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福島県教育委員会作成放射線教育用学習ビデオ教材についての勉強会 (3)

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「科学的」と「安全」について

この他の学年用のビデオでは「科学的」という言葉もあった。科学的に測るとか,あるいは科学的に安全というようなことも良く言われる。しかし,私にはそのビデオで言っている「科学的」の意味がわからない。なぜわからないのかを説明しよう。まず,私の考える科学的についてちょっと説明する。

科学的ということに関しては様々な解釈があるだろう。私が思う科学的とは,「世界を観察し,繰り返し観察される共通となるような真実をもとに,その観察される現象をより理解可能な要素に分解し,それを論理的に組みたて,理解のための仮説を提案し,実験により確認して,世界の理解をすすめていく方法」と言ってみようと思う。しかし,これではかなり難しくなってしまった。これも何を言っているのかわからないということになりかねない。そこで,一つ例の話をしよう。それからまた戻って考えてみて欲しい。でもこれは私の考えでしかないことにも注意して欲しい。(ただし,ここにあるものとかなりの部分は共通している)

「食べ物は胃で消化されるのに,どうして胃は溶けてしまわないのだろうか?」という話を私の言う意味で科学的に考えてみる。ここでは胃で食べ物が消化されるということはわかっているとする。それは観察されることで,この議論に加わる人達は皆共通の真実と考えたとしよう。そこで,この議論に加わっていたロッコさん(仮名)が仮説を言ったとしよう「胃は消化されないものからできている」この仮説は食べ物は消化されるが,胃が消化されないということをモデルにする考えだ。とてもいいと思う。では,これを確かめられるか? ひとし(仮名)さんが「中華料理には胃の料理がある」ことに気がついた。では,皆でそれを食べて実験してみよう。そうしたら,ひとしさんなど複数の人が次の日にトイレに行って,胃の料理が消化されたことを確認した。つまり,胃そのものは消化される。これでロッコさんの仮説は棄却されてしまった。そこで他の仮説を考えてこれが説明できないかを考える。人間の胃袋は動物とは違うという仮説も可能であるが,そうすると動物の胃袋は動物自身に消化されないことの説明ができないので仮説としては(世界の現象を理解するすすめにならないので)あまり意味がない。

これが私の言う科学的方法というものだ。観察し,それがなぜかを考えて仮説をたて,仮説に基いて検証し,間違いならさらに仮説をたて,現象への理解を深めていくことだ。この例では,問題を分解するなどなどはしなかったので,「世界を観察し (胃が消化されない),…,理解のための仮説を提案し(胃は消化させないものでできている),実験により確認して(胃袋の料理を食べ,トイレに行く),世界の理解をすすめていく方法」ということになる。この話ではまだ「食べ物は胃で消化されるのに,どうして胃は溶けてしまわないのだろうか?」の結論はでていない。科学的方法自体には結論がでていないものも多いから,ここでは結論は出さなかった。私の言う科学的とはプロセスであって,科学的とは何かがわかっていることとも違うこともわかって欲しいからだ。

「科学的に放射線を測る」ということがこのビデオで出てきた。特に中学年用の 7:35 秒は衝撃だった。「では,どうしてこのように放射線の量がわかるのでしょうか? それは,放射線は測ることができるからです。」である。これはトートロジーである。広辞苑には「トートロジー,同語反復: 定義する言葉が定義さるべきものを言葉通り繰り返す定義上の虚偽。」と説明されている。

「なぜ今日はあたたかいのでしょうか? それはあたたかいからです。」「車はどうして走ることができるのですか? それは車だからです。」これらは理由の説明になっていない。どうして? の解答ではない。「なぜ放射線は測れるのか? それは測れるからです。」これが放射線についての理解を深める教材ビデオのした説明である。これを科学的と言うことには衝撃を受けた。このどこに科学があるのだろうか。科学的理解とは観察し仮説をたて実験して検証するプロセスを通して世界を理解していくことだ。どうして放射線は測れるのか? に対し,例えば,歴史的な経緯で,蛍光版が反応していることに気がついたとか,感光板が感光してしまうことに気がついて存在がわかってきた,とか,そういうことは言えなかったのだろうか。。霧箱が本当に放射線を可視化しているのなら,どうして霧箱周辺を放射線計測器で測って対応を見せなかったのだろうか? 霧箱が測定できる放射線と,γ線の測定器の測れる放射線が違うからか? しかし先生は,「このように身の回りにあって測れる」と言ったではないか。なぜそれを科学的に証明しようとしないのか。ところで,
霧箱を作っている会社のページにはこの霧箱は自然の放射線を見せているのではなくて,霧箱内部に置いたラドンなどの核種を見せています。とある。この製品はガラスと金属に覆われているので,α線やβ線は入ってこれないからです。とある。確かに先生は,α線は紙でも止まりβ線はアルミニウムなどの板でも止まると言った。説明はおかしくないだろうかと確認すると,「普通の生活では見えない放射線も霧箱の中では観察できる。このように身の周りに放射線があるのです。」と説明している。これはどういうことなのだろう?

私はこのビデオの「科学的」に「科学」を見ることができない。だからここで言う科学的の意味がわからない。ファインマンという物理学者がこういう説明を批判して,何もわからないのなら,どんな名前でも同じじゃないか。と言う話がある。それはエネルギーの話だったが,ここでも同じことができるだろう。放射線のお話とは言わなくてもいい。ヨダソウのお話とでも言えばいい。ピッと音がなるたびに,ヨダソウが通った。科学の力でヨダソウの存在が測定できるのです。すばらしいですね,ヨダソウ。

科学的と言う意味を考えずに,科学的というだけでそれが正しいの同義語などと考えるのはやめにしよう。理解しなければ,それはヨダソウにすぎない。「ヨダソウとは何か? ヨダソウのことだ。」では理解にはならない。

では,時々聞く「科学的に安全」とはどういうことなんだろうか。まずそこには何が「安全」なのかを知らないといけない。「安全」の意味は何か? 「安全」の定義とは何だろう。誰がそれを決めたのか?

以前,SNBのメンバーに何 mSv では安全とか科学的にわかっていないのか? という質問を受けた。私の定義での科学的に知るためには,前にいったように,安全とは何かを定義し,それを観察して,ある現象に対して仮説をたてて,それをまた検証しなくてはいけない。

たとえば,年齢別に 1万人の人を集め,半分の人達に放射線を浴びせ,もう半分の人達は放射線を浴びせずに,その違い以外は同じ生活をしてもらう。そしてその量と病気などの関係を長期間に渡って調べる。これによって科学的な実験ができる。しかし,それは倫理的にできるのか? 放射線は 100 mSv まで安全という人に,99 mSv を浴びる実験台になってもらうべきだという意見の人もいたが,そういう実験をするのは科学の前に人間として許されないという問題がある。そうすると科学的に実験によって危険性を確かめることはかなり難しくなる。

私はこういう危険なものの安全性を確かめながらおっかなびっくり使うよりも,そういう問題がそもそもないエネルギー源を使えばいいじゃないか。そういう技術はけっこうあるじゃないかと思っている。まあ,それには異論もあるだろう。でも避けられる危険なら避けたほうがいいと思う。我々にはそういう技術がある。

例として,ウクライナでの放射線の安全性というのは,人間が 100 mSv を越える放射線を浴びると危険であるという説に基づいている (アメリカ合衆国国立生物工学情報センター).  ここでは,These data provide clear evidence of radiation-induced cancer risk at doses above 100 mSv. とあり,「これらのデータから,100 mSv を越える線量を浴びた場合にはガンのリスクがあるというはっきりした証拠が提供される」とある。しかし,前回の「寄らば切る」の話のように,100 mSv 以下なら安全とはこの研究結果でも「言っていない」のだ。実は 100 mSv では危険は確実というこの同じ報告の中で, 10 mSv から 100 mSv でも危険があるかもしれないと言っている部分がある。しかし,10 – 100 mSv でも危険があるかもしれないという部分はほとんど聞くことはない。

そこでウクライナでは人間は 100 年位の寿命があるとして,1 mSv/yの場合,一生で 100 mSv だから,この基準にしようとした (ウクライナの事故への法的取り組み)。

日本で 20 mSv/y で帰還していいという人達は,もしもウクライナと同じ説に基づくなら,人はここには 5 年は住まないから大丈夫という「安全」を考えたのかもしれない。それならば何らかの理屈が見えてくる。20 mSv/y × 5 y = 100 mSv なので,これ以上の滞在は危険とわかっている。だからこれ以上は住まないように,という基準なのだろうか。ちょっと待って欲しい。前回の「寄らば切る」の話を思いだそう。ここから先は危険なのは確実としても,それ以下は安全とは「言っていない」。「安全」とは何かを知らないのなら,落とし穴に落ちることになるだろう。数値がどうかなんてのはこのように安全の定義を変化させればいくらでも操作できる。

つまり,少なくとも 2 つの説明が必要だ。1. 「安全」の定義は何か? 2. 「科学的」とはどのように調べ,どのような証拠が得られたのか。これについて定義がなく。説明がないのなら,それは私の言う科学的ではない。

「安全」とは何か。誰がどうやって決めたのか? たとえば,どこかが毒で汚染されていて,でもそれが安全という場合,安全というのはどういう意味か。それはその毒を摂取した場合,1 年は生きていられるという意味なのか? それとも 2 年は生きていられるという意味なのか? 100 人その毒を摂取したら,次の日には 3 人しか死ななかったので,97 % 安全です。などということもあるかもしれない。100 人のうち 3 人死んでいるが,97 % の生存率ならばすごい安全だ。そういう定義かもしれない。この場合,1ヶ月後には 100 人全員死亡しているかもしれない。それでも,1 日の生存率ならば嘘は言っていない。1ヶ月後,全員死亡しましたが,安全です。ということも,この定義ならば科学的にも論理的にも正しい。だから論理的とか科学的と言うことで「はいそうですか」というのはあまりにナイーブだ。私は怖い。100 人のうち 97 人が 1 ヶ月無事だから安全です。という意味の安全だったら,それを私は「安全」の定義として受けいれられるのか? 安全の意味を知らなければ,安全ですと言われただけでは何も意味がない。

そして,「科学的」とは何だろうか? どうやって検証されたのか。この場合,その毒を実際に多数の人間に摂取させてわかったのか? いったいどうやってわかったんだ? どこにエビデンスがあるんだ? 科学的の定義が違う人もいるかもしれないが,仮説をたて,実験をして理解を深めるという私の定義では,実験されないものは科学的ではない。特にたまたま一人で実験して大丈夫でしたというのは一回限りで再現性がないので科学的とは言い難い。まず,科学的と言う人に,あなたの言う「科学的」とはどういう意味なのか,私は尋ねざるを得ない。

だから私は新聞などで説明のない「科学的に安全」という言葉を見る度に,どういう意味なんだ。と考えてしまう。これは私にはあいまいな言葉で,ほとんど何も意味していない,非科学的な言葉だ。

今回の放射線のお話のビデオでは,多岐に渡って考えることが多かった。もっと多くの議論ができることと思う。私はできれば,このビデオを見た子ども達と一緒に考えていきたい。科学的とはどういうことか。メッセージは何だったのか。どうしてこのようなビデオができたのか。そして,このビデオを見せている先生には,子どもが社会に出て生きていけるように,自分で考えることについてぜひ少しヒントをあげて欲しい。この文章がそのヒントの 1 つになってくれると嬉しい。

現実は厳しいものだ。夢の中で生きていく方がいいかもしれないこともある。しかしそれができるのは一部の人達だけで,ほとんどの人達には現実は情け容赦なくふりかかってくる。現実を認識し,それに向かっていくときに考える方法が少しでも見え,それが子ども達の未来を少しともしてくれることを願う。そしてそれを子ども達と議論することが,大人としての責任ではないだろうかと思う。

根拠もなく,安全だ,大丈夫だ。僕達はすごいんだ。では子ども達を守れない世界にしてしまったことを,子ども達にすまなく思う。一番簡単なことは,誰かのせいにすることだ。しかし,それでは子ども達は守れない。でも,そのままで良いと私は思わない。

だからまずは知って考えていこうと思う。

今回の勉強会の講師は「廃炉のおはなし」と同じふくもと氏でした。ありがとうございます。
記録は私,ひとしでした。

最後に,「ヨダソウとは何か」ですが,後ろから読むとわかるかもしれません。本当です。ヨダソウ。

ひとし

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福島県教育委員会作成放射線教育用学習ビデオ教材についての勉強会 (2)

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2.2 放射線のおはなしビデオ

放射線のおはなし(低学年)というビデオをマー君達と見て,僕らは少し話し合った。このビデオの話のすじはこういう感じだ。(読者にはもし機会があれば実際のビデオを見て欲しい)

放射線について勉強しましょう。

でもまず「生きるために必要な 4 つのこと」を考えましょう。

水は生きていく上で必要なものです。
土は生きていく上で必要なものです。
火は生きていく上で必要なものです。
空気は目に見えないけれども生きていく上で必要なものです。

では,目に見えないけれどもまわりにあるものについて考えます。
宇宙はどこにありますか? 空の高いところにあります。
太陽から届くもの,それは光,熱,紫外線,放射線です。

私達の身のまわりには放射線がある。放射線は見ることも音として聞くこともできないが,測ることができる。

放射線はレントゲン写真として役にたっている。
放射線を使って殺菌することで役にたっている。
放射線はジャガイモの芽がでないようにするために役にたっている。

原子力発電所では,生活の役に立つ電気を作っていた。
東日本大震災が起きて,事故で放射線が漏れ人々が避難した。
どうして人々は避難したのだろう?

火は沢山あると火事になる。
水は沢山あると嵐や台風で洪水。
火や水と同じく放射線も多すぎると危険,だから避難した。

これから放射線について学んでいきましょう。

別にいい話じゃないかと思うかもしれない。マー君はどういうメッセージを受けとったかな。メッセージって何かって? どんなお話にもメッセージがあるんだ。そのお話を作った人が伝えたいことだよ。僕が君に話をする時は少なくともそうさ。お化けとか河童のおはなしもそうかって? もちろんさ。お化けってのはね,死ぬというのは怖い,良くないことだという考えを伝えるためさ。それが本当に怖いことか良くないことかはもっと大きくなってから自分考えて欲しい。できれば僕と同じように怖いと思ってもらえるといい。命は大切だと思ってもらえたら嬉しい。河童の話? 河童は子どもを食べるんだよ。だから川に行かないようにっていうのさ。これはね,大人の都合だけど,子どもが川で溺れないようにするためさ。怖い怪物が川にいるなら,川には行きたくないだろう。でもマー君,川には本当に河童がいるから一人で行ったりしてはいけないよ。

このビデオの話は,もう少し短くすればこんな感じに受けとめられたかもしれない。

火や水や土や空気は生きていくのに必要なものだ。
火や水や土や空気は身の回りに昔からあったものだ。
放射線も身の回りに昔からあったものだ。
火や水は多すぎたら危険だけど,少なければ大丈夫。
放射線も身の回りにあっていろいろと役にたっているんだよ。

君は僕の授業を受けているから,大人も先生も間違うし,言いたくないことは言わないってわかっているよね。でも,僕は君に伝えたいことがあるし,それがいいものと信じて話をしている。でも僕にも間違いがあるかもしれないから,君には自分で考えて欲しい。たとえば,算数やかけ算は君が大人になれば習っておいてよかったと思うものだとわかってくれると思って教えているんだ。理科だってそうさ,知らないと君を騙そうとする人に対処できない。この水を飲めば癌が直るとかね。本当に直るのもあるかもしれないよ。でも,そうじゃないことだってあるんだ。それは君が自分で判断しないといけない。残念なことに君を騙そうという人がいないとは僕には言えない。だから賢くなって欲しい。騙されなくなって欲しい。

このビデオの話はまず,最初の 5 分間は放射線の話がない。「放射線のおはなし」なら,「放射線とは○○です。」というふうに始まっていいと思わないかい? マー君について説明するお話なら,僕はまず「マー君とはこういう人です」というふうに話をはじめると思う。でも,ここでは 6 分間も放射線の話をしないんだよ。そして火や水や土や空気の話をするんだよ。僕はね,関係ない話をえんえんとしていると思ったね。君はどう思った? 放射線のお話なら,放射線の話をすればいいじゃないか。6 分と言えば,このビデオの 3 分の 1だよ。どうして関係ない話を 3 分の 1 もするんだろうね。考えてみてよ。放射線と水は関係あるんじゃないかって? ないわけじゃないけど,でも水は放射線じゃないし,土は放射線じゃないよ。

そして,

火や水や土や空気は生きていくのに必要なものだ。
火や水や土や空気は身の回りに昔からあったものだ。
放射線も身の回りに昔からあったものだ。

という話になった。ここで,君は素直だから,放射線は生きていくのに必要なものだ。と思ったんじゃないかい? アルキメデスの 4 元素を出してきて,それは身の回りにあります。昔からあります。生きていくのに必要なものです。と言われて,実は,放射線も身の回りにあります。昔からあります。と言われたら,「生きていくのに必要なものです。」と思う人もいるかもしれない。でもそれは言っていないよ。「それは言っていない」んだよ。

  • ウイルスだって病気だって,身の回りに昔からあったものだ。
  • 毒キノコや,毒ヘビだって,身の回りに昔からあったものだ。

これも「言っていない」んだよ。関係ないから? そうさ。火や土だって,放射線とは何か, の話に何の関係がある? でも言っている。身のまわりに昔からあるものが全て生活に必要なものだなんて言っていない。火を燃やせば二酸化炭素が出る。部屋を占めきって火を燃やせば,二酸化炭素中毒でたいへんだ。二酸化炭素だって昔からあった。身の回りに昔からあった。どうして二酸化炭素の話はしないんだろう?

