという印象があるが、ドイツではすでに再エネは化石燃料よりも低コストになっている。LEDや省エネ型の新しい冷蔵庫への買い替えも進み、ドイツでは個人の電気使用量はずっと下がっているため、電気代の単価が上がっても、全体的な家庭での支出は下がっていると言える。

発電業界では、大規模集中型から小規模分散型への転換が進み、電気の安定供給への対策としてVPP(Virtual Power Plant/仮想発電所)が主流に。ネットワーク化された巨大なエネルギーマネジメントシステムは、大規模電源よりも優れた安定供給を実現する。日本とドイツでは、電気系統が異なるが、必ずしもドイツのシステムが応用できないわけではないという。

このほか電気が足りないわずかな時間を補うために、蓄電池や水素をあてがい、地域で発電したものを地域で循環させることを目指す。結果として、先に挙げた自治体などのように、使ったお金は地元にとどまり、地域の経済価値が高まる。

ドイツでは、これまでの経験から大規模電源は扱いづらいということがわかってきた。従来の大規模電源である原発と小規模分散型の電源の共存は、経済効率の観点から持続不可能であり、システムの安定性を確保するためには、いずれどちらかの選択を迫られる。エネルギーの効率化を鑑みて、ドイツは国産で経済価値が循環する小規模循環型の再エネを選んだ。

エネルギー転換を目指すことによって、再エネは、地域にお金を残し、残ったお金は市民に健全かつ文化的に役立てられ、誰もが平等である社会に貢献される。このようにドイツでは、原発ではなし得なかったことが起きているという。

ドイツは総エネ60%の再エネ化を目指す

再エネの発電率を比較すると、それでもドイツはEUのなかで遅れを取り、足を引っ張っている。

今後ドイツでは、間近に迫る2022年の脱原発、2038年の化石燃料からの脱退が計画されており、2050年をめどに電力供給の80%、交通や熱を含めた総エネルギー供給の60%の再エネ化を目指すことになっている。

 

Q: 地域にお金を落とす再エネというのが日本の人々の意識に定着しないのはなぜ?

A: 専門的な話になると税制の違いなどもあるが、ざっくり言えば、日本では、誰かに任せておけば物事が解決するとの考え方が多い。ドイツでは、地方への交付金が非常に少なく、自治体は自分でお金を稼がないと地元を維持することができないため、地域が自主的に取り組んでいる。日本の場合は、稼ぎが増えると地方交付税・交付金が削減される。地方の努力が地方の豊かさに直結しない、中央集権型のシステムが国家レベルの問題としてある。もうひとつに学校など教育の場で、エネルギーについて話す機会が非常に少ないことも一因なのではないか。

(質疑応答の一部より)

参加者からのこのほかの質疑にも、丁寧にお答えしていただいていますので、以下のリンク先より、西村さんの講演の動画をぜひご覧ください。

日本のNPO団体アースウォーカーズによるプロジェクトで、ドイツの再エネを学びに渡独した福島県内の高校生を対象に、西村さんが開催された講演のブログも合わせてご一読ください。ドイツの省エネ建築と日本との制度の違いについても触れています。

ドイツの再生可能エネルギーに学ぶ福島の高校生 2019 http://snbblog.sundayresearch.eu/?p=4222
講演者:西村健佑氏

ベルリン自由大学・環境政策研究所環境学修士、エネルギー市場・政策エキスパート、ベルリンでエネルギー市場調査に関するコンサルタント会社Umwerlin (https://note.com/umwerlin) を経営。欧州のエネルギー・産業政策の調査、通訳、翻訳、また日独中小企業のビジネスコンサルも手がける。クラブヴォーバンメンバー。共著に『海外キャリアのつくり方 〜 ドイツ・エネルギーから社会を変える仕事とは? 〜 』『進化するエネルギービジネス(ポストFIT時代のドイツ)』

 

3月20日オンライン講演 「エネルギーの未来 ‐日本は原発をやめられないのか?ドイツの取り組みと現状から学ぶ」

フクシマから十年:西村健佑氏を迎えてのオンライン講演
「エネルギーの未来 ‐日本は原発をやめられないのか?ドイツの取り組みと現状から学ぶ」
ZOOMウェビナー
3月20日(土)12時(ドイツ時間)20時(日本時間)から

