Atomenergie und Klimaschutz: Falsche Klimafreunde
偽りの親環境派
ライマー・パウル
原子力で気候環境目標がより容易に達成されるのだと、原子力産業のロビーイストたちが主張している。しかし、それは正しくない。
原子力産業のファンたちは気候環境危機の時期には朝の空気を感じ取る(
政党所属またはそれに近い立場をとる原子力産業および石炭産業の組織、新社会自由市場イニシアティブ(INSM)、さらにNuclear Pride、技術のための市民といった財団や産業寄りの見せかけの市民運動が原子力と石炭火力発電所に賛成して行動を起こし、再生エネルギーを抹殺しようとしているが、この原子力の擁護派には、あのビル・ゲイツも入っている。『ワシントン・ポスト』紙によれば、彼は最近、原子力エネルギーの誤った有利不利について説得するために、アメリカ連邦議会の議員たちと会合をもった。ある公開書簡で彼はこう書いている。「核エネルギーは気候変動に対応するのに理想的である。なぜなら、それは唯一二酸化炭素を出さず、スケーラブルなエネルギー源であり、四六時中利用可能だからである」。マイクロソフトの創立者ゲイツはTerraPowerという会社をもっているが、ここでは新種の原子炉開発研究が行われているのである。
11月の末に、ヨーロッパ議会はマドリッドの気候環境会議(正式には「第25回気候変動枠組条約締約国会議」)の決議を修正し、いまや原子力は気候環境の救い手だとされている。この修正にCDU/CSU、FDP、AfDから38人のドイツ人議員が賛成票を投じ、残り52人は反対であった。かつて欧州委員会の委員だったギュンター・エッティンガー(CDU)は、どうせ原子力は必要不可欠になると述べたが、彼の同志ノルトライン=ヴェストファーレン州政府首相アルミン・ラシェット(CDU)も最近、核からの撤退は早すぎたと嘆くに至っている。
この『taz』紙にも核に賛成する記事が誤って寄稿された。「小さい害としての核エネルギー」というタイトルのもとに、二人の客員ライターは次のような非難を展開している。彼らはtaz Panter財団に属し、一人は原発企業EnBWの職員である。彼らによれば、ドイツは「緑の圧力によって」核の研究開発を広範囲にストップしてしまった。これに対し、将来を見据えるEUの隣国は原子力によるエネルギー転換までの時期に橋を架けたのだと。
経営的には原発の建設はもはや意味はない。コストが何倍にもなったからである。
「気候環境にニュートラルな原子力」というが、いったい何が真実なのだろうか。環境団体や反原発団体はロビー活動でなされる論議をファクトチェックすることを始めている。それによると、地球上に存在する原発は現在そのすべてで世界のエネルギー需要の2%、電力需要の10%を占めているが、そうなると、地球の二酸化炭素放出をわずかに減らすだけでも、膨大な数の原発の新設が必要になる。しかし、それは気候環境保護に間に合うほど早く建設できない。それにエネルギー需要が高まるため、古い原子炉も休むことができなくなる。
地球の温暖化を2度までに抑えるためには、世界中の二酸化炭素放出量を現在の370億トンから2050年の期待値50億トンにまで下げなければならない。ヴッパータール気候・環境・エネルギー研究所の報告では、このシナリオのために原発が寄与するのはせいぜい5%だとされている。しかもそのためだけでも何千もの原発が新設される必要があるというわけだが、それにしてもなんとグロテスクなヴィジョンだろう。
しかも、原発はけっして気候環境にニュートラルではない。環境庁によれば、ウラン鉱の採鉱、破砕、選鉱、核燃料への変換は放射性廃棄物の処理や保管、廃炉、ウラン採鉱地域の再自然化と同様、汚染の原因となる。ウラン鉱山の搾取が進行すれば、結果はさらに悪化するだろう。さらに最終処分で発生する二酸化炭素の放出に関しては予測もつかないのである。
原発はきわめて危険でコストのかかるものであるが、これは今後もそのままであろう。いわゆる平常運転でも原発は放射能を環境に放出している。最近では代替エネルギー資源は原子力発電よりはるかにコスト安になっている。営業的には原発の建設はもはや割りが合わず、コストが何倍にもなっている。専門家たちの見積もりでは、たとえばフランスのスーパー原子炉フラマンヴィルを建設するには60億ユーロかかるという。したがって原発は独裁国や半独裁国、あるいは原子力産業が国営であったり、膨大な助成金が出たりする国でしか新設されないのである。核融合炉のような、多大な努力がなされている絶対安全な新型原子炉の開発は停滞してしまっており、今後20年でこのテクノロジーが利用に供されることはない。
予測不可能なリスク
最後に、とりわけ高放射能性の核廃棄物の最終処分は世界中の政府にとって、いまだとっかかりも見つけられない大きな挑戦課題となっている。それにはまた、最近出た『World Nuclear Waste Report – Focus Europe』に述べられているような予測不可能な技術上、ロジスティクス上、経済上のリスクが伴う。
このレポートによれば、ヨーロッパだけでも - ロシアとスロヴァキアを除く - 6万トン以上の使用済み核燃料棒が中間処理施設に貯蔵されているという。これまで高放射性核廃棄物のための最終処分施設を稼働させた国がないからである。さらに、このレポートによると、ヨーロッパではこれまでにすでに250万㎥以上の放射性廃棄物が貯まっているという。ヨーロッパの原発はその耐用年数を超えて、およそ660万㎥の放射能廃棄物を生産しているのである。
このレポートは世界の国々から集まった何十人もの研究者たちによってまとめられたものであり、原子力の専門家マイクル・シュナイダーを中心とした研究チームによって毎年発行されている定評のある『World Nuclear Industry Status Report』を補足するものである。核時代が始まって70年後の今日、放射能を発するこの原発の遺産を真に解決することができた国は世界に一つとして存在していない。
(『taz』2019年12月14日記事)
元記事:
Atomenergie und Klimaschutz: Falsche Klimafreunde – taz.de
https://taz.de/Atomenergie-und-Klimaschutz/!5646067/
著者:ライマー・パウル
1955年生まれ。フリー・ジャーナリスト、執筆者。専門分野は環境、原発、交通、保健。おもに『taz』『Tagesspiegel』その他通信社。