「放射線も身の回りに昔からあったものだ。」

だから何なのだろう。このお話を作った人が何が言いたいのか考えよう。メッセージを考えるんだ。何がここで言われなかったのか。この教材はとてもすばらしい批判的にものを見る教材になる。でも,君の年では先生のガイダンスがとても重要になる。

僕達は安全ということを考える。君達には安全で健康で育って欲しいからだ。それは親の多くが思うことだ。放射線を学ぶ教材が作られたと聞いて,僕は君達の安全と健康のためにこういうビデオが作られたんだと思ったよ。

でもここでは安全という話はあまりなかったね。放射線がどういうものかもあまりなかった。結局身のまわりにあって宇宙からきたりするものらしい。まあ,難しいからかもしれない。でも安全についてこのビデオでは言って欲しかった。役に立つかどうかばっかりだ。役に立つならいいことじゃないかって? うーん。

役に立つことと安全かどうかは別の話だ。包丁やナイフだってとても役に立つけれも,そのままで安全なものではない。車だってとても役に立つものだけど,子どもが運転していいものではない。責任ある大人が試験を通ってやっと使わせてもらえるもの,そういう意味では危険なものだ。役に立つならなんでもいいというわけじゃないし,それは誰にでも安全かどうかはあまり関係がない。

レントゲン写真は役に立つだろう。でもレントゲンを取ったことのある人なら,レントゲンを取るお医者さんがその部屋から毎回出ていくのを知っているだろう。レントゲン写真で使う X 線も人間の体には害を及ぼすからさ。そこにいたら危険なんだ。だからお医者さんはいつも他の部屋に行くんだ。役に立つものでも危険なものはいっぱいある。

放射線を使って殺菌する。それは役に立っていることだろう。でも,菌というものも生きものだ。それを殺すことができるということはどういうことか考えてみよう。紫外線と似ていると言う。日焼け位した方が健康だという人もいるかもしれない。多いといろんなものが危険になるというのは,まあ僕も賛成だ。紫外線だって浴びすぎれば病気になる。ガンの放射線治療というのも聞くだろう。ガン細胞はとてもやっかいでなかなか死なない。それを殺すことができるような強い毒を使うこともある。そのうちの一つが放射線だ。放射線ほどガンを殺す能力が高いものもなかなかないからだ。役に立つということと安全というのは同じことではない。それはこのビデオでは言っていなかった。火や水は僕たちの生活には絶対必要だ。でも先生の言うことを良く聞いてごらん。放射線がないと僕たちは生きていけないとは「言っていない」んだよ。火や水が多いと危険なように,放射線も同じように多いと危険だ。と言っていたけど,放射線がないと,僕たちは死んでしまうとは「言っていない」んだよ。気がついたかい?

放射線でジャガイモの芽がでないようにする。これを役に立つ例として出してきたのはすごいね。じゃがいもはじゃがいもの植物の子どもだ。子どもが成長しないようにする。これはどういうことなのか,考えてみよう。これはビデオを作った人もここまできたら,役に立つということと安全とは関係があまりないことだと伝えたかったのかもしれない。

ビデオの中の放射線によってじゃがいもの芽がでないようにする説明部分。勉強会にて
ビデオの中の放射線によってじゃがいもの芽がでないようにする説明部分。勉強会にて

役に立っていたということが繰り返されたのは,これは伝えたいことだからなのだろう。しかし,役に立つことというのは,どういう意味なのかな。役に立つには,誰かがいないといけないね。誰にとって役にたったのだろう? 原子力発電所の事故で人々が避難しなくてはいけなくなった。その場合,避難した人々の生活には役にたっていないみたいだ。役に立つとはどういうことだろう。多分,役に立つことはいいことだ。って誰かに言われてきたんだよね。それはいつも本当なのかな。そうじゃない時もあるかもしれないんじゃないかな。いろいろと考えることが増えちゃったな。

あと,世界中の人がある量の放射線を浴びているというのもあったね。地域によって違うとかはあっても,自然放射線を浴びていること自体は本当だろう。それでどう思った? 世界中の人が浴びているのなら心配はないって? どういうことかな。

たくさんの人がしていることは安心できるってこと? うーん。この場合,自分で選んでないとか,もっと大事なのは,自然にあるものに追加された量がどうかなんだけど。。。皆が同じなら大丈夫ってこと? なるほど。そうだね。じゃあ煙草は,たくさんの人が吸えば安全になるのかな。世界中でもっと多くの人がすえばもっと安全になるのかな? 皆が吸った方が安全になるの?

この場合,「どれだけの人がするか」と「安全」とは関係がないとは思わないかい。煙草を吸う人が増えれば増えるほど煙草が安全になるかというと,煙草自体は変化していないのだから,個々の安全性は関係ないと思うよ。放射線を世界中の皆が浴びれば浴びるほど安全になるなら,皆で放射線を浴びればいい。本当にそうかな? この場合には皆がやっているというのは皆がやっているというだけのことだ。ここで重要なのは,このビデオが「皆が浴びているんだ」ということで何を言いたいのか,どんなメッセージを送ろうとしているかを考えることさ。「赤信号,皆で渡れば怖くない」という冗談が昔あった。「放射線,皆で浴びれば怖くない」というメッセージ?これはちょっとブラックだったかな。何を言っているかわからない? まあ,考えてみてよ。「考えてみて」ばっかりだって? 僕が答えを全部あげられることはない。だから君には今から考えて欲しいのさ。

僕の頃は論理の基礎は中学で習った。マー君はまだ 9 歳だから,論理についてあまりちゃんと習っていないかもしれない。でも,こういうビデオを見なくてはいけないのなら,もっとちゃんと習わないといけないね。大変だねえ。僕たちは言葉で考えるのだから,その言葉の使い方を,何を意味しているのか,何を意味していないのかを考えなくてはいけない。その助けになるのが論理というものだ。でも実は意味を理解していないとあまり助けにならない。

私の好きな先生の本に,論理の話があって,「寄らば切る」と言うさむらいの話がある。ある時,ある町人はそのさむらいの近くに寄らなかったのに,そのさむらいが切りかかってきた。「寄らば切ると言ったじゃないか。俺は遠くにいたじゃないか。どうしてわざわざ近くに寄ってきて切りかかってくるんだ」という町人に,「寄ってこない時に何をするとは言っていない。寄らば切る。とは確かに言ったが,寄らずとも切る。それだけだ。」とそのさむらいは言った。ひどいさむらいだと思ったよ。寄らば切ると言っただけだ。でも,確かに「寄らずとも切る」とは言わなかった。くやしいけどさむらいは論理的には間違っていない。でもひどいとは思わないか。論理的に正しいけどひどいよ。論理的に正しいからいいなんてこともないんだ。論理は考えの道を照らしてくれるけど,そこに進むかは君次第なんだ。そこに穴があると教えてくれても,そこに進んで落ちるかどうかは君次第なんだ。だから勉強するのはいいけど,勉強したからってそれだけじゃだめなんだ。勉強するとか努力することが考えもせずにとにかくいいことなんて信じてはいけない。どうして勉強するのか,どうして努力するのか考えて欲しい。「また考えてみて」だって? まあ,そうなんだけど。

火は身のまわりにあって,生きていくのに必要なものです。
土は身のまわりにあって,生きていくのに必要なものです。
水は身のまわりにあって,生きていくのに必要なものです。
空気は身のまわりにあって,生きていくのに必要なものです。
放射線は身のまわりにあります。

このビデオはこう言っていたね。僕は「寄らば切る」のさむらいよりも,くどいだけひどいと思ったね。よくわからない? うーん。そうだなあ。僕はね,マー君がこういうビデオを見た時に,ちょっとだけ考えて欲しいんだ。先生が言ったことは素直に聞くものだと先生に言われた? 確かに。それで君の安全と健康が守られるなら,僕もそう言うだろう。君が将来安全に生きていけるならそれでいい。でもね,もしかしたら,僕達は君の安全と健康を守れないかもしれないと,僕は思うようになったんだ。こんなことを君に教えないと君が将来困るかもしれないということになってしまった。ゴメンネ。でも,僕がしてあげられるのは,こんなふうに考え方をちょっとだけ教えてあげることだけなんだ。

え,どうして僕がこんなことを話すかって? いいところに気がついたね。むしろ気がつかなかったら困ったことだった。ビデオを作った人達と同じように,僕も君に伝えたいメッセージがあるからさ。ここにあるのは僕のメッセージだ。このビデオを作った人が伝えたいこととは多分,別のメッセージなのだけどね。どうして僕が君にこういう話をするのか,それを考えるのもとてもいいことだと思うよ。

君が僕を考えずに信じたらそれは残念なことだ。僕の言うことを疑って考えて自分で理解して欲しい。僕の言うことをそのまま信じるような人になっちゃあいけない。僕も間違いをする。「考えてみてよ」でしょうって。その通り。「ひとしさんが,ひとしさんを信じないようにって言うけど,信じないようにってことを信じたら,ひとしさんの言う通りだ。でもそれは駄目ってひとしさんは言うのでしょう。何もできないよ」って? まいったな。いや,すばらしい。マー君,君は論理学を本格的に学ぶ準備ができているよ。

僕が君にこういうことを言うのは,簡単に言えば,この社会には民主主義という方法があって,その場合,大多数の人が騙されたら,僕もその人達と一緒に強制的に騙されないといけないことが多いからなんだ。そして僕は騙されたくない。だから,騙される人はできるだけ少なくしたいんだ。なんだい? 自分が騙されたくないだけかって? エゴと言われるかもしれないけど,確かにそれは大きな動機だよ。僕も若い頃は,僕だけ騙されなければいいと思っていたこともあったよ。でも皆が騙されないようにならないと,困るというのも本当さ。もちろん僕がマー君を好きで,君が騙されて欲しくないといういうのもあるから,君にまず話をしているんだけどね。

マー君,君が自分で考えて理解して判断するようになりますよう。皮肉に聞こえるかもしれないけど,このビデオは批判的思考法を鍛えるにはとても良いビデオだった。本当だよ。マー君には,情報が来た時に,「何を言っていないのか」「メッセージは何か」を考えて情報に触れるようになって欲しい。

紫外線の説明と放射線の説明を並べたもの。紫外線も放射線も目に見えないと説明しながら,矢のような形をしており,放射線にだけはさらに「目」がついている。さて,このビデオの作者は,何を意図して放射線だけに「目」をつけたのだろう? 考えてみよう。
紫外線の説明と放射線の説明を並べたもの。紫外線も放射線も目に見えないと説明しながら,矢のような形をしており,放射線にだけはさらに「目」がついている。さて,このビデオの作者は,何を意図して放射線だけに「目」をつけたのだろう? 考えてみよう。

次回はこのビデオの語らなかったもう一つのこと,科学的と安全ということについて話をしよう。

ひとし

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福島県教育委員会作成放射線教育用学習ビデオ教材についての勉強会(1)

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1. 勉強会報告について

1 月に SNB では,福島で行なわれている放射線教育のビデオ教材についての勉強会がありました。この記事はその報告です。この報告は 3 回に分かれています。

今回の報告では,教材の内容についてよりも,私がこの教材を見てどのようなことを考えたかについて書くことにしました。

視点としては,私が一番なじみのある,技術者の目を通して見たらどうなるのか,を考えました。ある意味,このビデオは平凡な物を作っている技術者の持つ,critical thinking から見て面白い教材です。これを教材に他のビデオを見る目を考えることを念頭に置きました。

私はソフトウェア技術者なので,ソフトウェアの不具合 (それをソフトウェア技術者はソフトウェアのバグ (虫) と言います) などを追いかけることがあります。この場合,ソフトウェア技術者はある意味,探偵の目でバグを追いかけます。どこかにソフトウェアの問題になる犯人 (バグ) が隠れている。なぜ犯人が隠れているとわかるのか? それはたとえば,ソフトウェアがクラッシュするなどの目に見える症状があるからです。そこでその症状を起こす犯人がここにいるのならこれがあるはずという仮説をたて,それを検証していきます。また,もしそれがないということはここにはいない。というふうにも考えていく視点です。あるいはそれがないということは,この犯人はこうしたはずだ。というふうに「何かがない」ことも犯人を追う一つの手掛かりになります。ソフトウェアの場合には,犯人を追うための道具にバグがあったり,ある時には,コンピュータ (ハードウェア) が実は壊れていることもあります。そういう意味では探偵仲間に裏切りがあることもあります。しかしこの記事ではそこまでは考えませんでした。今回は,このビデオが何を言ったのか,そして何を「言わなかった」のかを考えることになります。

また,「科学的」と言えば,いいことだとつい無条件で考えてしまう,「役に立つ」ものなら無条件でついいいことだと考えてしまう,「安全」と言えば,その安全の意味は何かは実はあまり考えたことがない。そういうこともよくあると思います。そんなことも一歩立ち止まって考えてみたらいいのではないかなと考えて書いてみました。

この勉強会については私のような視点だけではなく,他の視点からもいろいろと書けるのではと思います。少しだけふれますが,一つとしては,このビデオについて情報リテラシーという観点で書くのも面白いと思います。

しかし,キュービズムのように同時に複数の視点を表現することでものをとらえる,というのは,私には荷が重く,その点は私は今回はできませんでした。他の視点からのブログを書いてみたいという人はぜひお願いしたいと思います。

お楽しみ下さればと思います。

2017-1-21 福島県教育委員会作成放射線教育用学習ビデオ教材についての勉強会の様子
2017-1-21 福島県教育委員会作成放射線教育用学習ビデオ教材についての勉強会の様子

2.1 はじめに

今回,Sayonara Nukes Berlin では,福島県教育委員会の作成した,放射線教育用学習ビデオ教材 (平成 27 年 3 月) を 2017 年 1 月 21 日に見る機会があった。

正直,このビデオを見て私は愕然としてしまった。私はその内容についての意見もあるが,それ以前にも,この製作者の考える教育についての疑問である。このビデオを作成した人達がどうしてこのような形でこのビデオを作成したのか考えざるを得なかった。

私の考える教育には,「子ども達が社会に出た時に生きていけるようにするための知識や考え方を訓練する」ことも含まれている。私達の社会は残念ながら理想郷ではない。だからものごとを筋道たてて考えることを子ども達には学んで,そしてできるだけ騙されないように生きていって欲しい。良い人ばかりなら,「君はとてもすばらしい。」とだけ言って育てればいいかもしれない。しかし,たとえば仕事を探すことを考えてみたら,今の社会ではただそこに存在するだけでは生きることは難しい。多分,それは社会の方が間違っているのだろうけれども,では私は子ども達に社会が間違っているから,生きていけなくて残念だねとは言えない。そこで,それぞれの個性の中に,他の人達を助けられるような,そういう部分を伸ばしていって,そして生きていって欲しいと願う。それは私のエゴでもあろう。でも,私は自分や友人の子ども達が世界の中で生きていけるようにするためにできるだけのことをしたい。

ここでは私の視点が述べられる。それは私の経験などに基づいている。だから,私の書くことが唯一の真実だなどとは言わない。私は技術者で物を作っている。物が設計したどおりに動くかどうかは私の感情や希望とは関係がない。私がそこにある物理などを理解しているかどうかに多くがかかっている。私はそういう視点からこのビデオについて議論をしたという話をしたいと思う。他の視点からのアプローチもあるはずだ。それはまたいずれ他の人が書いてくれるだろう。

だから,私は今回はちょっとした寓話の形でこの教育ビデオについて書いてみたいと思う。私には,他に良い話の仕方がわからなかったからだ。そして,私はこのビデオを作った人達に関しては実はあまり関心がない。これを見る子ども達,そしてその親や先生達に考えてみて欲しい。私達は現実の中に生きている。夢の中に生きて,何もしなくても生活ができるような,めぐまれた人達は,現実を認識する必要もないかもしれない。自分が何もしなくても世界ですばらしいとほめてもらってその夢の中で生きていける人達はそれでいい。しかし,そうでない私のような人間は現実を認識し,生きていかなくてはいけない。

甘い言葉ばかり聞いているのは,お菓子ばかり食べているようなものだ。時々食べるお菓子は心にうるおいをもたらしてくれるだろうけれども,それしか食べないのでは,病気になってしまう。私は子ども達にお菓子もあげたいが,でも,ちゃんとした食事もして欲しい。

このビデオについての目的は,福島県教育委員会のホームページ(http://www.pref.fks.ed.jp/committee.html) からのリンクにある相双教育事務所のページでみつかる (http://www.sousou-eo.fks.ed.jp/07%20%E2%85%A6_%E5%8F%82%E8%80%83%E8%B3%87%E6%96%99.pdf) それをまず書いておこう。

指導の重点

  1. 学校や地域の実状及び児童生徒の実態に応じた指導計画及び指導内容を工夫し、実践する。
  2. 放射線等の基礎的な性質について身に付けさせ、自ら考え、判断する力を育む指導方法を工夫する。
  3. 放射線から身を守り、健康で安全な生活を送ろうする意欲と態度を育てる。

この指導の重点を見る限りは良さそうに見える。そして私達は実際のビデオを見た。

次回は寓話的にこのビデオの話をしたいと思う。

ひとし

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ソーラーハウス (Effizienzhaus) 見学

[:ja]2016 年 2 月 1 日に何人かで Berlin の Fasanenstrasse にあるソーラーハウスを見学する機会がありました.このソーラーハウスは Bundesministerium fürUmwelt, Naturschutz, Bau und Reaktorsicherheit によって実験として建てられたものです.プロジェクトは Effizienzhaus Plus mit Elektromobilität と言い,「電気自動車を含む効率的家屋プラス」とでも訳せばいいでしょうか.

このソーラーハウスはドイツでは 35 件建てられたエネルギー効率の高い実験用の通常の家屋の1軒です.それぞれが異なる建築家によるもので,一件一件異なります.ベルリンのものは写真のようにかなりモダンなキューブ形状です.しかし,伝統的なドイツの家のようなものもあります.

Berlin にある Effizienzhaus Plus
Berlin にある Effizienzhaus Plus
Effizienzhaus Plus 内
見学会での説明会 (Effizienzhaus Plus 内)

エネルギーの効率的な家屋,と言っても Plus と名前にあるように,省エネではなく,「年間で作るエネルギーが消費するエネルギー以上になる家」の実験として建てられています.これは電気自動車 1 台を含みます.それぞれの家では,公募で選ばれた家族が1 年住んでエネルギー消費の実験をします.この家にはこれまで 2 家族がそれぞれ 1 年住みました.

この家はソーラーパネルを使って電気を生産し,蓄電池に貯める方式です.この家の建築家は家庭でのエネルギー消費は,主に朝,そして夕方から夜にかけてあり,昼は家族が仕事や学校に行くために下がると予想し,ソーラーパネルを東と西の壁に設置してあります.また,外観 (色) を重視したため,エネルギー変換効率が10% と比較的効率の低いパネルを利用しています.

ドイツでは家屋では暖房でのエネルギー使用が大きいので,窓は 3 重構造の熱を伝えにくいもの,換気には熱交換器,暖房はヒートポンプを利用し,南側と北側は大きなガラスで採光を重視,また,電灯は LED を利用,壁も断熱を重視するなど,様々な省エネの技術を利用しています.また電気エネルギーだけで全てすむようにガスなどは利用されていません.

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熱を逃がさない 3 重構造ガラス

実験結果は,初年度には家で消費する分のエネルギーは生産できましたが,自動車の分まではまかなえませんでした.しかし,この家ではエネルギー消費をモニタリングしており,2つの大きなエネルギー消費源が特定されました.1つは熱交換器が製造した会社の説明通りに作動しなかったことで,これは交換されました.そして,リビングからすぐ階段がありますが,リビングの熱が階段に抜けていくことも判明しました.そこでリビングの出口にガラスのドアを1枚設置しました.この変更の後,2年目にはこの家で生産されたエネルギーの総量は年間を通すと,家屋と電気自動車のエネルギー消費を含めて上まわりました.また,動きセンサーライトは,猫を飼っていた最初の家族には合わないという話もありました.