※参加お申込みは、https://us02web.zoom.us/.../reg.../WN_n58JCWq-TtmCgVzQale4nAにてご登録ください。
フクシマ原発事故から今年で10年。この事故をきっかけにドイツは脱原発へ舵を切り、2022年の終わりまでにすべての原発が停止されることになっています。一方原発事故があった日本では、いまだに原子力発電を「ベースロード電源」と据え、事故後すべて停止されていた原発も何基か再稼働されています。
ドイツのエネルギー政策に関して日本では間違った情報も聞こえるほか、原発をやめてどのようにエネルギー需要を賄っていくのか、疑問に思う方も多いでしょう。 まだ石炭に依存した火力発電が多いドイツですが、それでどうカーボンニュートラルを達成できるのか、再生可能エネルギーの割合を高めていく上での今後の課題など、ドイツから学べることはたくさんあります。
これから先、負の遺産・放射性廃棄物を残すばかりの原子力エネルギーとも、二酸化炭素を排出する化石エネルギーとも別れを告げ、どのようにして持続可能な社会を子どもたちに託していくことができるかは、今、私たちに与えられている最大の課題と言えます。フクシマ原発事故から10年、単に現状批判だけでなく、どのような社会を私たちは求めていきたいのか、どういうエネルギー政策がそれを可能にするのか、2005年以来ドイツに住む環境・エネルギーエキスパート、西村健佑氏に話を聞きながら皆さんと一緒に考えたいと思います。
ZOOMウェビナー
3月20日(土)12時(ドイツ時間)20時(日本時間)から
※参加お申込みは、https://us02web.zoom.us/.../reg.../WN_n58JCWq-TtmCgVzQale4nA
にて事前にご登録ください。

講演者:西村健佑氏(ベルリン自由大学・環境政策研究所環境学修士、エネルギー市場・政策エキスパート、ベルリンでエネルギー市場調査に関するコンサルタント会社Umwerlin (https://note.com/umwerlin) を経営)
主催:Sayonara Nukes Berlin (http://sayonara-nukes-berlin.org)

 

おしどりマコ&ケン オンライン講演会を開催します!    – フクシマ原発事故から10年 「緊急事態」を取材し続けてきた二人が語る フクシマの今とこれから –

 

※多くの方にご登録いただき、定員の500人に達しましたので、登録を締め切りさせていただきました。講演会の動画を3月10日に字幕付き(日本語、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、カタルーニャ語)でYouTubeのSayonara Nukes Berlinチャンネルから配信する予定です。

※3月9日に配信しました!

日時:2021年1月31日(日)

日本時間 22:00、ベルリン・マドリッド・パリ14:00     ロンドン13:00、モントリオール・ニューヨーク08:00

ZOOMウェビナー・参加費無料               ※参加ご希望の方は事前登録が必要です。

お申込みはこちらをクリックしてご登録をお願いいたします。

2021年3月、フクシマ原発事故は10周年を迎えます。人間にとって長い10年も放射性物質にとってはわずかな時間に過ぎません。コロナ禍、緊急事態宣言が発令されましたが、原発事故の緊急事態宣言は、2011年3月からずっと発令中のままであることを、今誰が意識しているでしょうか?

10年前に地震と津波に耐えた我が家を見えない放射線のために捨てることを余儀なくされ、故郷も生業も奪われた人たちは、今どうしているのでしょうか。

基準値を20倍の年間20mSvに引き上げ、おざなりの除染で帰還困難区域を避難解除をし、住民を戻そうとしてきた政府ですが、実際にどれだけかつての生活が甦ったのでしょうか。

実際に高い放射線を浴びた土地や海で農業や漁業を営んでいる方たちは今どうしているのでしょうか。

政府および福島県は事故以来、問題点はありながらも子どもたちの甲状腺定期検診を続けてきましたが、それを中止しようという動きもあるようです。実際に若者の甲状腺がんやその他の健康被害は増えているのでしょうか。

福島第一原発サイトでの保管場所が限られているからと、日本政府はフィルタ後も多種の放射性物質を含む汚染水の海洋放出を検討しています。放出に関する真相はどうなのでしょうか。

このようにいくらでも疑問はあるのに、詳しい情報がなかなか得られないのが実情です。そこでヨーロッパ大陸と英国、米大陸に住み、故郷の日本の問題を憂いつつ反原発・反核運動をする日本人のネットワーク「よそものネット」では、おしどりマコさんケンさんにオンライン講演会で報告していただく場を設けることにしました。お二人は事故以来東電の記者会見に通い続け、厳しい質問を投げかけてきただけでなく、健康や環境に対する影響を調査し、現地の人と交流し、福島第一原発での作業、フクシマに住み続ける人や避難した人が直面している問題を取り上げてきています。

切実な問題ながらも、未来に目を向けた希望ある姿勢で、接する人たちの心を朗らかにしてくれるのが彼らの魅力です。

各国にまたがる「よそものネット」が世界各地で同時視聴可能な時間帯を選択しています。時間が合わなくてライブ視聴できない、という方のために、そして報道されないフクシマの現状を世界の人々に知ってほしいという思いで、私たちはこの動画を録画編集し、字幕付き(日本語・英語・ドイツ語・フランス語・スペイン語・カタロニア語)で3.11までに公開することにしていますので、必ずご覧いただけます。公開の日程等は後日当サイトでお知らせします。

