橋本美香さんに聞く「核エネルギーと民主主義」

[:ja]福島の原発事故から5年、チェルノブイリの事故から30年の節目の今年、ベルリンで3月11日から長期にわたって開催中の「核エネルギーと民主主義」をテーマにしたProtestival2016。このテーマに沿って様々な職業人の立場からいただいたインタビューを連載しています。第七回目はシンガーソングライターで、制服向上委員会の名誉会長でもある橋本美香さんにお話を伺いました。

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“民主主義は名ばかりとなっている危ない社会が、地球上にはびこっていると思います”

 

―橋本さんが「核エネルギーと民主主義」から連想されるものはなんでしょうか。またあなたにとっての「民主主義」ってなんでしょう

橋本 「核エネルギー」では、原爆、水爆と言った戦争を想起されます。G7とかG20とかのサミットで軍縮とか非核計画とか何年もやっていますが、TPP同様に裏があり信用出来ません。それは、ひとりひとりの市民の代表として政治家が地球と人類の未来を考えなくてはいけないのに、政治家と大企業の利益を優先し国民には辛さを強いているからです。民主主義は名ばかりとなっている危ない社会が、地球上にはびこっていると思います。

―今から20年ほど前、私が高校生の頃には制服向上委員会はアイドルグループとして活躍されていました。橋本さんは結成3年目の3期生としてデビューされていますが当時はどんな思いで入会されたのでしょう

橋本 「歌が好き!女優さんもやれたら素敵だなぁ」という中学生の頃からの夢を胸に、高校1年生の夏に思い切ってオーディションを受けました。毎月コンサートを行うアイドル!という事に心惹かれて応募したのです。その後、ステージ経験を重ね、世界の様々な音楽に触れるうちにどんどん音楽の楽しさに魅せられ、いつしか自分でギターを弾き作詞作曲もするようにもなりました。また、社会活動やボランティア活動を通し自分の視野も広がりました。自分の意見を持って発信するということは、今でこそ当たり前のようにしていますが、それはこの長い活動の中で養ってきたことだと思います。

―制服向上委員会は立ち上げ当初から、社会活動を理念に挙げていたのでしょうか。それにはどういう目的がありましたか

橋本 そうですね。制服向上委員会は結成当初からLIVEとボランティア活動、そして社会活動を軸にしてきました。いじめ追放のデモ行進や、ベトナムの平和村を訪ね戦争の恐ろしさを学び日本でレポート展を開催したり、イラク戦争開戦時のWorld Peace Now*¹という反戦集会に参加したり、他にも様々な問題提起をしてきました。3.11後は、脱原発、憲法9条を守ろう、安保法案反対の姿勢で数多くの集会に参加し、いつしか「社会派アイドル」とも呼ばれるようになりました。世界では、政治的主張をはっきり表明したり、社会に対して物を申すアーティストが普通ですが、日本ではタブーとされる傾向が強いです。でも、制服向上委員会は時代に合った学校制服の提案と言った、身の回りの問題に積極的に取り組むグループとしてスタートしたのですから、これからも恐れずに自分たちの意見を発信したいと思います。

―3.11の後にフジロックの出演降板騒動などありましたよね。社会活動がもとで今までにメンバーがこうした体験をしたことがありますか

橋本 例えば、放送局の主催イベントで「脱原発の歌は、歌わないで欲しい」というオーダーがあったり、自民党批判の歌が話題になった時には、長年ボランティア訪問し仲良くさせて頂いた施設から「来ないで欲しい」と言う連絡が入ったりしました。施設役員や関係者に自民党の方が多く、資金面での影響も考慮し、圧力というよりほとんどが自主規制だったと思います。一方、アナウンサーの吉田照美さんのように制服向上委員会の「ダッ!ダッ!脱・原発の歌」*²をラジオで流して下さる方もいるので、とても心強いです。フジロックの件は「飛入り出演」と言う段取りの中で、当初ソロ出演予定の坂本龍一さんがグループ出演に変わり、セット時間の都合で私たちの時間がなくなり、他のステージでのパフォーマンスを何とか調整しようとスタッフの方が動いてくれていたのですが、連絡ミスで問題が生じたものを、不用意に私がツイッターでつぶやいたことが発端でした。ツイッターというツールの凄さと、SNSの影響力について私が勉強不足だったことで騒ぎになってしまい、ご迷惑をお掛けしとても申し訳ないと思っています。脱原発のために、同じ方向を向いている方たちと、しっかり歩んでいけたらと思います。