様々な最新技術が使われているのに,目標達成には結局「1枚のドア」が足りなかったということは興味深いことでした.やはり,実際に実験する必要があるのです.また,利用者のマインドが省エネをあまり考えずに,少し浪費する傾向があったことです.確かにエネルギーが全部自分の家で生産されるとなると,あまり省エネを考えなくなるかもしれません.しかしそれは社会のマインドとしてどうなのかという新しい問題を提起します.あとは,空気の熱を逃がさないという意味では窓は開けない設計というものもあるそうなのですが,住んだ家族には窓が手動で開けられるということは重要な要素だという結果などもあります.これらの結果は全て online で見ることができます.

さて,ここからは私の感想です.

私がこの家を見て思ったことは,「こんなボーグキューブみたいな家には住みたくないな」でした.ただ,これはこの家が3年で解体する実験予定だったことや,建築家のデザインによるもので,他の Effizienzhaus Plus には「この家なら住んでみたい」というものもありました.また外観は私の好みではありませんが,内装は良かったと思います.

今回の見学では,技術の成熟が見えてきたことが印象に残りました.この家は既に 2012 年のものですが,ドイツの技術は既に,

省エネではなく,エネルギー生産であること

です.そして,先にデザインの好みの話をしましたが,私が感じた問題は既に技術的な性能問題ではありません.デザインが重要になってきたということは技術が成熟してきていることを示していると思います.私は 1999 年に 5 色の iMacというコンピュータが登場した時のことを思い出します.私にとって,コンピュータは性能でした.「CPU が Power PC 750 の 266MHz はいいが,メモリが少ないかな.」などと思っていました.しかしその当時,あまりコンピュータになじみのない人達が,「何色の iMac がいい?」と,色の話をしていたことに驚きました.インテリアのデザインの一部としてコンピュータが考えられた時,技術の成熟を感じました.一般に広まる時には,性能はあまり問題ではないのだと驚きでした.

今回の家でもそうでしたが,ソーラパネルの性能は落としても色を重視するというデザインが考えられていました.今後重要なのは,色のあるソーラーパネルなどかもしれません.今後,様々な色のパネルが生まれ,それがデザインとなって,やがてソーラーパネルとはわからなくなる時に,この技術はより成熟するのでしょう.このような家は,エネルギー効率だけを語る時代ではなくなりつつあるまで進歩していました.たとえば,緑のソーラーパネルのある家は,遠目には庭の植物と一体化するようになるかもしれません.

自然エネルギーの他のもの,例えば風力も,風力と見てわかるようなものではまだまだかもしれません.それはオランダの風車のように風景となる方向に進歩するかもしれません.もしかしたら遠くから見たら木のように見える風力発電機ができるかもしれません.垂直軸発電方式など既にある技術がやがて景観を考えたデザインとなる日が来るでしょう.風力発電地域はいつか森のようにしか見えないという時が来るでしょうか.いや,本物の森の木々の中に気がつかないように風力発電機がある,そういう形で技術が成熟していくのかもしれません.発電所は自然がいっぱいある公園であるという未来をふと想像してしまうような家でした.[:en]At February 1st, 2016, some of us visit to a solar house in Berlin, Fasanenstrasse. The minister of Environment, nature protection, construction, and reactor safety (Bundesministerium für Umwelt, Naturschutz, Bau und Reaktorsicherheit) built the house as an experiment of energy efficient house. The name of project is “Effizienzhaus Plus mit Elektromobilität.” This means efficient house plus with electric mobility.

They built 35 experimental houses in Germany. Each house has own outlook designed by different architect. The house in Berlin is shown in the picture. It has a modern cubic shape. But of course there are houses that outlook is a classic German house, too.

Berlin にある Effizienzhaus Plus
Effizienzhaus Plus in Berlin
Effizienzhaus Plus
An explanation session in a Effizienzhaus Plus

The house is called an efficient house however also “plus” is in a name. The goal of this house is to show “generating more energy than consuming it through a year.” This includes the energy of one electric car. In the experiment process, a few public offered families live in each house for a year. Two families lived in this house so far.

The house generates energy by solar panels and store it in the batteries. The architect puts the panels on the west and east side walls and the top of the house. It would be more efficient if the panel is at the south wall, however, a typical family consumes energy in the morning, the afternoon, and at night, but not in the noon time. If they use energy directly, it is more efficient. The south side has a large glass window to get the sun light. The architect made outside looking more important than the panels efficiency, so he has chosen a specific color panels but lower energy efficiency (10 to 15%).

Heating is the largest energy consuming component of typical house in Germany. Therefore most of the effort of saving energy is related with heating. In this house, the triple layer glass is used for the window. The ventilation system uses a heat exchange mechanism. The heating uses a heat-pump system. Efficient LED lights are used for the illumination. The wall is made of low thermal conductivity materials, yet the material is recycle friendly. All the house system is adapted to use electric energy, then the house doesn’t have other external dependency for energy.

Triple glass window panes with low heat transfer
Triple glass window panes with low heat transfer

The result of the first year did not generate all the energy they consumed. The house could only generate the energy consumed in the house, but not for the car. But this is an experiment. The researcher monitored the energy consumption details in the house and found the two unexpected behavior. One is the low efficiency of heat transfer system. It didn’t work as in the specification from the provided company. Thus, they exchange the device. The second problem was the energy consumption of the living room. This room was connected to the staircase and the heated air just ran away from this connection. So the architect put a glass door. The result of the second year (with the second family) was successful. The house generated the energy more than the family consumed including a car electricity. The architect thought that the motion sensor was good for saving energy for lights, but the first family had a cat. and they found out this was not so efficient.

It’s interesting for me that this house just lack of “one door” despite all the high technology for saving energy. The experience is useful. Another interesting issue in the report was about the mindset of the family. The family realized they don’t need to save energy, since the house generate it. So their mind set becomes a bit more extravagance about energy. I understand this, but is it a good for society at the end? I am not sure. This could be a question for the next experience. The architect prefers the fixed window, which you cannot open them, for the energy saving point of view. But, the family reported it is important to be able to open the window manually. It is also important for a house not only for the energy, but the house is the big place where the life is going on. So the house keeps the window that you can open them manually. All these results are published as following (online).

The following is my personal memo.

My first glance of this house was, “I don’t want to live in this house. It looks like a Borg cube!” But this is based on a specific architect and he has also limitation in design. The original plan was for three years experiment for this house and the architect can only use some limited technology. There are 35 different designs of the Effizienzhaus Plus. I found some houses attractive. But I like the inside design of this house.

My impression is that the technology is matured. This house was built at 2012. At that time, the German technology of this area was

Energy generation instead of energy saving

I first said about the design. This means that it is already not the technical issue even in my mind. I felt the design was important. I felt that the technology is matured. I recall when the five color iMac showed up in 1999. For me, the most important factor of a computer is performance, memory, and functionality. I thought “iMac? Power PC 750, 266MHz, sounds nice, but isn’t the main memory too small?” However, some of my friends told about iMac, “Which color did you buy?” I was shocked. Why color? Later I looked back that time, the computer becomes commodity. The design is very important if you put it in a house instead of an office. I understand when something became common in your life, the design matters.

The same as this house, the architect chose a specific solar panes color, and he has chosen a low efficiency panel (10-15% efficiency). He had chosen the design over the efficiency, yet to aim the primary goal. For the next generation solar panels, I think they need more colors. I already heard about such research for solar panels. The technology will create the solar panels of any colors, then we will not notice that is a solar panel one day. The design will be more important than the energy efficiency. If a house with green solar panels, you could not distinguish the house and the garden from the distance.

Other natural energy generators would go to such direction. For instance, a wind turbine would look not a wind turbine. One direction would be windmills in Netherlands, that made the scenery itself. Or a wind turbine looks like a tree. There is an vertical axis wind turbines. Maybe we could make a turbine that resembles a tree which fits in a forest. The wind turbine area becomes a park mixed the silent turbines and real trees. This is one direction of this technology. One day, we have a power plats that is a natural park. I imagine that kind of the future and I see it is good.[:]

安保法制成立後の日本社会とどう向き合っていくか@ロンドン

[:ja]10月10日ロンドン某所にて開催されたイギリス在住の大学生らによる「安保法制成立後の日本社会とどう向き合っていくか」と云うテーマの交流会に参加した。安保法制強行採決以後の日本社会に対して、自由と民主主義のためと云う観点からわたしたちがどう考え向き合って行けば良いのか、また行動していくためのネットワーク作りの場として、会の趣旨にふさわしい大変有意義な集まりとなったと思う。

主催者の大学生の挨拶

スカイプを通して、日本のSEALDsメンバーから日本で急速に広がりを見せつつある市民運動やその意義について、首都圏反原発連合や戦争させない・9条壊すな!でおなじみの総がかり行動実行委員会ら他団体との良好な協力関係、または相互支援があったこと。普通の大学生らの活躍により、一般市民に参加を促すためのハードルを下げる役割があったことなどが語られた。

英エセックス大学人権センターフェローの藤田早苗氏

英エセックス大学人権センターのフェロー藤田早苗氏の“自由と民主的な社会のために必要なこと“では政治と日本のメディアの在り方についても問われた。

後半は参加者同士のフリートークの場に。幾つかのグループに分かれ「あなたにとって最も関心のある日本の社会・政治問題は何か」、「その問題に取り組むうえで最も重要な事は何か」について議論をし、同席した学生らから活発な意見を聞くことができた。

私は、社会や政治問題については個々にあるとして、こうした問題に取り組んでいくための土壌づくりについても話した。例えばドイツの学校の教育課程にはふんだんに議論の場が設けられており、学生たちは早くから様々な問題について討論している。学生たちは必ずしも是否や善悪などを決議するためにのみ討論するわけではなく、どんな意見にもその相手の存在を認め、耳を傾け、議論する。教師は生徒が自己を主張する行為に点をつける。こうした過程や場面は各家庭ごとにも度々見受けられる。子どもがしたい事、したくない事にも理論があって、主張があるものに応じる大人たちの姿を日常的に目にする機会がある。みんなにそれぞれの主義主張があり思想が違うのは当たり前だ、そういう前提に立って積極的に話し合える社会づくりをしていくこと、これは私たちが直ちに個人単位で取り組んでいけることでもあり、こうした土壌づくりが今後みんなにとってより良い社会を育む糧になると考えている。

私たちSayonara Nukes Berlin は原子力の利用に反対するベルリンもしくは近郊都市に在住する市民の集まりであり、趣旨のひとつには原子力にまつわる話題(健康/環境/政治/社会/法律)に関して独立した情報と議論の場づくりを掲げている。311以降、フクシマはもちろんのこと、秘密保護法、今回の安保法制の強行採決に至るまでに、今や日本はもとより国際社会からも日本の民主主義の在り方が問われている。この度の会の趣旨が私たちの活動にも関わりのあるものとして、今後もこの活動に積極的に参加していきたいと思う。R

————————————————————————– 2015/10/10 【ロンドン】安保法制成立後の日本社会とどう向き合っていくか:イギリス在住者による交流会(IWJ動画) http://iwj.co.jp/wj/open/archives/269833[:]

最終処分の話をしようや (10): 付録 4: 最終処分の保存期間10万年の根拠は?

[:ja]前回は線量の単位のシーベルトについて,それが測定方法に注意が必要なことを述べました.また,放射線にはいくつも種類があること,その修正係数の違いなどから,国によってもシーベルトは異なるものになることがあることを述べました.いろいろと難しい話だったと思いますが,自分や家族の安全を判断するには必要な「(生体が影響を受ける)放射線の強さ」についての話でしたのでできるだけ詳しく調べたつもりです.

今回は最終処分の話によく出てくる10万年という保存期間の話についてです.いったいこの期間にはどんな根拠があるのでしょうか?

採鉱時のウランの安全性/危険性

最終処分での放射線のレベルと経過時間との関係では,採鉱時のウランのレベルを基準としています.しかし採鉱時のウランの放射線レベルが安全なのか危険なのかという話がなければその基準がいいのかどうかわかりません.自然のものだからいつも大丈夫というわけでもないので,この安全基準というのはどういうものかという疑問がでてきました.例えば毒蛇や毒茸,火山地帯などで噴出するガスなどは自然にあるものですが,自然にあるから安全というわけではありません.

Wikipedia の劣化ウランの医学的危険性の主張と反論を見ると,日本の文部科学省は劣化ウランの毒性は身の回りの海水や土砂中に存在するウランと同じ又は小さい」(平成14年11月)と発表しています.しかしこれではウランそのものの危険性がわからないので,比較になりません.一方,劣化ウランの危険性の項を短くまとめると,「劣化ウランは重金属であり,重金属中毒の原因となる.その毒性は砒素と同程度である.」という主張があります.また,アメリカ政府とWHOは危険性に対する証拠は不十分であると反対しています.ただし,子どもは口にしないよう WHO は警告しています.またアメリカの法律では劣化ウランは有害物質に指定されており管理下に置かれなくてはいけません.

どうもわかりにくいのですが,危険という主張の方々がいる一方,そうではないと主張される方々もいます.危険とは言えないと主張する方々の意見をまとめると,劣化ウランは危険ではないが,有害物質であり,法的に管理下に置くべきものであり(米政府),子どもは口にしてはいけないものです(WHO).そして,自然にとれるウランは,この劣化ウランと同程度に安全(文部科学省)か,それよりも危険な毒性を持つということだと思います.これに関しての議論は(Wiki [1])などをご覧になって御自身で御判断下さい.

また,燃料 1トンあたり 1000 GBq 相当,つまり 1GBq/kg (=10億ベクレル/kg)というのはかなり大きな値ですが,燃料 1トンあたり相当というものの意味がはっきりしません.食品の基準が 100 ベクレル/kg というようなレベルなのに,10億ベクレル/kg というのはとてつもなく感じます.

1つはっきりわかることは,核燃料の最終処分ではこの10億 ベクレル/kg になるまでに,現時点ではこれまでの記事の中にあったように,10万年を越える年月を必要とするというグラフがあることです.

では10万年後には安全なのか,というと,そういう議論は別にしていないことに気がつきます.10億 ベクレル/kg は食品の基準から言えば1000万倍の濃度ですから,これは私の素人判断ですが,安全とは言えないと思います.10万年という数字をよく見るのはどういうわけなのか,今後も機会があれば調べてみようかと思います.

おわりに

今回で最終処分の話は一度終了です.しかし,最終処分の話は現在も進行形のものです.今回勉強会を含めて私自身いくつか考えました.核のゴミは誰がどう負担するのか. 残念ながらこれは我々と我々の後の世代が既に持ってしまった負債です.現在の技術では処理が困難なゴミは,少なくともその技術のめどがたつまでは増やすのをやめるべきだと私は思います.負債や借金を先送りにしても,やがて支払わなくてはいけなくなります.我々は今日のために万年という単位の負担を子孫に押しつけ,国の未来の発展を妨げる世代になるのだろうか.そんなことを考えました.皆さんは何をお考えになりましたか? ここまで読んで下さった方,何かの参考となれば幸いです.

参考文献

  1. Wikipedia, 劣化ウラン: 医学的危険性の主張と反論, https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%A3%E5%8C%96%E3%82%A6%E3%83%A9%E3%83%B3, (Online; accessed 2014-12-21)

[:en]

Is the mined Uranium safe?

We have seen the graph of “Radioactivity attenuation of vitrified waste over time.” How long time we need to keep the waste is based on the radioactive level of mined Uranium ore. I wonder if it is save. I could not find information about this. I know that not everything in nature is safe. A venomous snake, poisonous mushroom, volcano gas, … they are all natural, but not always safe. Uranium ore is in nature, but is it safe?

A Wikipedia article entitled “Depleted uranium,” Japanese MEXT (Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology) stated that the toxicity of depleted Uranium is the same of the Uranium in the sea or rocks [1] (in November, 2002). This doesn’t tell much. I would like to know about the safty of Uranium ore in the first place, then why all of sudden am I talking about depleted Uranium? You might think that I switched subject. Unfortunately, this is the information that I found on the Internet, which is only indirect. I could only find two connected things that Uranium ore has danger similar to depleted Uranium and that depleted Uranium is dangerous. Assuming they are both correct, we could conclude that Uranium ore is also dangerous. Yet I doubt there are many different types of depleted Uranium (density and so on) and many different qualities Uranium ore. I don’t believe all the Uranium ore have exactly the same density of Uranium rocks. I didn’t understand this information completely. Some say depleted Uranium is dangerous and some say it is not. The former say, “it is not dangerous, but it’s a harmful substance, so it must be controlled under the law (US government), and children should not take it (WHO).” Then, Uranium ore from nature is as safe as depleted Uranium (Japanese MEXT), or less safe. You could check this out yourself in Wiki [1]. Personally I cannot judge any risk based on such low quality information. Then my decision can only be to avoid them. Without information, we cannot decide on anything. We need more information.

Also it is not clear that “the corresponding radioactivity of 1t fuel is 1000GBq.” The value is 1GBq/kg (=1,000,000,000 Bq/kg) which is quite large. Common food has a safety threshold at 100 Bq/kg. 1,000,000,000 Bq/kg which does not sound safe at all to me.

Only one thing is certain, nuclear waste needs 100,000 years to get to this 1,000,000,000 Bq/kg state.

Most of the articles about final disposal mentioned this number, 100,000 years, and they usually ask: can we keep it for that long? I think that is a wrong and meaningless question, because even if we can manage nuclear waste for 100,000 years, it is apparently not safe. As far as I can understand, Uranium ore is not safe and 100,000 years is too short of a time for final disposal.

References

  1. Wikipedia ja, Depleted uranium (劣化ウラン): Health considerations (in Japanese: 医学的危険性の主張と反論), https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%A3%E5%8C%96%E3%82%A6%E3%83%A9%E3%83%B3, (Online; accessed 2014-12-21)

Acknowlegements

Thanks to Daniel S., Enzo C., Carsten W., and Nikolaus B. for the proof reading and suggestions for the English version.[:]

最終処分の話をしようや (9): 付録 3: 測定方法で放射線の強さは変わること,放射線には種類があること

[:ja]前回は放射能と放射線の違い,そしてそれについての単位の話をしました.それらは細かい話であまり違いがないように思うかもしれませんが,実はずいぶん違うもののため,どんな単位の値が基準になっているかを知らないと安全の判断を誤ってしまうことになります.日常では「割合」と「そのもの」は区別がしやすいですが,放射線などはなかなかなじみがないので難しいのだと思います.たとえば,速さと距離はそのような「割合」と「そのもの」の関係があります.50km/h (1時間に50km)の速さと 50km の距離というものを同じと間違える人はあまりいないと思いますが,100 mSv/h (1時間に 100 mSv)と 100 mSvとなるとなじみがないのでつい混乱してしまうことがあります.今回はシーベルトの話もしたいと思います.そして放射線量はその場の明るさと同じように,どう測定するかによって違うという話もありました.この続きを今回はお話ししていきます.