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【プロフィール】

マコとケンの夫婦コンビ。 漫才協会/落語協会/保健物理学会会員。 東京電力福島第一原子力発電所事故(東日本大震災)後、 随時行われている東京電力の記者会見、様々な省庁、 地方自治体の会見、議会・検討会・学会・シンホシウムを取材。 また現地にも頻繁に足を運び取材し、その模様を様々な媒体で公開している。 2016年「平和・協同シャーナリスト基金」奨励賞受賞。

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また、お二人の取材活動を支援する寄付金にもご協力ください。マコさんケンさんのご祝儀口座:                                      http://oshidori-makoken.com/?page_id=126

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ドイツの再生可能エネルギーに学ぶ福島の高校生 2019

メモを取る高校生たち、私も負けじとメモを取る

2019年8月11日。この日は福島を伝え再生可能エネルギーを学ぶ福島からの高校生たちのために、ベルリンに在住する再生可能エネルギーと環境政策のエキスパートである、西村健佑さんの講演が開かれた。

提供:UMwErlin

背景にある模様はClimate Stripe/気候ストライプと言われ、温暖化の傾向を視覚的に伝えるものだ。日本、ドイツ、北米、世界の過去20年に遡った気温の推移を表したストライプの紹介の後で、気候変動によって野生動物の生態系にも変化が見られており、このところはClimate Crisis/気候危機とも呼ばれるようになっている。今夏の欧州は二度の熱波に見舞われ、ドイツも二回の過去最高気温を記録したが、最も深刻なのはアイスランドやグリーンランドで観測史上最も多く氷河が融解している。放っておけば2020年代の終わりには北極の氷はほとんど失われるだろうといわれている。スウェーデンの高校生グレタさんが始め、国際的に拡大している気候変動問題のための学校ストライキについてはご存じの方も多いだろう。福島の高校生たちは、ベルリンで行われたこのFridays for Futureにも参加して、再生可能エネルギーの拡大を訴えている。(*1)

基礎中の基礎、エネルギー資源とは。

提供:UMwErlin

再生可能エネルギーは無限にあって環境に優しいが新しい土地が要る、原子力エネルギーは少ない量で多くのエネルギーを生み出すが、ウラン採掘からの健康被害、廃棄物の問題ともに深刻だ。化石燃料は万能型と呼ばれ、貯蔵や移動も簡単、しかし環境破壊、地球温暖化の原因につながっている。

提供:UMwErlin

これまでのドイツの脱原発までの道のりを電力の歴史と振り返る。ドイツのエネルギー転換は1986年のチェルノブイリの事故後、80年代後半には始まっている。2000年初頭には当時の政権が電力会社との脱原発への合意を得るも、のちのメルケル政権によってこの政策は後退していた。2011年に起きた先進国日本の福島の原発事故による衝撃は大きく、メルケル政権は2050年に最終的なエネルギー転換を完結するべく大きく舵を切った。2020年には脱原発、2025年には電力供給の40~45%、2030年には60%、2050年には80%の再エネ化を目標に掲げ、今年の話し合いでは2038年には脱化石燃料が新たな目標に加わった。

再エネと名高いドイツで本当に重要とされるのは省エネ。

省エネというと、冷暖房の我慢をはじめ、私たちの暮らしを窮屈なものにするようなイメージがあるが、実際にはどういう取り組みがなされているのか。

ドイツの建築物は壁が厚い!厚いほどに断熱性が高くなる。夏は屋外の熱を入れず、冬は屋内の熱を逃さない。年間を通してエネルギーを使わずに一定の温度が保たれる。また日本の窓枠に使われるアルミは熱伝導率が高いためドイツでは主に樹脂や木材が使われる。

ひとつには建物の性能をあげる(*2)ことであると西村さん。ドイツでは国で定められている省エネルギー政令の基準を満たさない新たな建築はできない。既存のアパートや家屋を改修する際にも、この基準が適用されなければならない。政令の基準は日本よりずっと高く、日本で一般的に売られているハウスメーカーの住宅では、各社の最高品質のものでもこの基準を満たすことは難しい。日本の学校ではせっかく設置された冷房が使われないなどの声を耳にするが、省エネ建築の窓を入れ替えてブラインドを入れ替えるだけでも学校の室温はだいぶ変わりますと西村さん。目指すべきは我慢することではなくほしいものを伝えること、エネルギーを使わなくても快適な居住空間や教室を手に入れることができる。

再エネはコストが高い、使いづらい、不安定と言われているが。

ドイツでは再エネの発電単価は、すでに原発や化石燃料よりも安くなっており、2014年には再エネの買取価格はこれまでの3分の1以下に。原発や化石燃料の高い理由には多大な補助金も含まれている。