―311以降、日本の運動を間近で見てきて感じることはありますか

橋本 勇気をいただくのは、どこの集会やデモに参加しても、高齢者の方が本当に元気で頑張っていることです。子どもたちの未来を思って行動して下さることに、胸が熱くなります。それに最近では、若者の参加も増えてきて、とても良いことだと思います。さらに勢いをつける為にも、もっと”興味をもってもらう→聞いてもらう→届く”ためのアプローチを考え直す時期だと思います。乱暴な言葉、シュプレヒコールで沿道の人たちから怖い集団だと思われるのはやっぱり嫌だしもったいないです。デモや集会に参加する原動力はやはり”怒り”ですが、誰かに届ける為のデモや集会じゃないと意味がないと思うのです。だからこそ、長年運動をしてきた方たちの知恵と、若者のセンス、そこにアイデアを加えていくことで、デモや集会のあり方を変えていく時だと思います。

―これからしていきたいことはなんでしょう

橋本 私にもあなたにも出来る事がある。やりたい事とやれる事を知って、気づいた問題に取り組んで行きたいです!

Sayonara Nukes Berlin(SNB)ではベルリンで行われた昨年、2015年反原発かざぐるまデモ*³のために「合図磐梯山」のリミックス*⁴を公募していたのですが、制服向上委員会にもぜひ参加してほしいと伝えたところ、直ちに素晴らしい楽曲が届いた感動が今も忘れられません。この曲も含まれるということで、なんと制服向上委員会の42番目のアルバム「戦争と平和」が手元に届きました。

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制服向上委員会のCDはアイドルジャパンレコードのオフィシャルオンラインショップでお求めいただけます。CDの売上の多くは各地の集会へ参加するための活動資金になっています。 http://www.idol-japan-records.net/online/index.html 

この楽曲のレコーディング風景も見られるこちらのプロモーションビデオでは、参議院議員の小池晃さんや福島みずほさん、市民の声として Mamademoのメンバーのみなさんもレコーディングに参加され、”戦争はいらない“ ”原発はいらない“と歌われています。「歌える場所があればどこへでも」の精神で日本の全国各地で活躍される、制服向上委員会のみなさんの今までの活動を凝縮するような 映像もぎっしりつまっていて必見です。

―新しいアルバムへの意気込みを!

橋本 平和を願う国民の声をより多くの方に届ける為に、NHKの紅白歌合戦出演を目指しています!力を貸してください!

―最後にみなさんにメッセージがあればぜひ!

橋本 私も小さな子どもを持つひとりのママです。子どもたちの為にも平和な世界を作っていきたい。そして、世界中に平和を望んでいる人たちがいます。戦争のない、原発のない世界になると信じて、共に頑張りましょう!No Nukes!No War!

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橋本美香(はしもとみか、1980年2月7日 – ):シンガーソングライター。制服向上委員会名誉会長。2015年11月18日テイチクエンタテインメントより寺山修司未発表作品を含む全17篇「もし、ママになろうとしていたら」をリリース。15歳で制服向上委員会のメンバーとしてデビューし20年在籍(5代目リーダー、2代目会長歴任)を経てソロアーティストとしても活動。 2014年に出産。著書に「脱がない、媚びない、NOと言えるアイドル」がある。橋本美香 facebook: https://m.facebook.com/mika.hashimoto.ski 、公式ブログ: Powered by LINE

メンバーそれぞれの思いをつづるブログも更新中!制服向上委員会公式サイト: SKi-Familyオフィシャルサイト

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補足:

*¹ World Peace Nowブログ  http://worldpeacenow.seesaa.net/

*²「ダッ!ダッ!脱・原発の歌」オフィシャルPV https://www.youtube.com/watch?v=ly_i8f-j0xU

*³ 2015年かざぐるまデモ http://sayonara-nukes-berlin.org/?p=1642ブログの末尾にあるかざぐるまデモのドキュメンタリービデオでも制服向上委員会の「会津磐梯山」が使われています

*⁴ 会津磐梯山リミックス 2015年3月7日に脱原発を願ってベルリンで行われたかざぐるまデモ「福島を忘れない」のために提供された14曲の会津磐梯山リミックスを無料ダウンロードアルバムとしてリリースしています。ダウンロード先 https://sayonaranukesberlin.bandcamp.com/album/remix-for-fukushima

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ベルリンで開催中の「核エネルギーと民主主義」をテーマにしたProtestivalの看板イベントでもある写真展がいよいよ本日より公開されます。

樋口健二&広河隆一 写真展 Nuclear, Democracy and Beyond

2016年4月15日(金)から5月22日(日)まで
オープニングセレモニー4月14日(木)19:30
(Dance Performance by Bodypoet Kazuma Glen Motomura and Soprano Takushi Minagawa)
場所:Willy-Brandt-Haus, Stresemannstr. 28, 10963 Berlin開館時間 火~日曜日 12時から18時まで
(最終入場17:30)月曜休 
入場無料 ※入場には身分証明書の提示が必要です。

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Facebookイベントページ:https://www.facebook.com/events/1691820644434393/

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