測定された放射線量の意味についての注意

私が 1 つ注意すべきだなと思ったことは,放射線量というのは場所で異なるものですから,それが測り方によっても変化することです.測る前に除染すればそこでの線量は落ちます.また,線量計の置く高さにもよって線量は変化します.線量の高いホットスポットはもちろん注意するべき場所ですが,その一ヶ所だけを問題にして,それを一般化しすぎるのも問題です.たとえば,一ヶ所のホットスポットのみをもって,この地域は全体的に危い,というような話はまたおかしいのです.その場合には危険性がある可能性があるということで,全体が危険かどうかはわかりません.場所によって線量の変化が大きいということは,ある少数の定点のみでの観測値では,測定の網が粗すぎて漏れがおきてしまうということです.線量の測定というものはこのようないくつもの注意が必要だと思います.もちろん,何らかの理由で,測定は細かくもしないし,正確にしていかないということがあれば,私としてはそのような危険の可能性のある所には近づきたくありません.しかし,十分に細かく測定をして(何をもって十分かも問題ですが),ある地域にほんの数カ所しかホットスポットがないとわかればそこを避けることができます.また,線量の監視を連続的に続けるのであれば,新たなホットスポットができてもみつけて避けることができます.

つまり問題は常にちゃんと安心できるだけの測定がされているかどうかです.もし危険性のある町で,測定が町に1〜2ヶ所となると,危険か安全かはどうとも言えないでしょう.そうなると私の心情としては避けてしまうことになるでしょう.

たとえば,もし駅前などで測定されている場合,そこを利用する人が多いという意味では良い測定点ですが,そこで掃除(除染)が頻繁にされているということがあれば,ちょっと離れた場所の線量とは異なるものを測っているかもしれません.ですから,今日の線量,というものが示されている場合,それがどこでどのように測った値なのかがわからなければ,あまり意味がないことでしょう.ある特定の場所だけ除染して測定してはその周辺の代表点として使えないでしょう.また反対に,もし人がある特定の場所にいなくてはならないような場合,その場所を覆って線量がどうかを測定することには意味があるでしょう.

もし放射線とつきあって生活することを決めたのであれば,どこかの線量というものが単に高い低いということよりも,何がその場所で重要なのかを考えることで,何をどう測るべきなのかが見えてくると思います.つまり,「測定された放射線の意味」を考える必要があると思います.あるどこか一ヶ所でこれだけ強かったということは,その近くに住み,その場所にアクセスする人には重要な情報かもしれませんが,それがある地域全体のことを示しているとは限らないからです.

この場合には測定する側とそこで暮らす側との信頼関係も必要になってきます.そのあたりを無視され,情報がでてこないとなると,各自が自分で判断できなくなるため,放射線とつきあって生活するということは難しくなると思います.

放射線には種類がある (シーベルトについて)

化学の入門を調べた方は,放射線には種類があることにもお気づきでしょう.放射線には α線,β線,γ線,などがあります.そして生体の受ける影響は,同じ吸収量(単位: グレイ)でも種類によって異なります.たとえば,α線の方が同じエネルギーの吸収量であっても生体にはより危険とされています.ですから,同じグレイ値では危険性が判断できません.これを補正しようとしたのがシーベルトです(図 9.1).補正する必要性については必要だということであまり議論はないようですが,その補正値がいくつか,たとえば,α線はγ線の何倍危いのか,という補正値にはいくつか議論があります.生体への危険性というのは重要なものである一方,その影響は複雑で正確にはわかっていないようです.そこでどうしてもおおざっぱな近似になります.そのためこの補正は,国によっても異なります.日本ではシーベルトの修正係数は,γ線,β線の影響を 1とすると陽子線は 5,α線は 20 となっています.これをグレイにかけたものがシーベルトです.シーベルトは生体への影響を考えていますが,注意することは,このように係数をどう決めるかで変化する量ということです.なぜ生体への影響を知ることが難しいかにはいくつか理由があるようです.たとえば,詳しい人体実験を行うのが難しいこと,年齢や性別などにも影響される可能性があること,などです.同じ攻撃を吸収しても(グレイ),その種類によってはダメージが違ってくるので,それを考慮した値がシーベルトです.

ちょっとゲーム好きな人にしかわかりにくいたとえかもしれませんが,先のゲームの例えに戻れば,異なる種類の放射線にさらされるということは,異なる属性の魔法攻撃,水の攻撃や火の攻撃など,を受けている状況と言えるかもしれません.それは同じ魔法の力(マジックポイント)を使っても効果が相手や場合によって異なることに似ています.しかし最終的にはヒットポイントがどれだけ減ったかが重要なのです.そのための補正がかかっているものがシーベルト,と考えることもできるでしょう.ゲームに詳しくない人にはわかりにくいたとえだったかもしれません.

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図 9.1 放射線には種類がある (α・β・γ・中性子線,...)

また,同じエネルギーでも,短期間で大量に浴びた場合と長期間で少しづつ浴びた場合には生体への影響は違ってきます.ですから,昨日と今日のシーベルトをたしていくら,というのは問題があるはずですが,現在の所は私達にはシーベルト以上の良いものさしがないので,シーベルトが最善の単位として利用されているようです.人間には影響に強い線形性があるわけではありませんが,シーベルトは線形性があると仮定しています.と,線形性と言ってもわかりにくいかもしれませんが.たし算が使えるという意味に考えればとりあえずは良いでしょう.

たとえば,人間は醤油を一気に1リットル飲めば命が危険ですが,毎日少しづつ料理に使って,一ヶ月で1リットルならば(ちょっと使いすぎとは思いますが),一気飲みほどの危険性はありません.一方,ある種の毒は排泄されずに蓄積され,たし算が効いたりしますし,特定の伝染病では,ほんのわずかでも爆発的に効果があり,毎日のたし算以上の効果があるものなど,線形性の効果を及ぼすものというのは限られています.

しかし,シーベルトは毎日少しづつ浴びた場合と強いものを一気に浴びた場合でも同じであり,たし算ができると仮定した単位というのは知っておいても良いと思います.こう考えると,シーベルトは長さの単位のメートルほどには強固な単位ではありません.

ここで 1 mSv/y というものと 1 mSv の違いについて述べておきます.1 mSv/yというのは1年間そこにいると 1mSv の線量を受けるというものです.ですから,1mSv/y の場所に 2年いれば,2mSv となります.現在の日本の強制避難勧告の基準は,20mSv/y です.もし 20 mSv/y の場所があり,線量が変化しない場合にはそこに 5 年留まれば,100 mSv となります.この mSv/y と mSv の違いには十分注意して下さい.たとえばあなたが 10 mSv までなら大丈夫と判断した場合,1mSv/y の場所に 10 年を越えて住めば10 mSv を越える可能性があります.特に若い人達や子どもは,放射線の影響をより受けやすいという注意もありますが,より長く滞在する可能性も考えなくてはいけません.年間10万円を毎年支払うことと,1回だけ10万円を支払うというのは,意味が違います.この例では,mSv/y と mSv には毎年払いと1回払いの違いがあります.

さてここでようやく廃棄物の基準にはシーベルトとベクレルがあるという話ですが,廃棄物が一種類の放射性物質である場合には,放射性物質ごとにベクレルで決めるのが合理的でしょう.放射性物質ごとに危険性は違いますし,半減期も異なるからです.ですから,核種ごとにベクレルでの廃棄物基準があります.しかし,これが混ざっていたらどうなるでしょうか.廃棄物を純粋な元素毎に分離するのは手間のかかることでしょう.ですから,そのような場合には,特定の手法で線量を測定し,線量としての基準で廃棄物かどうかを決めるということになるでしょう.その場合にはシーベルトを使うということになるかと思います.

報道などでベクレル値かシーベルト値なのかを見た際には,この違いを考える方が良いのではないかと思います.セシウムのベクレル値で廃棄物を決めている場合ですが,そこには他の核種はないのでしょうか.(例: [1])たとえば,ストロンチウム90 は入っていないのか.などの疑問が起こってくるこ
とと思います.

また,測定器が何を測れるのかも注意が必要です.γ線量のみを測るものが多いということですが,放射線はそれだけではありません.

化学入門では元素の後につく質量数が何かという話がありました.ですから,「放射性セシウム」と言われた場合,セシウム 134 なのかセシウム 137 なのかの違いがあります.これが興味ある理由は半減期がセシウム134 は2年程度,セシウム 137 では 30年程度と異なるからです.セシウム 134 なら20 年たてば,ベクレル値は 1000分の1以下になるのに,セシウム 137 なら半分程度にしかなりません.ほんの少し,高校の化学を勉強するだけで,こういう違いがわかってくると思います.そしてその目で報道を見るといろいろとわかってくると思います.報道する方も短い時間に様々な説明をしなくてはいけないので,基本的な知識については時には入れられないことも私は理解できます.この豆知識があなたの目を少し変える,報道が何を言っているのかを理解する助けとなることを希望いたします.

おそらくこれは細かいことではあるのですが,放射線の安全性の基準は様々な条件: 組織,国,時などによっても変化する [2] [3] ものです.たとえば,日本の首相官邸の「みなさまの安全確保」 [4] によると,避難すべき期間的避難区域は 20mSv/y が基準であり,ウクライナの基準では5mSv/yが基準[5] となっているなど,違いがあります.これはどこが間違っているというものではなく,それぞれの基準にはどれだけのリスクを考慮しているという前提条件があります.その前提条件はその時の政府などが判断しています.その政治的判断の違いがあるために,安全基準は国や組織などで異なります.

結局,放射線のある所,何かのリスクは必ずあります.絶対安全はなく,しかし,一方で十分受け入れられるようなリスクもあるはずです.政府はある仮定に基づく放射線のリスクの基準となる値を文書で我々に提示しています.問題はこのリスクを取るかどうか,前提条件が妥当かどうかの判断が我々にある場合が現時点ではいくつもあるということです.(ただし,その選択が何からの形で強制され,実質的に選択できなくなることがあれば私はおかしいと思います.)安全性を考えるためには,まず,私達はその基準となる値を理解し,その仮定の妥当性を検討しなくてはいけません.それでも危険性は最終的に確率でしかない部分もあり,それについては市民として妥協できるのか,政策を変化させる必要があるのかは個々の判断となるでしょう.

ここで述べた単位の解説はその判断基準となる一歩です.そんなに簡単ではないとは思いますが,あなたの判断の手助けになることを希望します.

次回

今回はシーベルトの単位や線量が測定方法などによって変化すること,放射線の種類などちょっと技術的な話でした.私自身,こんなに難しいことを考えなくてはいけないということ自体が何かおかしいとも思います.しかし,自然には通常ない危険性が既に拡散してしまったのですから,それに対抗するためには新しい概念を知らなくては,その危険に無力になってしまいます.できればそんな新しい概念を知らなくてもよい,もっと他の生産的なことに時間を使いたいと思ってもある意味,開かれたパンドラの箱はもう閉じられませんので仕方ありません.また,安全基準は国際的なものもありますが,様々なものが国によって違うことも調べるとわかりました.日本の基準に関しては参考文献にあげておきますが,国によって基準が異なることや,また,基準値が変更されることもあるというのはちょっと気になるところです.

次回は最終処分でどれだけ核燃料などを安全に保存しておかなくてはいけないのかの時間として良く言われる「10 万年」にはどんな根拠があるのか,ちょっと考えてこの話を終わりにしたいと思います.

参考文献

  1. 河北新報, 宮城県知事、詳細調査受け入れ 最終処分場, http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201408/20140805_11016.html, (Online; accessed 2014-12-26)
  2. 厚生労働省, 食品中の放射性物質への対応, http://www.mhlw.go.jp/shinsai_jouhou/shokuhin.html, 2014, (Online; accessed 2014-12-21(Sun))
  3. 厚生労働省, 食品中の放射性物質の新たな基準値を設定しました, http://www.mhlw.go.jp/shinsai_jouhou/dl/leaflet_120329_d.pdf, 2014, (Online; accessed 2014-12-21(Sun))
  4. 首相官邸, みなさまの安全確保 http://www.kantei.go.jp/saigai/anzen.html/, 「計画的避難区域」及び「緊急時避難準備区域」の設定について, http://www.meti.go.jp/press/2011/04/20110422004/20110422004-2.pdf, 2011, (Online; accessed 2014-12-21(Sun))
  5. オレグ・ナスビット, 今中哲二, ウクライナでの事故への法的取り組み, http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/Chernobyl/saigai/Nas95-J.html, 2011, (Online; accessed 2014-12-21(Sun))

[:en]

A note on the measurement of radiation dosage

I realized that the dosage depends on how you measure it. This also depends on the measurement location. The measurement depends on the height of the measurement device. (Thus, it is mandated to be placed at the height of 1.5m above ground level.) If you clean up the measurement point, the dosage at that point becomes lower. We should care about the hotspot (a relatively small spot that has high radiation), however, we cannot say that the whole region has high radiation just because of one hotspot. In an extreme example, if we can avoid all the hotspots and the rest of the place has no radiation, we can just avoid all the hotspots and live safely. The existence of hotspots is just telling us that there could be some dangerous spots. When we observe some hotspots we usually need more measurement points. It could be that the measurement points are too sparse and we might miss some of the high radiation points. We should care about how the radiation is measured and we need to think about the risk ourselves.

For example, if the measurement point is located near a station, it is good since a lot of people are passing by. If the location point can not be accessed by anybody, it usually doesn’t matter. But such a place is usually cleaned up frequently, thus the dosage may be lower, however only in the surroundings of the measurement point. There might be higher dosage 20 meters away from the measurement point. When we are told about the values of today’s radiation, we should also know where are the measurement points. If the whole area has not been cleaned up and only some spots were, we cannot use the cleaned up spot as a measurement point.

If someone decides to live in a low radiation place, they should think what is the important place for them. If you almost never go to a station, the radiation measured there is not so important. For you, the important place could be a school, your working place, and so on.

Radiation is not just one kind (What is Sievert?)

If you check an introductory text of chemistry, you notice that the radiation is not just one kind. There are many kinds of radiation: alpha radiation, beta radiation, gamma radiation, neutron radiation, and so on. The different kind of radiation affects differently the human body even at the same absorption dosage (gray in unit). For example, alpha radiation is more dangerous than beta radiation at the same energy level. Therefore, there is a unit called Sievert that adjusts for this difference (Figure 8). It seems scientists agreed that we need some adjustment, but how much adjustment is needed has raised some discussions. For example, how much more dangerous alpha radiation is compare to beta radiation is difficult to determine. This adjustment is called “radiation type weighting factor.” This currently differs from country to country. In Japan, this factor is 20 for alpha radiation, 5 for proton radiation, based on a gamma radiation is value of 1. According to IPRP report 103 (Wikipedia, Sievert), the factor is 20 for alpha radiation, 2 for proton radiation, based on a gamma radiation is value of 1. This coefficient is multiplied by gray to get the value as Sievert. Sievert considers the effect to the human body, but this weighting factor is hard to determine, because this depends on many other factors like person’s age, sex, health status. It is also difficult to make detailed experiments with the human body.

The following analogy is only understandable for someone who likes computer games. But I think this is a good analogy, so I will try to use it here. In many fantasy games, usually a character has some attribute, like fire or water. If a character has a water attribute, he or she can resist more to the water magic. When a character is hit by some fire magic, the damage this character gets depends on his/her fire attribute. At the end, how many health points the character lost is the most important effect. The damage has been adjusted according to the attribute. For radiation there are different types, and the damage to the human body depends on the type. In a similar way, Sievert is an adjusted value of the absorbed energy (gray).

Figure 8. There are many kinds of radiation
Figure 8. There are many kinds of radiation

If a human body gets the same amount of energy but in a different amount of time, the effect of radiation would be different. For example, whether a person gets 10mSv of dosage in a day or in a year it is a different thing, we cannot add yesterday’s radiation dosage and today’s radiation dosage. However, we still have no better measurement than Sievert. It seems Sievert is the best approximation to measure the effect of radiation on the human body. The effect of radiation is not linear, but the Sievert unit assumes that the effect is linear. If you are not familiar with the word `linear’, it is somewhat similar to say that `you can add that up’.

For example, a person cannot eat 500g of salt in an hour, that probably causes death. However, if the same person uses 10g salt per day for 50 days, the danger is drastically less (yet, it still is too much salt). We usually cannot simply add up the amount to difference the effect on a human body.

However, we assume the radiation dosage (Sievert) can be added as an approximation. We should remember that this is an assumption. The Sievert unit is not like the meter unit, which can be added up.

I would like to clarify make clear the difference between 1 mSv/y and 1 mSv since I read many news articles about them. 1 mSv/y means that if you stay at a location where your measured radiation is 1 mSv/y for one year, you get 1 mSv dosage. If you stay in such a location for two years, you get 2 mSv. The current criterion of the evacuation counsel for disasters is 20 mSv/y in Japan (2014). If you stay in a location where you have 20 mSv/y location for five years and assuming that the radiation stays the same, the dosage is 100 mSv. Please notice this difference. If you decide to take the 10 mSv risk, you can only stay at a 1 mSv/y location for 10 years. Especially young children usually have higher risk for the same dosage, so you also need to consider long term exposure. The difference between mSv/y and mSv is similar to you need to pay 1000 Euro every year and you need to pay 1000 Euro only once. Please do not confuse every year payment and one time payment.

We have two criteria that define what is nuclear waste. One is based on the Sievert value, the other is based on the Becquerel value. If the waste consists of one kind of radioactive substance, it is reasonable to define the criterion based on the Becquerel value. Since the half life are depends on the radioactive substance, you cannot really estimate what the danger is if the substance are mixed. Therefore, there are criteria based on each nuclide. However, if many kinds of radioactive substances are mixed up, which is often the case, it is difficult to determine what is nuclear waste and what isn’t. If we can separate all the nuclides, we can still use the Becquerel value criterion separately, however, it is usually not easy to do. In that case, we use a criterion based on radioactive dosage — we use the Sievert value in this case.