提供:UMwErlin

ドイツのノルトライン=ヴェストファーレン州にある人口700人ほどの町ザーベック(*3)にある高校の高校生が自分たちの学校の屋根に太陽光パネルを設置して、この電気を販売し、売り上げを遠足などに利用している。こうした取り組みの結果、ドイツ国内の再生可能エネルギーの発電設備の所有者は、そのほとんどが市民である。およそ35%は家屋に太陽光パネルを設置している市民。ほか風力やバイオマス設備のほとんどが農家、そして電力会社ではない一般の民間企業。ドイツの大手電力会社4社は全体の5%しか所有していない。理由に大きな企業は効率の悪いものには投資できないことがあげられ、”使いづらさ”はむしろ一般市民の取り組み易さにつながっている。

提供:UMwErlin

また再エネの安定化には課題が残るもすでに技術はそろっている。電力の安定化というが、供給側のみならず、需要側である私たちが使用する電力も実は不安定であると西村さん。こちらは2014年6月28日サッカーのワールドカップの決勝戦の日のブラジルの電力消費図。青いラインは通常の一日を表している。この日は赤いラインで決勝戦があったため、仕事をしないもしくは早々帰宅して自宅やパブで試合を観戦したことで午後にはグラフが深く落ちている。ハーフタイムには、おそらく一斉に冷蔵庫を開けて飲み物を取ったりしたのではないか、ちょっぴり突起している。試合終了後には街に繰り出し大騒ぎをしたであろう、再び電力の消費量が上がっている。

こうした電力の需要と供給の安定化を目指すためのドイツの取り組みは、小規模の再エネ発電を制御し、管理することを目的としたVPPと言われるVirtual power plant/仮想発電所だ。日本ではまだ完全とは言えないが、ローカルエナジーやみんな電力でも取り組んでおり、熊本電力でも試みがなされようとしている。

なぜドイツは再エネと省エネの道を選ぶことになったのだろう。

日本の福島の原発事故を受け、時のメルケル首相が専門家を招集し安全なエネルギー供給に関する倫理委員会を設けたことは有名である。技術者による報告では、ドイツでは地震や津波がないことから、同様の事故が起きる確率は限りなく低いというものであった。しかし倫理委員会では、倫理的なエネルギー制度をつくりたいのであれば原子力はやめたほうが良い、地球温暖化をもたらすエネルギーからも脱退したほうが良い。これらの使用をやめることで、ドイツ社会には一時的な負担がかかるが、次世代のことを考えるなら今その方向に舵を切り、投資をする必要があるとの結論を示し、市民の批判や運動の高まりとともにメルケル首相の脱原発を後押ししたのである。

みんなが使うエネルギーをみんなが決めてよいし、決めなくてはならない。

第四世代原子炉に向けた技術やそれを推進したい人々がいるなか、総合して個人的に調べた結果、原発は要らないと考えるようになった。誰かの意見を聞くだけではなく、自ら調べて選んで決めて、できる限り行動してほしいと西村さん。

例えば30万人規模の日本の自治体が化石エネルギーを買うために、およそ40億円のお金が出ている。再エネを選択することで、この費用の3分の1から半分のお金を地域にとどめ、循環させることで、より良い意思決定を長期的にしていくことが可能である。安い電力を地域の外から買うだけでは全体的な最適化は成り立たない。こうした全体最適と部分最適の観点も大事である。そして情報の真贋を自ら確認すること、エネルギーを選べる時代に選ぶことへの責任、立場の違う人々との効率的なコミュニケーションについてを説かれた。講演を通して西村さんの人柄や人生哲学をも垣間見たように思う。

※一部に筆者による補足と脚色が含まれます。


*1:独で世界的な環境保護行動に参加 福島の高校生9人:社会:中日新聞(CHUNICHI Web)  https://www.chunichi.co.jp/s/article/2019081001001415.html

*2:ドイツの環境建築 – ドイツ生活情報満載!ドイツニュースダイジェスト http://www.newsdigest.de/newsde/features/8672-environmental-architecture-1/

*3:エネルギー政策の大転換を自治体が実践 - ドイツ NRW州の町ザーベックの挑戦 2014 https://www.klimakommune-saerbeck.de/city_info/display/dokument/show.cfm?region_id=408&id=375006


講演者:西村健佑氏 

ベルリン自由大学・環境政策研究所環境学修士、エネルギー市場・政策エキスパート、ベルリンでエネルギー市場調査に関するコンサルタント会社Umwerlin (https://note.com/umwerlin) を経営。欧州のエネルギー・産業政策の調査、通訳、翻訳、また日独中小企業のビジネスコンサルも手がける。クラブヴォーバンメンバー。共著に『海外キャリアのつくり方 〜 ドイツ・エネルギーから社会を変える仕事とは? 〜 』『進化するエネルギービジネス(ポストFIT時代のドイツ)』