If we read a newspaper, it seems that these criteria are used arbitrarily. Sometimes we see a Cesium 137 Becquerel value for cleaning up bi-product waste (e.g., [1]). I wonder if there are other nuclides, for example, is there Strontium 90 in the waste?

Another problem is what kind of radiation can the measurement devices measure. Most of the measurement devices can only measure gamma radiation, but there are other types of radiation.

If you review the periodic table in chemistry, you may notice there are mass numbers in it. For example, there are several kinds of the same element, e.g., Cesium 134, Cesium 137. They are isotopes. These numbers represent their mass number. For example, there are many kinds of radioactive Cesiums. If a newspaper mentions a radioactive Cesium, I would like to know which one it is. Because their half lives differ. The half life of Cesium 134 is around 2 years. The half life of Cesium 137 is around 30 years. This means, the Becquerel value of Cesium 134 becomes 1/1000 after 20 years. On the other hand, the Becquerel value of Cesium 137 becomes only less than half after 20 years. You could learn these things in high school. I found high school science is quite sufficient to know most of these things. I understand that the information sources have only limited time and amount of information they can give. If you know more about this basic chemistry knowledge, you can understand the provided information more.

This is maybe a small detail, the safety criteria of the radioactive waste depend on organizations, countries, and the year [2],[3]. According to Japanese prime minister office (首相官邸)[4], the criterion based on which you should leave an area is when there is more than 20mSv/y. This threshold for the Ukrainian government is 5mSv/y [5]. There is no right and wrong here. Risk is evaluated based on some assumptions and these assumptions differ from government to government. The governments determine these assumptions, therefore, the criteria depend on the country.

In the end, there is always a risk when there is radioactive waste. There is no absolute safety, but there is also an acceptable risk level. Governments usually provide documents about how they consider the risk and what are their assumptions. We need to determine whether we can accept the risk and the assumptions. (Although if a government forces people to accept the risk in some way, or if people cannot decide on their own, I believe this is violation of human rights.) To judge the risk, we first need to understand the information. Then we need to think on our own. The risk is usually probabilistic, we should think through it and decide whether we can accept it or not. If people cannot agree with the government decision, then they should change the government.

The message I’m sending here is to understand this information. This is a first step. It would be not so simple at the end, but the important thing is that we understand the information and we take our decisions on our own.

References

  1. Kahoku-shinpou (河北新報), The governor of Miyagi-prefecture has accepted for the investigation to build the final disposal repository (宮城県知事、詳細調査受け入れ 最終処分場), http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201408/20140805_11016.html, (Online; accessed 2014-12-26)
  2. Ministry of Health, Labour and Welfare of Japan (厚生労働省), How we handle the radioactive substance in food (食品中の放射性物質への対応), http://www.mhlw.go.jp/shinsai_jouhou/shokuhin.html, 2014, (Online; accessed 2014-12-21(Sun))
  3. Ministry of Health, Labour and Welfare of Japan (厚生労働省), We updated the safety criterion of radioactive substances in food (食品中の放射性物質の新たな基準値を設定しました), http://www.mhlw.go.jp/shinsai_jouhou/dl/leaflet_120329_d.pdf, 2014, (Online; accessed 2014-12-21(Sun))
  4. Prime Minister’s Official Residence (首相官邸), Keeping everyone’s safety (みなさまの安全確保) http://www.kantei.go.jp/saigai/anzen.html/, How we set up “the planned evacuation region” and “preparation necessary region when the emergency “(「計画的避難区域」及び「緊急時避難準備区域」の設定について), http://www.meti.go.jp/press/2011/04/20110422004/20110422004-2.pdf, 2011, (Online; accessed 2014-12-21(Sun))
  5. オレグ・ナスビット, 今中哲二, ウクライナでの事故への法的取り組み, http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/Chernobyl/saigai/Nas95-J.html, 2011, (Online; accessed 2014-12-21(Sun))

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最終処分の話をしようや (8): 付録 2: 放射能・放射線について

[:ja]前回は,可能な限り安全性を自分で判断するためにいくつかの資料の参照先を書きました.もちろん,もっと他にも資料があると思いますので,御自分でお探しになって欲しいと思います.ここではそれらの資料を読む際に使える基本的用語などについて,補足していきたいと思います.

放射能・放射線について

前回紹介した Wikpedia や化学入門などの解説をご覧になられた方は原子というものが何かとか,放射線とは原子核の一部の陽子や中性子であったり,高エネルギーの電子であったり,あるいは高エネルギーの電磁波であったりということをご理解されたかと思います.これらが危険なのは,私達生命が生きていくために重要な私達の体の中の DNA 等を破壊することができるからです.どれだけ破壊するかというのは,放射線を放射する側のエネルギー,そして生体側がどれだけ吸収するか,などにかかわってきます.それは,どれだけ攻撃が強いのか,どれだけ守備が強いか,に似た感じです.これについて知るために,まずは,放射能と放射線と,その強さについての言葉について考えましょう.それを示す言葉がないと,なんだかわからない怖いもののままであったり,なんだかわからないから,権威の言うことを信じるしかないということになりかねません.そこで,ちょっと退屈かもしれませんが,放射能,放射線,ベクレル,シーベルトなどの言葉の意味をまとめてみます.

私がこれについて調べているうちに,放射能と放射線の関係は,光のアナロジーが使えそうだとわかりましたので,それを使って説明したいと思います.

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図1 電球と放射能のアナロジー

放射能というのは放射線を出す能力のことです.つまり能力のことです.先の攻撃,守備の話では攻撃側の武器の強さの話とも言えるでしょう.光で言えば電球は光を放射する能力がありますので,電球には光放射能があると言えるでしょう.そして光そのものが放射線に対応します.図 1 に電球と放射能の対応を示します.つまり放射能は物の性質,たとえば,電球の能力に対応します.注意して欲しいのは放射能は光には対応せずに,電球に対応するということです.電球は光を出す能力がありますが,光そのものではありません.私達は電球をつかんで移動して,箱に入れ,後で取り出すことができますが,光そのものをつかんで移動させて箱に入れて後で取り出すことはできません.音でもこれをたとえることができます.スピーカーは音を出す能力がありますので音放射能があると言えますが,スピーカーは音そのものではありません.放射能と放射線の違いはこれでおわかりでしょうか?

放射線は通常原子核が崩壊すると発生します.1回の崩壊でどのような放射線が出るかは原子核の種類によって違います.そして,ある単位質量の物質が1秒間にどれだけの崩壊を起こすかの数をベクレル(Bq)という単位で示します.これが攻撃武器側の強度です.単位質量というのは 1kg や 1t など,ある決まった量のことをちょっと難しく(しかし正確に)言っているだけで,何か決まった重さのことです.(正確には重さは場所,たとえば地球上と月の上では変化するものであり,質量は場所で変化しないものなので違うものです.しかし,とりあえずは重さと考えても通常はさしつかえないでしょう.)

どうして単位質量というものを考えるかというと,電球が沢山ついていれば明るくなるように,同じ放射能(Bq)の物質が多量にあればその分だけ多く放射線が出るからです.ですから,通常は 1kg の何かの中にこれだけの Bq という意味で,Bq/kg というような単位になっています.たとえば,ある放射性廃棄物 1kg あたり 8000 Bq とあれば,この 1kg の廃棄物は1 秒間に 8000 回の崩壊を起こします.そして,通常,それに対応する放射線を出します.これが 2 kg あれば16000 回の崩壊でその分の放射線を出すということで,量が増えると放射能であるベクレル値が増え,そして対応する放射線の量も増えます.しかし,1kg あたりは同じ 8000Bq/kg です.単位質量を言わずに,ベクレルしか言わないということは,それは全部の放射能の値になっているはずです.また,単位質量を小さくすれば,ベクレルの値はみかけ上小さくなります.1kg の放射性物質の出す放射線も,それを 1g にすれば 1000 分の 1 の強さになります.ある食べ物 1kgあたりの 1000 カロリーのものは,1g あたり 1 カロリーです.1000カロリーと1カロリーは聞いた感じではまったく違いますが,このようにまったく同じものを言いかえることができます.そしてここにはまったく嘘はありません.ですから細かい話のようですが,単位は注意しないといけません.同じカロリー密度の食べ物でも,2倍の量を食べれば2倍のカロリーになります.ですから同じ Bq/kgの廃棄物でも2倍の量があれば2倍の Bq になります.同じパーセントのアルコールでも2倍の量を飲めば2倍のアルコールが摂取されます.でも,パーセントは同じです.

何かの基準が Bq/kg の場合,元が同じ Bq/kg でも,他のものと混ぜて薄めることで基準値以下にするということが可能です.たとえば,8000 Bq/kg の廃棄物 1kg と,汚染されていない何かを 1kg 加えてよく混ぜれば,2 kg で 8000 Bqですから,4000 Bq/kg と汚染度が半分になったように見えます.たとえば汚染水を基準値以下にしたければ水を混ぜて薄めるだけで, Bq/kg で測った基準値以下にできます.もちろん汚染水が海に出れば薄まって基準値以下になるでしょう.それを言えばどんな水に解ける毒でも最初は海に投棄すればまず基準値以下になるでしょう.しかし,そのようなことを続けていけば公害となったことは過去にあったことです.ですからBq/kg の基準値以下の濃度なら良いというような議論には注意をする必要があります.私は以上の理由から,濃度だけではなく,どれだけの量を投棄するのかなどの情報も重要だと思います.このBq/kg という単位を理解することで,どういう情報が必要なのかがおわかりになったことと思います.たとえば,濃度しか言わない報道には注意が必要です.

放射線の量

ここまでの話で,直接に危険なものは,どちらかというと放射能ではなく,放射線そのものであることがおわかりでしょう.電球と違って放射性物質はスイッチを切れば放射線が出ないようにはできませんので,放射能を持つ物質に危険がないというわけではありません.しかし放射能を持つ物質を何かで覆って放射線を遮ったり,弱くすることはできます.ある放射能を持つ物質があっても,十分遮蔽されていれば,その周囲には放射線はなく,したがって生体の破壊が起こらないので,問題はありません.ですから,ある場所でどれだけ放射線があるのかは重要なことです.

そこで,ある場所にはどれだけの放射線があるかを考えるのが,放射線量になります.図 2 のように,光源から遠くに離れればその場の光(照度)が弱くなるように,放射線源から離れれば放射線量は弱くなります.また,放射線の測定では放射線のエネルギーそのものではなく,ちょっとややこしいのですが,吸収量を考えます.その単位はグレイやシーベルトです.吸収量というのは,同じエネルギーの放射線でも物体に吸収されなければ小さくなります.これは防御側の防具の性能がかかわってくる値です.安全性で問題になるのは,生体の受ける放射線の吸収量です.どれだけ吸収したかは,ある単位質量のものが吸収したエネルギーを基本とします.1 kg につき 1 J の仕事に相当するエネルギーが与えられた時に 1 グレイ(Gy) です.1 J (ジュール)の仕事とは何かなどは,中学,高校の物理の教科書などを参考にして下さい.イメージとしては,吸収量とはその場でどれだけダメージをもらったかに近いものと考えられるでしょう.

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図 2. 光の照度と放射線量のアナロジー

ゲームがあまり得意でない人にはよくないたとえかもしれませんが,多くのロールプレイングゲームでは同じ力で攻撃を受けても,装備や防御したかどうかによってダメージの蓄積,つまり,ヒットポイントの減り方は違います.重要なのはどれだけの攻撃を相手から受けたかではありません.どれだけヒットポイントが減ったかです.ここでは吸収量とはヒットポイントがどれだけ減ったかにたとえることができます.しかし本当に重要なのはヒットポイントの減少量ではなく,残りヒットポイントです.しかし,放射線に対する残りヒットポイントは人,年齢などによっても違うので吸収量だけでもまだ十分とは言えません.

次回

今回は放射能と放射線の違い,そしてそれについての単位の話をしました.また,単位質量あたりの Bq と,Bq の違いの話をしました.

単位質量あたりの Bq というのは濃度であり,それだけでは実際にどれだけの放射能を持つ物質があるのかはわかりません.ビールのアルコール濃度が 4% というだけでは,実際にどれだけアルコールがあるかわからないことと同じです.同じアルコール濃度のビールでも,100ml 飲むのか,1 リットル飲むのかでアルコールの量は違います.また同じ量のアルコールでも薄めれば濃度は下がります.たとえば,汚染水の話をしている時に,Bq/kg (濃度)の話をしているのか,Bq の話をしているのかは注意が必要です.

次回はもう少し放射線量の話を続けたいと思います.[:en]

Radioactivity and radiation

If you check Wikipedia or any chemistry course, you have some idea of what is an atom, what is radiation, what is radioactivity, and so on. Why is radiation dangerous? Because it can break the DNA in our body and that makes you sick. How much does it can break depends on the radiation energy, on how much energy our body absorbed and so on. In a way, it depends on how strong the offense is and how strong the defense is. To know more about this, first we should know about the concept of radioactivity, radiation, and their strength. Since we don’t know the meaning of those things, we are left with trusts the authorities on these matters. I would like to avoid such situation. Here I summarize the meaning of radioactivity, radiation, Becquerel, Sievert, and so forth.

We can use an analogy with light to think about these substances.

An analogy between a light bulb and radioactivity
Figure 6: An analogy between a light bulb and radioactivity

Radioactivity is also known as radioactive decay or nuclear decay. It is the process of a nucleus of an unstable atom losing energy by emitting radiation to move to a more stable state. If an atom can emit radiation, it is considered radioactive. From an observer point of view, saying that something is radioactive means that a substance can emit radiation. It is an ability of emitting radiation. If you think about a model with an offense and a defense, this is the offense side. If you think about this as light, a light bulb has the ability to emit light, so I could say that a light bulb is light-active. In this analogy, the emitted light is itself radiation. Figure 6 shows how a light bulb and a radioactive emitter that correspond to each other. Radioactivity is more like a property of a substance, that is similar to the property of a light bulb. Please note, radioactivity does not correspond to emitted light, but rather to a light bulb. A light bulb has the ability to emit light, but a light but is not light per se. We can grab a light bulb and move it to a box, then we can take it out from the box, but we cannot grab light and put it in a box. We can also use the analogy of sound. A speaker has the ability to create sound, so we could say it is sound-active, but, the speaker itself is not sound. I hope by now you know the difference between radioactivity and radiation.

Radiation is the emission of energy from the nucleus. When a nucleus changes the state, an emission happens. What kind of radiation will be emitted depends on the type of nucleus. The unit this quantifies how many times the decay happens in a second per a certain unit mass is called Becquerel (Bq). This is the strength of the offense side as we were saying earlier. A certain unit mass means for example 1kg or 1t, it is just some amount of mass.

Why do we need a certain unit of mass? Because even if we only have the same Bq radioactive substance, when we have more of it, the number of decay events increases. It is same as saying that if we have more light bulbs switched on, we get more light. Therefore, usually we see this amount of number of decay per kg (Bq/kg). If 1kg of radioactive waste is 8000 Bq it means that this 1kg of radioactive waste has 8000 decays per second. If there is 2kg of this waste, you observe 16000 decays per second. When the number of decays per second (Bq) increases, the corresponding radiation energy will also be increased. However the Bq/kg in this example is the same in both cases, that is 8000 Bq/kg. If an article only said Bq without ‘/kg’, then that should be the number of decay per second. If the certain unit of mass is smaller, then the number becomes smaller even if radioactivity stays the same. 8000Bq/kg is equal to 8Bq/g. If some food has 1000 cal/kg, it is the same as 1 cal/g. Please be careful with units.

Sometimes a criterion is defined on Bq/kg. For instance, a safety criterion defines that water is safe if it is less than 10Bq/kg. Personally, I have a problem with this criterion. Since you can add non-contaminated substances to mix with contaminated waste, you can fulfill this criterion. For example, if you have a 1kg 8000Bq/kg waste, if you mix it with a clean 1kg substance you have 2kg 4000Bq/kg waste. If you have high Bq/kg tritium water, you can just put more water and achieve low enough waste water that allows to throw it in the sea according to this criterion. If any poisonous substance has this density criterion (which sometimes make sense), we could put it in the sea and pass this safety criterion. Do you think we can continue with that? I find this is dangerous. For me this density criterion (Bq/kg) is questionable. At least I would like to know how much is the absolute value, like some “8000Bq/kg waste 10kg was trashed.” If you understand this unit (Bq/kg), I think you know what kind of information you would like to know more. If I only have the Bq/kg, I see that the information — How much waste have you actually trashed? — is hidden away.

An analogy between light and radiation
Figure 7: An analogy between light and radiation

Amount of radiation (energy)

By now, you see that the real danger is radiation rather than radioactivity. We cannot switch off radioactive substances in order not to emit radiation. (On the other hand, we can switch off a light bulb in order not to emit light.) Thus, radioactive substances are of course dangerous. But, we could block or weaken the radiation from radioactive waste if we can put it in a thick container of lead. Therefore, if radioactive waste is well under control, we can stop the radiation. Then there is no harm to life. The problem is not like in a situation, where some radioactive substance is dispersed in the environment. In that case, how much radiation is emitted is important.

A dosage shows how much radiation is there. To say that more exactly, a dosage shows how much radiation is absorbed by something. But we could think about this as first how much radiation is there and then how much that affect a person. Figure 7 shows an analogy between light and radiation. If you go away from the light source, the brightness your receive (irradiance) becomes lower, which means it gets darker. In that Figure you see two kind of units. For radiation, we consider the energy absorption instead of radiation energy itself. You see two kind of units, Gy (gray) and Sv (Sievert). Why do we consider the energy absorption? Because if a human body is exposed to the same radiation energy, the effect also depends on how much radiation energy was absorbed by the body. For a measurement about safety, the amount of absorption is important. We measure how much energy is absorbed by gray (Gy). It is defined as the absorption of 1J of radiation energy per 1kg of matter. (If you don’t know about what is 1J, Please look up what it is.) You can imagine that thinking of the amount of energy absorption is similar to thinking of how much damage you got.

If you play some role playing video games, you know the damage depends on what is your armor or how you got the damage. That is represented by decreased your health points. In these games, what is important is how many health points you lost, not how strong the attacker is. The amount of absorption for radiation is like the amount of decreased the health points. But actually the most important value is the remaining health points, not their past decrements. However, the remaining health points for radiation depend on the person, age, and so forth. There is no simple criterion for safety, but the amount of absorbed energy could be one of such criteria.[:]

最終処分の話をしようや (7): 付録 1: リスクを自分で判断するための知識を理解しよう

[:ja]

付録 (やまうちメモ) について

注: 付録は全てやまうちメモ(記録者やまうちの調べたものや,やまうちの個人的意見)です.

この節の目的: リスクを自分で判断するための知識を理解しよう

放射能というのは放射線を出す能力のことです.と言ってもしばらく前までは私は放射能と放射線の違いもよくわかっていませんでした.そのような方のために,ここでは放射能と放射線の違いについてまとめておきたいと思います.

市民としては結局「安全かどうか」という部分に関心があるのですが,放射能の問題の難しいところは,即時に目に見えてはわからないところです.また,科学的な安全性の実験データが乏しいこともあります.本当に安全性を確かめるには,何千もの被験者を何年かに渡って様々な放射性の環境に起き,どのような条件が安全なのかを人体実験する必要があります.しかし,そのような実験を行うことは困難です.実際に実験できないとなると,当然専門家の意見も一定ではありません.すると安全性の議論はどこかのグレイゾーンで水掛け論に終わることも多く,建設的な議論とならない傾向があります.したがって,現在我々ができることは,まずは危険を避けることですが,それが難しい場合には自分でリスクを考え,どこまでならば良いのかを自分で判断することとなります.誰かの言うことを盲目的に信じた結果を我々は既に福島で見ました.しかし,自分で可能な限り判断する必要があるとしても,まずは問題が理解できなくては同じことになってしまいます.

ですからここでは安全に関しては政府などの出しているいくつかの資料を参考にすることにとどめます.しかし,その資料にでてくる言葉,例えばベクレルとは何か,などが理解できなくては判断をしようにもできません.そこでこの付録では,そのような言葉について簡単な解説をします.

つまりこの節の目的はそれぞれが自分でリスクについて判断するための基礎知識を得ることです.提供されている資料を読むことができるようにすることです.それはベクレルとはどういう意味か,放射能とは何かというような基礎的な知識です.まずはここから始めることにしましょう.

放射能・放射線などの言葉について必要な知識

まず放射線とは何かというのは,原子とは何かという話にかかわってきます.原子や分子というものは現代の社会を支える工業でも基本になっています.そのため,中学の理科や高校の物理,化学で習います.しかし,私は,原子や分子に関して習った時には,それが社会の根幹となる産業や電気などの毎日の生活と密接にかかわっていることなどは知りませんでした.あるいはピンと来なかったのです.あなたもそうかもしれません.また電気とは何かという話も原子に密接に関係しています.電気は毎日使っていると思いますが,「それは何か」とお子さんに尋ねられてちゃんと答えられるでしょうか? 中学などで習ってはいるのですが,私同様,忘れてしまっていて,今回の事故のようなことになってあわててしまった方は,今からでも調べてみると良いのではないかと思います.まずは知ることではないでしょうか.昔の教科書をひっぱり出してみるとか,その年代のお子さんがいらっしゃるご家庭でしたらお子さんに尋ねてみるとかもいいかと思います.あるいはインターネットには資料は多くあるのでご覧になるのもよいでしょう.

原子などについての科学的知識の資料としては Wikipedia の記事[1]からはじめるのも1つの手です.また,化学のオンライン授業を提供するサイトなどに原子の話があります.これらのサイトは原子力発電とは関係ありませんので安全性などについてはほとんど述べられていません.しかし,「放射線とは何か」などについては,初学者向けに比較的容易な解説があり参考になると思います.手前味噌ですが,化学の初学者向けの解説ビデオとして [2] を挙げておきます.ただし,これは中学から高校生向けの一般的な化学入門なので,もっと簡単なものが知りたいとか,その反対にもっと高いレベルのものが詳しく知りたいという方々は,御自身でいろいろと調べてみて下さい.

安全性については日本政府の官邸から「みなさまの安全確保[3]」のような資料があります.このページからいくつかの安全基準をみつけることができます.しかし,そこには「内部被曝1mSv/y の前提における飲料水の基準は 10Bq/kg [4]」のような記述になっています.この言葉についての解説も[3] からたどれます.それを自力でおわかり頂ける方はこれ以上この記事を読まれる必要はありません.しかし,これではどういうものかわからないという方のためにここではその意味について,私なりにまとめてみたいと思います.たとえば,シーベルト(Sv) とは何か,ベクレル(Bq) とは何か,なぜ Bq/kg という単位なのか,mSv/y と mSv の違いは何か,そもそもその違いは個人にとってどう重要なのか,などについてです.ただし,たとえ意味がわかっても,その値が本当に安全かどうかについての判断は困難です.それでもその知識で報道を見ると,意味不明ではなくなり,ずっと理解がすすむと思います.そして御自分で判断できる可能性も出てきます.

ここでは私は記述にできるだけ間違いのないように努力し,ここで書いていることの根拠となった資料への参照もできるだけ載せておきます.しかし,私は核物理学等は素人であり,間違いもあるかと思いますので,あまり鵜呑みにすることはなく,御自分でもお調べになって,納得されるようにお願いいたします.

次回

今回は安全性をできるだけ自分で判断するため,どのような資料があるかなどをみてきました.次回はもう少し具体的な話をしていきます.この資料を自分でお読みになるというのも良いと思いますが,なかなか難しい部分もあると思いますので読むための基礎知識を少し補足したいと思います.少なくともできるだけ誤解しないようにするための基礎的な技術的知識について考えていきます.高校生までの知識で十分理解できるものだと思いますので,何かの間違いを鵜呑みにして後で「こんなはずではなかった」ということにならないようにしたいと思います.自分の命だけではなく家族の命を考えたら,ちょっとした科学的知識を理解する勉強はしてもいいのではないかと思います.理解,つまり,分かることがが目的ですから,私の言っていることが間違いであれば,その間違いが分かるとすばらしいと思います.

参考文献

  1. Wikipedia Ja, 放射線, https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%94%BE%E5%B0%84%E7%B7%9A, (accessed 2014-12-26)
  2. 日本語版カーンアカデミー, 化学の基礎プレイリスト, https://www.youtube.com/playlist?list=PLhDDoRSjeQODO7kcf8hoqboFyuDY9uYJ7, (accessed 2014-12-26)
  3. 首相官邸, みなさまの安全確保 (http://www.kantei.go.jp/saigai/anzen.html/), 計画的避難区域」及び「緊急時避難準備区域」の設定について (http://www.meti.go.jp/press/2011/04/20110422004/20110422004-2.pdf), 2011, (accessed 2014-12-21) http://www.kantei.go.jp/saigai/20110411keikakuhinan.html
  4. 厚生労働省: 原子力被災者生活支援チーム, 原子力発電所外に適用されている放射能に関する主な指標例, http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/pdf/120427_01a.pdf, (accessed 2014-12-26)

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Measures of radioactivity and the radiation: Becquerel and Sievert

The purpose of this section: Understand the science to determine your own risk

Radioactivity is an ability to emit radiation. Honestly I didn’t know the difference between radioactivity and radiation a while ago. If you also don’t, this article is for you.

As a citizen I am most interested in “safety.” But the problem of radiation is that we cannot see it directly. Also there is not so much available experimental data on safety of radiation. If we want to know it in a scientific way, we need to perform an experiment. That means we would probably need several thousand subjects and we would have to put them into some controlled environments with different radiation for many years. Then we could know what kind of dosage affects the human body. But this kind of experiment raises a lot of issues. Since we cannot make such an experiment, we cannot know for sure. Each specialist has different opinions. It is hard to make a constructive discussion about radiation safety. What we could do is basically avoid the radiation. However, if that is difficult we need to judge the risk on our own based on available information, although we saw what happened when we just believed some authorities in Fukushima as they told us “atomic reactors are safe”. We just didn’t know what they meant by “safe.” I think this time we should understand the problem on our own.

Here I can only provide some information from the government and from other sources. First we would like to understand it, because if we cannot understand what it means we cannot judge the risk. For example, what the Becquerel means. What is the difference between radioactivity and radiation. Let’s try to understand these words.

The goal of this appendix is to learn how to read and understand the information. Let’s get started.

The knowlege of basic words: Radiation, radioactivity, and so on.

The question “Whet is radioactivity?” is related to the one “what are atoms?” The concepts of atom and molecule is very common in nowadays industry, and we learn them in public school. When I learned them, I did not realize that these concepts are related to everyday life and to our surrounding industry, or I just missed it, and you might miss it too. What is electricity is also deeply connected with atoms. You use electricity everyday, but can you answer the question, “What is electricity?” if your children asked you? I learned it when I was in a junior high school. If you also forgot them, but suddenly the newspaper started saying, Cesium 137, Cesium 134, and so on, you can look up your old physics textbook. If you have a child in junior high or a high school, you can ask them. You can also find this information in the Internet.

One way to start to know what is an atom is looking up Wikipedia [1]. You can also find online chemistry courses (e.g. [2]). Usually such courses do not provide information about radiation safety, but at least you can find what is radiation. That is a good start to understand the issue of safety.

Japanese officials provide some information about radiation safety. For instance, “How to be safe for all of you (みなさまの安全確保) [3].” You can find some criteria for the radiation safety in it. However, it is written as “Assuming 1mSv/y internal exposure, drinking water should be less than or equal to 10Bq/kg [4].” You can also find a terminology list at [4]. If you can understand that, you can stop reading this article here. In case you do not understand that, I will try to explain how I understand it. For example, what is Sievert (Sv), what is Becquerel (Bq), why we see sometimes a unit like Bq/kg, what is the difference between mSv/y and mSv? Most importantly, why should I care? Even if we know the meaning of their terms, it is still difficult to determine the risk, but at least we can understand what it means. This could be a foundation of your own decision for the risk evaluation.

I tried to make this article as precise as possible, but there is a limit. Please do not just believe this article blindly. It is important to understand the problem yourself.

References

  1. Wikipedia En, Ionizing radiation, https://en.wikipedia.org/wiki/Ionizing_radiation, [Online; accessed 2016-1-13(Wed)
  2. Khan academy, Chemistry, https://www.khanacademy.org/science/chemistry, [Online; accessed 2016-1-18]
  3. 首相官邸, みなさまの安全確保 http://www.kantei.go.jp/saigai/anzen.html/, 「計画的避難区域」及び「緊急時避難準備区域」の設定について, http://www.meti.go.jp/press/2011/04/20110422004/20110422004-2.pdf, 2011, [Online; accessed 2014-12-21(Sun)]
  4. 厚生労働省: 原子力被災者生活支援チーム, 原子力発電所外に適用されている放射能に関する主な指標例, http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/pdf/120427_01a.pdf, [Online; accessed 2014-12-26]

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最終処分の話をしようや (6): 最終処分の資金はどうなっているのか

[:ja]前回は最終処分の方法についてみてきました.放射性廃棄物を処理するのは簡単ではなく,費用がかかります.その費用はどのようになっているのかが今回のお話です.

最終処分の資金

最終処分の資金は,国にもよりますが,原発を有する電力会社が徴収した電力料金からバックエンド資金として積み立てています.利用者負担原則にしたがって,原発で発電された電気を使用した者がそれによって発生する放射性廃棄物と老朽化して使えなくなった原発を処分するために必要な資金を負担します.

ドイツの場合にはバックエンド資金は電力会社が全体で300-360億ユーロを積みたてています.ドイツが世界で最もバックエンド資金を積み立てていると見られますが,それとてそれで足りるという保障はまったくありません.

日本でもバックエンド資金が積み立てられていますが,日本の場合は永久に核燃料サイクルが機能するとの前提で,最終的に残る使用済み(MOX)燃料を処分する資金は含まれていません.

いずれにせよ,積み立てられた資金が不足し,原発を使用しない世代にその負担を押し付けることになるのは間違いありません.

最終処分状況

高レベル放射性廃棄物の最終処分を実際に行なっているところは世界でもまだありません.現在フィンランドのオンカロで建設中,2020年稼動開始予定の最終処分場がおそらく世界最初のものになると思われます.以下ではドイツと日本の現在の状況をまとめました.

ドイツの最終処分状況

低中レベル放射性廃棄物のドイツの最終処分については以下のようにいくつかの計画がありましたが,様々な問題を今後解決していかねばなりません.

  • ジャハト・コンラート
    • 地下1000メートル
    • 元鉄鉱石鉱山で,その上に粘土層
    • すでに運転許可も出され,2017年からの運用が計画されているが,まだ技術的な問題があり,運用開始が遅れる可能性が大きいと見られる.
  • モアスレーベン(旧東ドイツ)
    • 地下約500メートル,岩塩層
    • 元石灰採掘場,元武器製造の強制収容所
    • 水漏れ,落盤の危険がわかり,2001年閉鎖が決定
    • 2014/2015 閉鎖完了の予定
  • アッセ(旧西ドイツ)
    • 地下約 1000 メートル
    • 岩塩層の適性試験用として運用が開始された
    • 水漏れが判明,高レベル放射性廃棄物の破棄発見
    • 全ての放射性廃棄物を取り出す予定

高レベル放射性廃棄物の最終処分場に関しては,ドイツはゴアレーベンで調査を開始していましたが,最終処分場の選定は白紙状態に戻されました.その後最終処分選定法が制定され,各界の代表を集めて最終処分場を選定するための委員会が設置されました.今後の予定は以下の通りです.

  • 2013年7月,最終処分場選出法が制定される
  • 最終処分庁が設置される
  • 2015年末までに最終処分場選出手順作成
  • 2035年まで運用開始予定 (勉強会後追記:委員会は現段階で,バックエン資金不足などを理由に,高レベル最終処分場の運用を2170年からにしなければならないとも発言しています.)

ゴアレーベンでは地下約1000メートルの岩塩層を調査してきましたが,今後どのように展開していくのかはまだ不明です.

ドイツでは当初永久貯蔵を計画していましたが,運用期間を 100 万年として,最初の 500 年間は放射性廃棄物を取り出す可能性を残すことに変更しました.取り出すというのは,その500年の間に,もしかしたら何らかの技術の進歩で放射性廃棄物の無害化が可能になる可能性を考えてのことです.

日本の最終処分状況

日本では,低レベルの放射性廃棄物については,六ヶ所村において最高地下100mの最終処分場が稼動中です.高レベルの放射性廃棄物のうち,使用済み核燃料そのものに関しては,現在ではまだめどの立っていない核燃料サイクルの確立が今後可能であることを仮定しており,再処理することが前提になっています.そのため,特に福島第一原発事故後使用済み核燃料の直接処分を求めるべきだとの議論が起こってきていますが,使用済み核燃料を直接最終処分することも,再処理後のガラス固化体を最終処分する具体的な計画はまだありません.

高レベルの放射性廃棄物のうち,ガラス固化体は2020年までに4万本が想定されています.これに関しては候補地を公募し,検討などは10数ヶ所ありましたが,公募の取り下げなどで消滅し,現在(2014年12月現在)未定です.(勉強会後追記:政府は公募を諦め,政府自らが選定することを決定 (2015年5月現在) [1])

日本では地層処理の研究施設の事例がいくつかあります.北海道の幌延(ほろのべ)町では,地下 350 メートル以上,堆積岩の地層処理について研究が行なわれています.岐阜県の瑞浪(みずなみ)市では,地下約 500メートルの花崗岩の地層処理について研究が行なわれています.

ただし日本では他の国に比較して,最終処分場として「水のない1万年を越えて安定した均一地層」というのは簡単ではありません.地震が頻繁に発生することや,地下水が豊富という最終処分には向いていない条件がそろっていることが問題になっています.

やまうちメモ

中低レベルの最終処分に関しては除染などで出た放射性廃棄物の最終処分場の検討が今後宮城県で行なわれます [2] (2014年12月の状況).


最終処分の大原則

最終処分の大原則は「国内処分,利用者負担」です.実際にエネルギーを使った人達が全ての処分の負担をすべきです.次の世代に負の遺産を残すべきではありません.しかし,今となってはそれは不可能です.

現在可能なこととしては,たとえば,自然エネルギーへの投資によって後の世代の負担を軽減することがあります.利用者の世代では原子力の負の遺産である廃炉や最終処分が完了しません.ですから,利用者の世代が次の世代のためにできるだけ多く自然エネルギーに投資して,その負担を軽減することを考えなければなりません.そうしなければ,世代間で負担が公平に分配されず,原発の利用者世代が残した負の遺産を次世代に押しつけ,次の世代の発展を阻害する可能性があります.

最終処分の現状に関するやまうちメモ

今回もまとめとして,私(やまうち)の個人的な感想をここに述べさせて頂きます.

原子力発電所は無限に稼動できるわけではなく,廃炉がやがて必要になり,そして最終処分が必要です.核燃料サイクルは40年以上の年月と10兆円以上の予算を使った現在でもまだだめどが立っておらず [3],これが前提の国策は考え直すべき時点に来ているのではないかと私は感じます.世界の他でもこの方法は撤退が続いています.たとえ燃料が再処理できたとしても,再処理の工程で高レベル放射性廃棄物は発生し,廃棄物はガラス固化体として増え続けています(電気事業連合会の資料 [4] より).ということは,廃炉と最終処分という負の遺産が将来に残ることは残念ながら避けられません.

ここでは利用者負担の原則ということを書きましたが,そうする理由は将来の発展のためです.利用者負担の原則を無視する考えもあるでしょう.自分がよければ,子孫や国が将来滅ぶのはかまわないという考えです.民主主義でそう判断することは可能です.しかし,それはいいのでしょうか? 借金を重ねる政策を民主主義で選択し,後に借金を返す時には皆で投票して借金を返したくないから,他の人に負担してもらおうと決めることもできます.民主主義的に決めることはできても,それで済むわけはありません.たとえば,景気を良くすると決めることと,景気が実際に良くなることは全然別のことだからです.明日から 1 + 1 = 3である.1 + 1 = 2 は禁止する.と投票で決めることはできます.しかしどんな決めかたであろうと,決めたことと,現実とは基本的には別のものです.責任をとらないと決めることはできます.しかし,現実はどうか.世界では責任をとらない人は信頼を失い,資本主義では信頼のない人には金はまわってこなくなります.つけがあれば,誰かがつけを払わねばならない.他人はそれを引き受けたくない.それを後世にまわそうとすれば,そのような人々の社会は後に行くほど弱くなることでしょう.利用者負担の原則を守る意味ということは少し考えても良いと思います.

利用者負担の1つである日本のバックエンド資金については,あまり情報がみつかりません.ドイツの積立てを300億ユーロとして本日(2015-7-3)では 1 ユーロ136 円なので,およそドイツにはバックエンド資金は4兆円があり,それで不足と考えられています.この記事[5]によると,日本の電力産業には廃炉費用として1兆4800億円の積立があるとあります.ただドイツの金額はバックエンド資金なので廃炉費用のみではありません.日本のこの金額が廃炉費用のみならば,バックエンドとしてはどれだけの積立があるのかが興味あります.ただ,金額を一概に比較することもできません.というのも現時点では日本の原子炉の数はドイツの2倍以上あるからです.また,日本で不足分を補うために廃炉後も積立てるということですが,廃炉の資金を廃炉後に積みたてるというのは原子炉がない状態で積立てることになります.つまり,原子力で生み出される電気では原子力にかかる費用がまかなえないので,それを水力や火力,あるいは太陽光に転嫁するという意味だと思います.利用者の意見を聞かずに,利用者負担にはせず,利用者の子孫に強制的に負担させることになるのは,どうも納得がいきません.「便利なのものがあるから使ってみて下さい,安くしておきます.」と言い,後で,「借金はあなたのお子さんにつけておきました.」というのは納得いかないです.特にその借金を背負わされる子は納得がいかないのではないでしょうか.バックエンド資金については今後も情報に気をつけたいと思っています.

私個人の意見ですが,日本の将来の発展を阻害する古いシステムの一時的な延命への投資は理解に苦しみます.短期的に多少のリターンがあるとしても,長期的に負となるものは,結果的に国家を衰弱させることが予想できるからです.負の遺産は可能な限り早めに清算してしまうのが良いと思います.

また,原子力発電所には安全保障における負の面もあります.たとえば,アメリカでの原子力発電所計画が躊躇すべき理由としてコストだけではなく,テロによるリスクが大きいという議論があります[6].この議論では,原子力発電所は国土を失なわせる効率的な攻撃目標であり,太陽光や風力などの自然エネルギーの安全性というのは,テロや戦争に対しても強いという議論です.私個人ではそういうリスクを数値としては評価できませんが,他の国で評価の進んでいるこのようなリスクも想定するべきではないでしょうか.

私達の欲しい未来とは何か,子孫達にどこまで負の遺産を作り続けるのか.私達の未来に何ができるのか今後も考えていきたいと思います.そして持続的な発展が私達の未来にあることを願ってやみません.

次回

今回で最終処分についての勉強会でのお話は終わりです.このお話を読むにあたって,いくつかの専門用語がでてきました.私自身,この勉強会に参加する前は,ベクレルとかシーベルトとかいう単位は報道などで聞いたことがあるけれどもどう違うのかよくわからない.ということもあり,このような用語や放射能とはそもそもどういうものなのか,ということを私自身が理解した形でもう少し説明したいと思います.そうすると報道などでどうして違う単位が使われているのかなどが少しわかってくるのではと思います.ですから次回は付録となります.

後記: 2015-6-26(Fri) 経済産業省(宮沢洋一経済産業大臣)は「核燃料サイクル事業」継続策を検討する作業部会の設置を了承しました.

参考文献

  1. 朝日新聞, 国主導で原発ごみ処分地選定、「有望地」提示 閣議決定 (2015-5-22), http://www.asahi.com/articles/ASH5Q335KH5QULBJ002.html
  2. 河北新報, 宮城県知事,詳細調査受け入れ 最終処分場 2014-8-5, http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201408/20140805_11016.html, (Online; accessed 2014-12-22)
  3. 東京新聞, 45年で10兆円投入.核燃サイクル事業めどなく, http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2012010502100003.html, (Online; accessed 2014-10-04)
  4. 電気事業連合会 (The Federation of Electric Power Companies of Japan), 原子力発電について(Nuclear): ガラス固化体(Vitrified radioactive waste), http://www.fepc.or.jp/nuclear/haikibutsu/high_level/glass/, 2014, (Online; accessed 2014-12-21(Sun))
  5. 西日本新聞, 原発解体費4割不足 廃炉後も電気料金で穴埋め 電力9社積立金調査, http://qbiz.jp/article/48036/1/ (Online; accessed 2015-7-3)
  6. Amory Lovins, A 40-year plan for energy, TEDSalon NY2012, http://www.ted.com/talks/amory_lovins_a_50_year_plan_for_energy, (Online; accessed 2014-12-22)
  7. 朝日,原発回帰 再稼働を問う:4核燃サイクル、再開にらむ,http://digital.asahi.com/articles/DA3S11852879.html

[:en]

The budget of long term waste management

The budget for long term waste management depends on the country. Typically, the power companies that have nuclear power plants pool the budget for the back-end process. The size of the pool is based on the electricity fee. This is the user-pays principle: Someone who has a benefit must pay for it. This means that the consumers of electricity from the reactors pay for the decommissioning of the reactor and the long term waste management.

In Germany, the power companies pool the back-end budget of around 30-36 billion Euro. It seems that Germany has the largest back-end budget in the world, still there is no guarantee that it is large enough.

In Japan, some back-end budget is pooled, however, there is no budget for the long term storage. Since the Japanese plan assumes that the nuclear cycle will be established soon, and the nuclear cycle assumes that there is no nuclear waste (MOX used fuel).

In any case, the budget is most probably not enough and the people who did not use the energy need to pay the debt.

The status of long term waste management in the world

A final disposal facility for high level nuclear waste has not been implemented yet in the world (as of November 2014). The Onkalo used nuclear fuel repository on the west coast of Finland will be the world’s first deep geological repository for used fuel final disposal. It is currently under construction and planned to begin operation use around 2020. Here we summarize the current status of Germany and Japan.

The final used fuel disposal plan in Germany

For low-, middle-level nuclear waste final disposal, there were following plans in Germany. However, still many problems should be sorted out.

Schacht Konrad

  • 1000m deep under ground
  • Originally, this was an iron mine. The upper part is clay stratum.
  • The permission of operation has been issued. Use is planned for 2017. However, there are unresolved technical issues. There is a large possibility that the plan would be delayed.

Morsleben (at ex East Germany)

Asse (at ex West Germany)

  • 1000m deep under the ground
  • The deployment was begun in order to test whether the rock salt stratum is suitable for the purpose.
  • Water leaking was found. High level nuclear waste disposal was found. It was planed to remove all the nuclear waste.

Germany investigated the location of deep geological repository of high level nuclear waste at Gorleben. However, the discussion was cleared up. After that, the deep geological repository investigation committee has established and the committee representing many areas was gathered. Here is the current plan:

  • July, 2013, the law of how to decide the location of the final disposal facility.
  • The ministry of the final disposal facility has been established.
  • The procedure how to decide the location of final disposal facility will be established at the end of 2015.
  • The operation of the facility will be started in 2035. (Updated May 2015: The committee mentioned the operation of the final disposal facility should be postponed after 2170 due to not enough backend budget.)

At Gorleben, the stratum of Rock salt under 1000m from the ground was investigated. However, how to proceed is not clear yet.

In Germany, the first plan was an eternal repository. But the plan has
been changed. The operation time of the current plan is 1,000,000
years. For the first 500 years, we can still have access to the used
fuel. This is in case we could develop a technology to make the used
fuel innocuous in the first 500 years.

The final disposal plan in Japan

In Japan, the low level final nuclear waste disposal facility is in operation at Rokkasho-mura. The maximal depth of this repository is 100m.

Japanese plan of high level used fuel disposal is based on the assumption that the technology for a nuclear fuel cycle can be established soon. This means the reprocessing of the used fuel is a prerequisite and then the final disposal facility would not be necessary anymore. After the Fukushima’s accident, the discussion about establishing a final disposal facility raised, there is no concrete plan however of the final disposal yet both for used fuel and vitrified waste (as of May 2015).

A part of the high level nuclear waste is vitrified waste. 40,000 containers of vitrified waste will be produced in 2020 (estimate). For this waste, the government officially asked all the cities to be voluntarily a candidate location for the final disposal facility. There were around 10 candidate locations, but most of them were retreated and there is none as of December 2014. (Updated May 2015: The government gave up the public offering and has decided that the choice of the location will be up to the government [1].)

There are a few research facilities for a deep geological repository. At Horonobe-city in Hokkaido, the research is on going on a clay stratum, at the depth of more than 350m. At Mizunami-city in Gifu, a granite stratum at the depth of around 500m is being investigated.

However, Japan is a country with lots of ground water and has frequent earthquakes compare of to other countries. It is hard to find the location where “There is no ground water and the stratum is stable for more than 10,000 years.” The existence of ground water and the possibility of earthquakes are not well suited for a final disposal facility. This is a problem for Japan.

Yamauchi’s memorandum

Middle-/Low-level final disposal nuclear waste facility will be investigated in Miyagi prefecture [2] (Updated December 2014). This waste was the product of a decontamination process.

Principle of final disposal of spent fuel

The principle of final nuclear waste disposal is “In land and the user pays.” The consumers who actually used the electricity should pay all the cost. We should not pass this negative legacy to the next generations. But, it is not possible to avoid this anymore. We have a debt to the future.

What we could still do is, for instance, to invest in clean energy technology to alleviate the burden on the next generations. In our generation, we will not be able to finish the clean up of the negative legacy, i.e., reactor decomissioning and final waste disposal. Therefore, one way to decrease the next generation’s burden is to invest in sustainable energies and distribute the cost between the generations. Otherwise, the energy cost is not fairly distributed between the generations. If the generations of nuclear reactor put the cost to the next generation, the next generation will suffer from their development.

Yamauchi’s memorandum of the final disposal

Here is a conclusion including my personal opinions.

A nuclear power plant cannot run forever. Thus one day we need a decomissioning and a final waste disposal. This is independent of agreeing with or not for nuclear power. This is just a fact: a human made object will not stand forever. Fundamentally, human activity produces garbage.

The nuclear fuel cycle plan is based on an assumption that does not produce used fuel. The research into the nuclear fuel cycle in Japan spent more than 40 years and 100 billion yens, the prospect of the plan still does not stand [3]. I think we need a new plan since the assumption seems to have a problem. Many of the countries realized this problem and most of them have retracted the plan. Even if a nuclear fuel cycle plan is established, the reprocessing produces high level nuclear waste as vitrified waste. The amount of this high level waste is increasing (ref. a report of the federation of electric power companies of Japan [4]). This means we cannot avoid two negative legacies: decomissioning and final nuclear waste disposal.

I mentioned the “user-pays (beneficiary pays) principle”. This principle is for our future development. I think the energy problem is not a public service problem since the industry has a large role in energy consumption. We would in theory ignore the principle: Essentially we would not care about the future of our children and our country in order to gain something right now. Since these children do not exist yet, it is possible to have a democratic decision without them. I must ask this myself, is it ok? We elect governments that make a lot of debt for the future without a plan to pay it up. We could even decide that we do not want to return the debt. However, such people would lose trust. This means no more investment, since investors expect returns. I think we should think more about the meaning of the “user-pays principle.” If no investment is expected, we need a sustainable future, but what we are doing (living on the debt) is not sustainable.

It is not easy to find the information about the backend budget of Japan. (The backend budget for nuclear power plant is the budget for clearing up the plant: decomissioning, fanal disposal of waste, and so on.) The backend budget is about the user-pays principle. Today’s backend budget of Germany is 30 – 36 billion Euro (4 trillion yen as 136 yen/euro as of today (2015-7-3)). This is now considered not sufficient. According to the article [7], all the Japanese power companies as a whole should set aside 1.5 trillion yen for the decomissioning budget. The backend budget includes final waste disposal besides decommissioning. I am interested in how much backend budget the Japanese have set a side. I have not been able to find this information yet. Please notice that budget of Japan and Germany cannot be easily compared, since Japan has more than the twice reactors of Germany. The article [7] pointed out that Japanese power companies have a plan to collect the budget deficit even after the decommissioning. This means the people who did not use electricity will pay the backend budget as electricity fee. According to this plan, the nuclear energy fee cannot cover the whole life cycle of the nuclear energy, so fossile/water/solar power sources will cover the nuclear’s energy. I think the user-pays principle does not hold here. Moreover under the current law electricity consumers have no choice but to pay for the nuclear power life cycle via another type of energy. Our children have no choice as well, they need to pay for non-used electricity fee. I don’t find acceptable that they say “Here, there is some cheap stuff, use it!” then later say, “Hey, you have hidden debt because of that. Your children and grandchildren must also pay for that.” I also find hard to imagine, how our children and grandchildren look at it. Because of this, I find the backend budget an intersting item. I think that if someone uses them, he/she should also pay for it.

This is my personal opinion: I’d rather stop the investment to make the old system to just survive for a short time. It will be a burden to the country’s economic system. We can get a small gain for a few years span, but then we have a long term suffering negative effect. It’s this kind of effect that can cause the collapse of a country. I hope we are able to clear up the negative legacy as early as possible.

Another drawback of nuclear plants is negative effect for national security. One of the reasons that the U.S. have a hard time building a new nuclear plant is not only the cost itself, but also the security. You can find a discussion considering the terrorist danger for the nuclear plant [5]. In this discussion, nuclear power plants are good target for terrorists as a country can easily lose a large part of the land. On the other hand, natural energy, i.e., solar, wind, etc. is way safer in case of terrorism and war. Personally, I do not have enough knowledge to numerically evaluate this kind of cost, although some other countries have discussion this kind of costs. We could also consider them.

I would like to think about what future I would like to have, how we can decrease the negative legacy for our children, what can I do for that. I wish we and our children could have sustainable development in our future.

(Update: 2015-6-26(Fri) Ministry of Economy, Trade and Industry (Yoichi Miyazawa, Minister of Economy, Trade and Industry) agreed to establish the working group of “Nuclear cycle operation” to discuss how to continue the nuclear cycle development [6].)

References

  1. Asahi Shinbun (朝日新聞), “The govenment leads to choose the waste processing site. [Promised location] was presented. The cabinet’s decision (国主導で原発ごみ処分地選定、「有望地」提示 閣議決定)(2015-5-22), http://www.asahi.com/articles/ASH5Q335KH5QULBJ002.html, [Online; accessed 2015-7-2]
  2. Kahoku shinpou (河北新報), The governor of Miyagi has accepted the candidate’s investigation of the final waste disposal (宮城県知事,詳細調査受け入れ 最終処分場 2014-8-5), http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201408/20140805_11016.html, [Online; accessed 2014-12-22]
  3. Tokyo Shinbun (東京新聞), Spent 45 years and 100 billion yen. Nuclear fuel cycle has no concrete plan yet. {45年で10兆円投入.核燃サイクル事業めどなく), http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2012010502100003.html, [Online; accessed 2014-10-04]
  4. The Federation of Electric Power Companies of Japan (電気事業連合会), Nuclear power plant (原子力発電について): Vitrified radioactive waste (ガラス固化体), http://www.fepc.or.jp/nuclear/haikibutsu/high_level/glass/, 2014, [Online; accessed 2014-12-21(Sun)]
  5. Amory Lovins, A 40-year plan for energy, TEDSalon NY2012, http://www.ted.com/talks/amory_lovins_a_50_year_plan_for_energy, [Online; accessed 2014-12-22]
  6. Asahi Shinbun (朝日新聞), Return to the nuclear power. Question on restarting the reactors 4: Nuclear fuel cycle office is looking for reopening the process (原発回帰 再稼働を問う:4核燃サイクル、再開にらむ (2015-7-11(Sat)), http://digital.asahi.com/articles/DA3S11852879.html, [Online; accessed 2015-7-11]
  7. Nishi-nippon Shinbun (西日本新聞), 40 percent deficit of nuclear decommisioning budget, Fill the budget by after the decommisioning through the electricity fees, investigated the back end budget of 9 power companies (原発解体費4割不足 廃炉後も電気料金で穴埋め 電力9社積立金調査 (2014-10-20)), http://qbiz.jp/article/48036/1/, [Online; accessed 2015-7-3]

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最終処分の話をしようや (5): 最終処分の方法

[:ja]前回は中間貯蔵について話をし,核燃料の放射能減衰のグラフを見て,中間貯蔵の想定している 30 年から50年という短期間では不足であることを見てきました.数万年以上の貯蔵,それが最終処分です.どのようなことが考えられているのでしょうか?

最終処分の方法

地層処分

最終処分の方法として現在現実的なものは地層処分です.驚きですが,以前は核廃棄物を海に捨てる,海洋投棄があったようです.しかし,環境を汚染する海洋投棄は今では国際的に禁止されています.現在では核廃棄物を地中深く掘って埋める地層処分が最も現実的な方法と考えられています.

地層処分では放射線を以下の2つの方法で遮蔽します.

  • 人工バリア: 容器,コンクリート
  • 自然バリア: 地層

このうち,遮蔽効果のほとんどは地中深く埋める自然バリアによってもたらされます.

廃棄物のレベルと国によってどれだけ深く埋めるかには次のような分類があり,異なっています.

  • 低中レベル放射性廃棄物
    • 浅層 (数百メートルの深度(日本等))
    • 中層
    • 深層 (1000m 前後 (ドイツ等))
  • 高レベル放射性廃棄物(+TRU廃棄物)
    • 深層処理

高レベル放射性廃棄物の地層としては次のような候補があり,それぞれ特徴があります.

  • 粘土層:
    • 欠点: 熱伝導率が低く,熱が逃げないので,地層が高レベル放射性廃棄物の熱で乾燥して亀裂が入り,汚染が漏れる危険がある.
  • 花崗岩層:
    • 欠点: 岩盤が硬いので掘るのに莫大なコストがかかる上,地層に地下水がある可能性があり,地下水によって汚染が拡散される.
  • 岩塩層:
    • 利点: 熱伝導率が高く,熱を逃がしやすいので.高レベル放射性廃棄物の熱が拡散される.
    • 欠点: 過去海だったため,どこかに水がある可能性が高く,水によって汚染が拡散される危険がある.

最終処分の地層としては廃棄物を長期間安定に保存するために,以下の条件が求められます.

  • 地層が均一である (均一であれば亀裂などがない,または起こりにくい)
  • 地下水が流れこまない (地下水によって汚染が拡散してしまう可能性がある)
  • 地層の移動がない (移動があると廃棄物が安定して保存されない)

地下水が流れているとか,亀裂があるなどとなると,長期間の保存では保存している核廃棄物が環境を汚染する可能性があります.そのため水(地下水)の有無は重要な条件になります.

最終処分場の事例

地層処分とは,地上から2本の竪坑を掘って,地下に坑道を作って最終処分に適した地層に放射性廃棄物を保管できるようにすることです.

図 4 は,東ドイツ時代にモアスレーベン(Morsleben)で建設,使用されていた低中レベル放射性廃棄物の最終処分場です.地下に壮大な貯蔵場が必要なことがわかります.なお,モアスレーベンの最終処分場は岩塩層が落盤する危険があることから,使用を中断し,閉鎖されることが決定されました.morsleben_1511_3

図 4.写真: 独モアスレーベンの最終処分場構造図 (写真提供: ふくもと氏)

ドイツのゴアレーベン(Gorlben)は当初,放射性廃棄物の総合処理場にする計画がありました.まず,中央中間貯蔵施設が設置されました.そのうちに,そこに最終処分場を設置する目的でその地下岩塩層が高レベル放射性廃棄物に適するかどうかの調査施設が建設されました.ただ,その適性には疑問もあり,これまで調査を中断したり,再開するなどを繰り返してきました.現在は最終処分場の候補地を白紙に戻して,最終処分地を選定するための委員会が国会内に設置されています.gorlben_DSC_0018

図 5.写真: 地層内にある油 (独ゴアレーベン) (写真提供: ふくもと氏)

図 5 は,ゴアレーベン地下調査坑道内の地層の写真です.黒い部分は油のある層で,岩塩層が均一でないことがわかります.

次回

ここまでで最終処分の方法についてみてきました.実際の最終処分場はまだ世界にはほとんどありません.しかし核のゴミは既に存在し,増え続けています.我々の世代はこの負担をしなくてはいけません.でなければ危険なものが処理されずに存在することになります.実際にはどこかにほおっておくという手もありますが,負担そのものはなくなりません.やまうち個人としてはこのほおっておく,放置する,という形の負担はしたくありません.なぜなら,そちらの方が結局もっと高くつくためです.どうせ負担しなくてはいけないのなら安くして欲しいのです.放置しておくという解答は,それで死人が出たり病人が出たり,国土が汚染され利用できなくなるという形での負担になるからです.この負担はどのようになっているのでしょうか? 次回は最終処分の資金についてのお話です.[:en]

Deep geological repository

One method for the final disposal storage is the deep geological repository method. Surprisingly, there was also an ocean disposal method. However, this method has environmental problems and is no longer permitted by international agreements. The deep geological repository method basically digs a deep hole and stores the waste in the hole. This method is considered as the most practical method.

The deep geological repository method blocks the radiation by two
methods.

  • Artificial barrier: container, concrete wall
  • Natural geological barrier: stratum

Most of the radiation blocking effect is by the natural barrier.

The level of the waste and the criterion of how deep the waste should be stored depends on the country. Some examples are following:

Low-, Middle-level waste

  • shallow (a few hundreds meters (e.g., Japan))
  • middle
  • deep (around 1000m (e.g., Germany))

High-level waste (+TRU waste)

  • deep geological storage

The stratum suited for high level nuclear waste are following. Each has own characteristics.

  • Clay stratum
    Disadvantage: This stratum has low thermal conductivity and the
    heat would not be well diffused. Therefore, the stratum could be
    dried out and might generate cracks. The waste would possibly
    leak through such cracks.
  • Granite stratum
    Disadvantage: The rock is relatively hard, thus the cost of
    digging is quite high. There could be ground water and the water
    diffuses the contamination of the waste.
  • Rock salt stratum
    Advantage: This stratum has high thermal conductivity and the
    heat of the high level waste is well diffused.\\
    Disadvantage: It is highly possible to have ground water since it
    was a sea in the past. The water diffuses the contamination of
    the waste.

For long term geological waste management, the following conditions are necessary for the stratum to stably store the waste.

  • Uniformity. (If the stratum is uniform, there is less possibility
    to have cracks, or less possible to cause them.)
  • No ground water. (Ground water possibly diffuses the waste.)
  • No movement. (We cannot stably store the waste in moving strata.)

Ground water and cracks may distribute the radioactive contamination, especially for the long term waste storage. Therefore, the non existence of ground water is an important condition.

Example of long term deep geological repository

The deep geological repository method typically consists in digging two vertical holes and connecting them with a tunnel under the ground where the stratum is suited for long term waste management. The waste will be stored in the tunnel.

Figure 4 shows the long term storage facility for low-/middle-level waste in Morsleben in the Eastern Germany time. You can see the huge storage faciliy under the ground. Later the government decided to stop using it and closed the Morsleben’s storage facility since there is a danger of rockfall for the rocksalt stratum.

morsleben_1511_3
Figure 4: Picture: the structure blueprint of the long term waste storage facility in Morsleben

Gorlben (in Germany) had a plan to build a general waste processing facility. First, the central interim storage facility has been built. Then, a facility was built to check that whether the rocksalt stratum of this area is suitable for the long term storage. However, there were some questions regarding the suitability, the investigation was suspended and reopened, repeatedly. The government decided to start over the process of choosing a location. A committee that will choose the candidate location has been established at the parliament.
Picture: oil in the stratum (Gorleben, Germany)

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Figure 5: Picture: the structure blueprint of the long term waste storage facility in Morsleben

Figure 5 shows a pictures of stratum in the tunnel of Gorleben. The black part is oil and that means the rocksalt stratum is not uniform.[:]

最終処分の話をしようや (4): 最終処分とは? 放射性廃棄物と放射能減衰の推移

[:ja]前回は放射性廃棄物を安全になるまで長期間保存する前段階として 30年から 50年程度の短期間の貯蔵,中間貯蔵があるという話をしました.今回はそのお話です.

放射性廃棄物とその中間貯蔵までのまとめ

ここまでで最終処分の対象とする放射性廃棄物とはどのようなものか,放射性廃棄物はどのように発生するのか,最終処分の前までに,どのように処理をするのかの現状について概要を見てきました.現在ではコストなども考えた実用的な核種変換技術がないために,放射性廃棄物を長期間保存する方法が現実的と考えられています.次節では,その放射性廃棄物の特性についてもう少し詳しく見ていきます.それを知ることで最終処分の課題が見えてくるでしょう.

使用済み核燃料の放射能減衰の推移

放射能減衰の推移グラフ

使用済みの核燃料は,原子炉から取り出された時には高い放射能を持っているために,これを保管して放射能が落ちるのを待つ必要があります.勉強会ではここで放射能減衰の推移グラフが示され,減衰には長期間かかることが示されました.

やまうちメモ

使用済みの核燃料は,いつまでこれを保管する必要があるのかが問題になります.使用済みの核燃料が数ヶ月程度で安全なレベルにまでなるのであれば,最終処分もおそらくあまり問題はないのですが,そういうわけにはいきません. 次の図は使用済み核燃料の放射能減衰の時間推移を示しているものです.これは一般財団法人高度情報科学技術研究機構の資料[1]でみつけたもので,核燃料サイクル開発機構の資料が出典となっています.

radioactive_timeline_2図 3. ガラス固化体の放射能の時間的推移

図 3.の読み方:

まずはこのグラフの読み方をみていきましょう.グラフが両対数のグラフになっていることに注意して下さい.とは言ってもまず,両対数グラフとは何かの話をしたいと思います.それは縦軸も横軸も指数となっているようなグラフで普通のグラフとはちょっと違います.よく見慣れたグラフでは,1目盛り進むと +1 増えますが,ここにあるグラフではたし算ではなくかけ算で,1目盛り進むと 10 倍になります.つまり,2目盛り進むと 100 倍になるグラフです. 縦の軸ですが,核燃料を取り出した直後には核燃料 1 トンに相当する放射能がベクレル値で 1010 GBq となっています.1010 とは 1 の後に 0 が10 個つくという意味ですから,10000000000,つまり 100 億のことです.そして単位の Bq の前にある G というのはギガという単位につく補助の接頭辞で,109を示します.コンピュータに少し詳しい方であれば,GByte が,MByte の1000倍ということをご存知でしょう.するとこれは10億であることもご存知かもしれません.すると,1010 GBqというのは,100億ギガベクレルで,10000000000000000000 Bq,つまり,1000京ベクレルのことです. 政府の基準では,核種や食品にもよりますが,目安として食品は 1 kg あたり100 ベクレル以上のものは摂取しない方が良いということですから,核燃料を取り出した直後のベクレル値は,私には想像すら難しいレベルです. そして横軸にはほぼ中心に核燃料を使用しはじめた時点の 0 があります.右側に行くと時間が経過しています.ここで,軸の目盛りをみると,100年, 102年,104年, 106年,108年,と続いています.10 の指数の数は先程の GBqの時と同じく,0 がいくつ1の後に続くかと同じことですから,100年は 1 年,102年は 100年, 104年は 10000年(1万年),106年は100万年,108年は1億年の意味です. グラフをみると横に青の点線が引かれています.これが「ウラン鉱物として地質環境に賦存」と書かれている時の放射能を示している線です.赤の線がこの線を横切るのにかかる年月は,104 と 105 の間あたりですから,1万年から10万年の間ということが読み取れます.これでグラフの読み方がおわかりになると,嬉しいです. ところで,上記で数字の 100 と 1000京を比較するのは公平ではありません.食品は 1kg あたりの Bq で核燃料の場合には 1t あたりの Bq ですから,核燃料の方が数字が大きくなります.1t は 1000kg ですから,100 と 1京 の比較が公平です.こうやって数字を 1000 倍違うように見てしまうこともあります.報道でも,時々このように単位をそろえていないことがあります.ただし,普通,単位は言っているので間違いではありません.(しかし単位をそろえても 100 と 1 京はとても違います.) こういうとても大きさの異なる数を,指数を使って 0 がいくつつくのかということで示す方法を科学的表記法と言います.この場合 100 は 1 の後に 2 個の 0 があるので,102, 1 京(10000000000000000) は 1 の後に 0 が 16 個つくので,1016 です.(どうです? 指数は便利でしょう) 単位を変化させて表現にインパクトを与えるのは広告では普通にあります.たとえば,広告では○○ 1000 mgなどと言いますが,それは○○ 1gと同じです.広告の戦略としては 1000 という数の方が 1 よりもずっとインパクトがあるので正しいですし,何も間違いではありません.それならば,○○ 100万マイクログラムと言うこともできます.これも 1g のことで何も変わっていませんが,100万までいくと怪しくなるので 1000 mg を考えた人は広告の才能があるなと思います.広告の場合にはまったく問題はないと思いますが,放射能汚染などの数値の報道では,単位には少し気をつかって欲しいと思います.

使用済み核燃料はいつまで保管しなくてはいけないか

先の図 3 ですが,Web 上を探すと一般財団法人高度情報科学技術研究機構以外にも似たような図がみつかります.ただ,後で私は気がついたのですが,この図が示すのは,ウラン鉱を採鉱した時点まで放射能が下がる時間が数万年単位ということであって,ウラン鉱を採鉱した時点での放射能の強さが危険なのか安全なのかについてとは関係がありません.この図を見せて頂いて,時間がかかるんだなあ,という印象を持ちました.しかし,勉強会の後にふと思ったのは,ではその数万年を越えたら安全なのか? ということです. 図3では青い点線は燃料 1トンあたり 1000 GBq 相当,つまり 1GBq/t (=10億ベクレル/t) を示します.考えてみればギガベクレルというのはかなり大きな値です.相当する放射能という言葉がどのような定義かに疑問がありますが,それを置いておくことにして 1kg に換算すると MBq/kg ですから,100万ベクレル/kg です.日本でのいくつかの食品の安全基準は,100 ベクレル/kg 以下というので,その1万倍というのはかなり大きな値のように思います. 結局青の点線以下になれば,人間が近付けるのかどうかなどは私にはわかりません.やはりどうしても安全かどうかということに関心があるので,何か図をみたらそう判断できないかと考えてしまうのが悪いのかもしれません.そのような意味では,この図は単に燃料を作った時と同じレベルの放射能の強さにかかる時間がどの位かということ示しているだけである,安全性とは関係はない,と考えるのが良いかと思います.

放射能減衰の推移と対処

図 3 から,核燃料を取り出した際の放射能は 100億GBq/t,それを3〜5年の燃料貯蔵プールで冷却した後には,数千万 GBq/t,その後ガラス固化体として 30〜50 年の中間貯蔵後には 1千万 GBq/t を少し下回るレベルになっています.これが天然にあるウラン鉱石の放射能レベルの線,1000GBq/t となるまでにはさらに数万年が必要です.この中間貯蔵以降の保管が最終処分となりますので,次回にその方法を見ていきましょう.

次回

次回はようやく最終処分の方法についてみていきます.数万年を越える期間何かを保存するというのは私には気が遠くなる話です.そもそもそのようなことはできるのでしょうか?

参考文献

  1. 高度情報科学技術研究機構, 高レベル放射性廃棄物と処分対策の安全問題, ガラス固化体の放射能の推移の図表を参照,  (http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=05-01-01-03 ), accessed 2015-7-1

[:en]We talked about what is the nuclear waste, how it is generated and what kind of process we need to do in order to put it in a final disposal storage. Since we still do not have a practical (cost effective) nuclide conversion technology, the most practical method to render nuclear waste innocuous is its long term management. In the next section, we will review the property of nuclear waste. That will bring up what kind of problems we have with the final disposal of waste.

Transition of used fuel radioactive decay

A chart of radioactive decay over time

When used fuel is taken away from a reactor it is highly radioactive. Thus we need to store it in somewhere and wait for the radioactivity to become lower. At the meeting we saw a radioactivity attenuation chart, which shows that it takes a long time.

Yamauchi’s memorandum

How long do we need to store the used fuel? If we only need to store the used fuel for a few months and the radioactivity level became low enough, nuclear waste management might not be a big issue. However, it is not so easy.

Figure 3 shows the radioactivity attenuation of used fuel over time. You can find this chart at the web site of Research organization for Information Science & Technology (RIST) [1], that refers to the web site of Japan nuclear cycle development institute asthe source of the data.
radioactive_timeline_2_enFigure 3: Radioactivity attenuation of vitrified waste over time. The x-axis is time in years, the center is 0 years. The y-axis is labeled `1 ton nuclear fuel (MTU) corresponding radioactivity [GBq]’
[Original figure] Japan nuclear cycle development institute: 2nd period of research and development of deep geologically repository, summary report I-4 (1999-11-26)

How to read Figure 3:

Let me show you how to read this chart. First, please notice the graph scale is log-log. What does this mean? Both axes of a log-log graph are described by exponent. You may be familiar with a linear graph. In a linear graph, one tick of an axis means usually +1 (or +n), but one tick of this chart is × 10. For example, one tick of this chart means ‘times ten’ instead of ‘plus one’. If you go two ticks, the value increases 100 times more.

The vertical axis shows the radioactivity in Becquerel. When the used fuel was taken from a reactor, the radioactivity indicated 1010 GBq/t.

1010 means 10 zeros after 1. Therefore, it is 10000000000, which is 10 billion. The character ‘G’ (Giga) before the unit `Bq’ is a SI-prefix, and it means 109. If you are familiar with computers, you know the memory size is represented as GBytes, which is 1000 times larger than MBytes. This means, 1010 GBq is 10,000,000,000 GBq = 10,000,000,000,000,000,000 Bq = 10 quintillion.

According to the criterion of the Japanese government, though it depends on nuclide and food, we should avoid eating food with an activity of more than 100 Bq per kg. Compare to this number, radioactivity of the used fuel is enormous. It seems beyond my imagination.

There is the 0 on the x-axis at the center of the graph. This is the time when the fuel is first used. To make Uranium useful as fuel, it is enriched, i.e., its radioactivity is increased. As we go to the right, time passes. The axis ticks increases 100 years, 102 years, and so on.

The exponent number of 10 has the same meaning as in the last example about Bq, how many zeros after the 1. This means, 100 years is one year (zero zeroes after 1), 102 years is 100 years, 104 years is 10,000 years, and 108 years is 100,000,000 years.

The graph shows a horizontal blue dotted line. This line shows the radioactivity when Uranium ore is in a mine. The cross point of the red line and the blue line is between 104 and 105 years. Therefore, it takes about 10000 to 100000 years until the radioactivity of used fuel reaches the level of naturally occurring Uranium ore.

By the way, it is unfair to compare the 100 Bq/kg for food and 10 quintillion Bq/t for used fuel. Note that the units are different: Bq/kg and Bq/t. This means that radioactivity of 1 Bq/kg is 1000 times higher than 1 Bq/t. Therefore a fair comparison is between 100 Bq/kg for food and 10 quadrillion Bq/kg for used nuclear waste. We sometimes miss the unit difference. Sometimes we could find these units are not consistent in some news articles. The different units are not technically a mistake, but it is still misleading. When we use the same unit here, 100 and 10 quadrillion are quite different.

These large numbers are hard to see. We do not know what 10 quintillion or 10 quadrillion are. Scientist usually use the scientific notation to write these numbers. The scientific notation uses exponent. In other words, this is how many zeros are in the number. 100 has two zeros after one, in exponent writing this is 102. 1 quadrillion is 10,000,000,000,000,000. This has 16 zeros after 1, it is 1016. Many advertisements use large numbers since they have a high impact when heard. For example, a sport drink in Japan claimed that was an 1000 mg effective medicine dosage, but this has the same effect as 1g of medicine dosage. Still, 1000 has makes an impression on us, so it is a good advertisement strategy. This is fine for an advertisement, however, I recommend to be careful about units an article about radioactive contamination for the news.

How long shall we keep the used nuclear fuel?

If you search about radioactivity attenuation of nuclear waste (Figure 3) you find many similar figures on the Web. I later realized that this figure only shows it takes more than 10 thousand years for the used fuel radioactivity to decay to the same level of an Uranium mine. I found nothing about the safety of the level of an Uranium mine. My first impression was, “wow, at least 10 thousands years, that’s a long time!” But I never asked the question: “is it safe after 10 thousands years?”

The blue line in the figure indicates 1000GBq/t, which means 1GBq/t (one billion Bq/t). 1 GBq/t is quite a large radioactivity value. Though one thing is not clear here that in the explanation, “1 ton nuclear fuel (MTU) corresponding radioactivity [GBq]”, I assume that this unit means GBq/t. If I convert it to Bq/kg, this is 1000 MBq/kg, that is 1GBq/kg, and this is 10 billion Bq/kg. As we mentioned before, the recommendation of safety for food is 100 Bq/kg according to Japanese government, and a value that is 10 million times larger does not safe to me.

I do not know what is blue line in Figure 3 means. Can I safely get near to some radioactive substances if the level is lower than this blue line? As a citizen, I am more interested in safety, so I try to connect this figure to safety, but this is not even labelled as radioactive dosage. I think this figure only shows the relationship between time and radioactivity attenuation, but that is not related to safety.

Progress of radioactive decay and waste management

Figure 3 shows the progress of radioactive decay over time. When the fuel is taken out of the reactor, its radioactivity is 10 billion GBq/t. After three to five years of cooling down in the fuel water tank, it becomes a few tens of million GBq/t. Then, after 30 to 50 years the radioactivity of vitrified waste in interim storage becomes a bit less than ten million GBq/t. Until the radioactivity drops to the level of a Uranium mine, we need to wait approximately ten thousand years. The final disposal process starts after the interim storage stage. Let’s see what is planned for that.

References

  1. Research Organization for Information Science and Technology (RIST: 高度情報科学技術研究機構), “Safety problems of high level nuclear waste and its processing (高レベル放射性廃棄物と処分対策の安全問題), note: the decay graph of vitrified waste can be accessed from this page)”, http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=05-01-01-03, [Online; accessed 2015-7-1]

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